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2013(平成25)年度 人権問題に関する教職員意識調査報告書より

 

(2015年4月作成)
人権教育のさらなる推進のために!

「人権教育を進めることは大切だと思うけど、指導内容や方法を間違わないか不安だ」
「同和教育の理念や成果をふまえた人権教育ってどんなものだろう」
「もっと先輩や同僚から学びたい」

 2013年度に実施した「人権問題に関する教職員意識調査」から、三重県の教職員の悩んでいることや求めていることなどが見えてきました。ここでは、「人権問題に関する教職員意識調査報告書」の中から特徴的な結果が得られた調査項目とその分析内容を引用しながら、今後の取組の方向性を考えるためのポイントを紹介します。

 

1 人権教育の「広がり」から「深まり」へ

 小学校で人権や差別の問題について「学んだ」と回答した教職員が若い世代ほど増加しており、人権教育の取組が量的に拡大したことが見て取れます。【問33】
 その要因としては、1990年代に全教職員を対象とした研修を実施したことによる人権教育に対する意識の高まりや、また2002年以降、「人権教育推進計画」の作成や「人権教育推進協議会」の設置など、各学校において推進体制が整備されてきたことがあると考えられます。

問33

 一方、次のような課題が明らかになりました。
 文部科学省は、自他の人権を守るための実践行動力を育成するためには「知識的」「価値的・態度的」「技能的」の三側面のバランスがとれた学習が必要であると指摘しています。しかし、【問9】の「勤務校で力を入れている指導内容」の調査結果をみると、三重県の学校において、国の調査結果と同様に、「知識的側面」「技能的側面」の指導に比べて、「価値的・態度的側面」に関する指導に力点が置かれていることがわかります。
 また全国的な傾向と比較すると、「対人支援の意欲・態度」「バイアスを見抜く技能」「社会参加の意欲・態度」が高く、「想像力や感受性」「コミュニケーション技能」「諸概念の知識」等が低くなっていることがわかります。

問9

知識的側面  
「諸概念の知識」「法律・条約の知識」「歴史や現状の知識」「人権についての実践的知識」


価値的・態度的側面  
「責任感」「自己肯定感」「多様性肯定感」「対人支援の意欲・態度」「社会参加の意欲・態度」


技能的側面  
「コミュニケーション技能」「想像力や感受性」「バイアスを見抜く技能」「批判的思考技能」
「対立・問題解決技能」

各校における取組の観点

 「人権教育推進計画」や「人権教育カリキュラム」に、三側面の学習がバランスよく位置づいていますか?
またこれらの意義や具体的な取組の進め方について、教職員の共通理解は図られていますか?

提案

 人権教育推進委員会や人権教育推進協議会等で「人権教育推進計画」等における三側面のバランスを検証したり、教職員研修において三側面のバランスをとることの意義やそのための方策について小グループで話し合ったりする機会をつくってみませんか。
 

2 求められる教職員のつながり、学び合い

 人権教育を進めるうえで「(指導内容や方法を)間違わないか」という不安を抱えている教職員の存在も明らかになりました。またその傾向は、若い世代の教職員ほど高くなっています。【問11】

問11

 この課題を解決するためのヒントが次の調査項目にあります。
 「初任の頃、直面する課題を克服するために大きな意味をもったもの」として、90%以上の教職員が「先輩や同僚」を選択しています。さらに、校・園長や教頭と回答した割合も増加しており、管理職の指導助言も困難克服の重要な要素となっていることが見て取れます。【問25】
 

問25

各校における取組の観点

「間違わないか」という不安を解消する工夫はされていますか?

提案

 若い世代の教職員で小グループをつくり、率直な思いを出し合える機会を設けてはどうでしょうか。そしてその声を集約し、ベテラン世代も交えたグループで経験等を出し合ってみませんか。


 
 教職員どうしで学び合う場を求める声は、次の調査項目にも現れています。校内で行う研修の内容について、「同僚や先輩からのOJT」や「同僚間の授業公開」「学年単位の議論や研修」「研究授業」などを選択した教職員が多いことが見て取れます。【問13】

問13

3 世代間の違いを越えるための取組を

 三重県では、同和教育の理念や成果をふまえて人権教育を進めることを大切にしてきました。しかし、教職員の急激な世代交代が進むなかで、この理念や成果が継承できていないのでないかと思われる傾向が見て取れます。
  「人権教育を進めるうえで大切にしたいこと」として、いずれの年代においても「(子どもの)生活背景をよく知る」を選択した割合は高くなっています。しかし、「(教育的に)不利な(環境のもとにある)子どもを中心にした仲間づくり」を選択した割合は、年代が若くなるほど少なくなっています。【問8】

問8

 また、自己開示についての設問においては、若い世代の教職員ほど、「語りやすい環境が必要」や、「問題を訴えるために必要」と回答した割合が低くなっています。【問19】

問19

各校のおける取組の観点

 「教育的に不利な環境のもとにある子どもを中心にすること」や「自己開示」等について、教職員の理解が図られていますか?

提案

 ベテラン世代の教職員が経験をふまえてこれらの意味について伝える機会を設けてはどうでしょうか。また、「そのためにどんな取組が必要なのか」等についても伝え、若い世代の教職員と話し合ってみませんか。

4 学び合う共同体としての教職員集団をつくり、人権教育の推進を!

 同僚性が高く、会議等でお互いに思っていることを伝え合うことができる学校・園では教職員の学習意欲が高いことも、今回の調査から明らかになりました。ここで提案したような取組を進めることは、人権教育の推進に役立つだけでなく、同僚性を高め、風通しのよい職場をつくることにもなります。また、このような取組を通じて学年等の小集団による研修を活性化させることは、その活動の核となるミドルリーダーの力量を高めることにもつながるのではないでしょうか。
 

5 みんなで考えたい! 人権教育Q&A

Q:「間違わないか」という不安があるのだけど、どうしたらいいの?

Answer
 人権教育に取り組むとき、「きちんと伝わるだろうか」「傷つく子はいないだろうか」等、指導内容や方法を「間違わないか」と不安を感じるのはむしろ自然なことだとも言えます。多くの先輩方も不安を抱えながら取り組んできました。その取組のなかで「差別の現実から深く学ぶ」ことを大切にしてきました。

  「差別の現実」を捉えるとは、子どもたちが置かれている生活の具体的な状況を総体として把握することです。「どうせ自分はダメだ」と諦めてしまっている子どもや、荒れという形で自分を表現する子どもたちの生活背景や地域の実態を知ることで、子ども・保護者等の願いや、それを阻害している様々な要因が浮かび上がってきます。そして、それらの要因の奥に「差別の現実」が少しずつ具体的に見えてきます。
  「深く学ぶ」とは、見えてきた子ども・保護者等の願いや生き方を知り、教職員が自分の生き方や取組を振り返りながら、教育課題を解決するための取組をつくっていくことです。さらには、その取組をすべての子どもの人権保障につながる教育活動に発展させていくことです。
  このような取組を進めることの繰り返しが、「間違わないか」という不安を乗り越えることにつながります。

Q:子どもの姿を的確に捉えるにはどうすればいいの?

Answer
 人権教育においては、家庭訪問や日記・生活ノート等の取組を通して、子どもたちが置かれている状況や生活の様子を具体的に捉えようとしてきました。また、授業・休み時間・特別活動等の様々な場面における子どもの様子を教職員間で伝え合うことも大切にしてきました。このような日々の取組の積み重ねにより、子どもの姿をより総体的に捉えることができるようになります。
 さらに、これらの取組は、教育活動を進めるうえで何よりも大切な、子どもや保護者との信頼関係を築いていくことにもつながります。

 

Q:「教育的に不利な環境のもとにある子を中心にする」って、その子だけを特別扱いしてしまうことにならないの?

Answer
 「中心にする」とは「特別扱いする」ことではありません。私たちの目の前には、差別や家庭状況等により教育的に不利な環境におかれ、学習意欲や前向きに生活する意欲をそがれてしまっている子どもがいます。そのような子どもたちの抱えている課題に取り組むことにより、その子どもたちの変容を促すだけでなく、まわりの子どもたちの抱えている教育課題をも明らかにし、その解決の糸口を見つけていくことが大切です。

 ここに取り上げたQ&Aは人権教育を進めるうえでとても重要なポイントであり、上記の「Answer」だけでは十分な答えにはなりません。それぞれの学校において、子どもの姿や先生方の様々な経験をふまえた議論のなかで学び合い、よりよい「Answer」を探していただければと思います。

 

本ページに関する問い合わせ先

三重県 教育委員会事務局 人権教育課 調査研修班 〒514-0113 
津市一身田大古曽693-1(人権センター内)
電話番号:059-233-5520 
ファクス番号:059-233-5523 
メールアドレス:jinkyoui@pref.mie.lg.jp

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