水産普及だより 第 27-2号 平成27年6月30日
~海野ヒジキ復活作戦~
昨年の普及だよりのなかで紹介したこともありますが、紀北町の海野で本年もヒジキ増殖の取り組みを行いました。本年は、「水産多面的機能発揮対策事業※1」の一環として、地元の海野小学校の生徒さんに種まきを手伝ってもらいました。
~磯掃除とヒジキ採取~
人工的にまいたヒジキをうまく成長させるには、あらかじめヒジキの種が磯場にくっつきやすくしておく必要があります。そこで6月1日に海野漁協所属の漁師さんたちで磯の表面についているイガイやフジツボなどを取り除き、ヒジキが生えやすい下地を作りました。
その後、近くの磯に生えているヒジキの根っこをちぎらないように気を付けながら上の方を刈り取り、陸上の水槽に移しました。そこから受精卵(ここでは分かりやすいので種と呼んでいます)が落ちてくるのを待ちました。
写真1・・・磯掃除の様子
~ヒジキ種まき~
ヒジキの種が十分集まったので、6月17日に海野小学校の生徒さんと再び同じ磯を訪れました。ここで、来年にはまいたヒジキが大きく育ってくれるよう願いを込めながら、集めた種を磯場にまきました。小学生が磯場を歩くとなると、足場が不安定だったり、まわりの岩がゴツゴツしていて安全面が心配だったのですが、さすがは地元っ子。種まき用のジョウロを持っていても、スイスイと磯を歩き回っていました。これから先、この子どもたちが磯に遊びに来たときには、ヒジキのことを思い出して、その成長もそっと見守っていってほしいですね。
写真2・・・先生の指示に従い、ヒジキの種をまく子どもたち
※1 水産多面的機能発揮対策・・・漁村をはじめ、水産業に携わる場所は、我々国民においしい魚介類を供給することはもちろん、海岸線などの水域の監視・救助といった生命・財産を守るはたらき、あるいは水にすむ生き物を育む藻場や干潟などを守るはたらきや、地域独特の祭りや郷土料理など文化を継承する役割があります。さらには、漁業体験や環境学習、魚食普及活動などの貴重な体験・教育の場を提供するはたらきもあります。このような漁村が持つ水産物供給以外の様々な機能を、「水産業・漁村の多面的機能」と呼んでいます。こうした機能を漁業者が発揮させて漁村を守っていく、その取り組みを国が支援する、それが水産多面的機能発揮対策事業と呼ばれるものです。