三重県教育委員会では、平成28年度全国学力・学習状況調査の結果を分析し、その分析結果とともに、子どもたちの学力向上に向けた今後の取組等を「分析報告書」としてまとめました。
また、「分析報告書」を有効に活用していただくため、その内容や特徴を簡潔に、見やすくまとめた「ガイドブック」もあわせて作成しました。分析報告書の主な内容等については、次のとおりです。
1 「分析報告書」の構成
第1章 三重県全体概況
第2章 教科に関する調査の分析
第3章 学校質問紙調査の分析
第4章 児童生徒質問紙調査の分析
第5章 学習指導要領の改訂等も見据えた調査項目の分析
第6章 県内外の取組事例
第7章 学力向上に向けた施策取組結果等の状況
第8章 児童生徒の学力向上のための今後の取組
第9章 各市町等別の質問紙調査
2 主な分析の概要
※< >内は、「ガイドブック」のページ数を、( )内は、「分析報告書」のページ数を示します。
(1)教科に関する調査結果<ガイドブックP.1~>(分析報告書P.3~、P.20~)
小学校では、調査開始以来初めて、「国語B」、「算数A」で全国の平均正答率を上回りました。中
学校では、「数学A」で全国の平均正答率に並び、小中学校合わせた8教科中3教科で全国の平均正答
率以上となりました。
無解答率についても、8教科中6教科で全国の平均無解答率との差が、これまでになく改善されまし
た。
各学校では、組織的・継続的な授業改善のPDCAサイクルを活用した教職員の取組が一層推進され
るとともに、子どもたちが日頃の学習活動に、主体的に根気よく取り組んできたことが、成果に結びつ
いたと考えます。
(2)学校質問紙調査結果<P.2~>(P.5~、P.29~)
中学校での組織的な取組(校長による授業の見回り、「目標(めあて・ねらい)の提示」、「振り返
る活動」等)の改善が見られます。小学校では、昨年度から更に改善が進んでいます。
(3)児童生徒質問紙調査結果<P.3~>(P.5~、P.43~)
テレビの視聴時間等の改善が見られますが、スマホ等の使用時間や家での学習習慣(学習時間、復習
等)、自主的な読書の時間については、引き続き課題が見られます。小学校では改善の方向にあるもの
の、中学校ではあまり改善が見られない状況です。
3 特徴的な分析結果
(1)平成25年度小学校第6学年、平成28年度中学校第3学年の同一児童生徒の分析
<P.1>(P.16~)
・全教科で平均正答率・無解答率ともに全国との差が改善。
・スマホ等の使用時間、自主的な読書等には、依然として課題が残るものの、学校の組織的な取組等多
くの項目で改善。
(2)課題が見られる教科の検証<P.1>(P.28)
① 小中学校国語A問題の「漢字の読み書き」
・「書き」はもとより「読み」にも継続的に課題が見られる。
② 中学校国語
・中学校国語で継続的に成果が見られる学校では、主体的・協働的な学びの視点による学習指導や図
書館資料を活用した授業を計画的に実施。
(3)キャリア教育<P.2>(P.13、P.41~)
・「授業で学習したことは普段の生活や社会に出たときに役立つ」と肯定的な回答をした児童生徒の割
合は全国より高く、肯定的な回答をした児童生徒ほど平均正答率も高い。
(4)学力が向上した中学校の取組<P.3>(P.31~)
・中学校数学では、習熟の遅い/早いグループへの少人数指導の取組が効果的。
(5)就寝時刻<P.4>(P.9)
・小学校では、基本的に就寝時刻が遅くなるほど、各教科の平均正答率も低下。
(6)規範意識<P.4>(P.65~)
・昨年度に引き続き、「学校の決まりを守っている」等と肯定的な回答をした児童生徒ほど、国語B問
題をはじめ教科を問わず、平均正答率も高い。
(7)自尊感情・自己肯定感<P.4~>(P.14~、62~)
・「先生がよいところを認めてくれている」「理解していないところについて、分かるまで教えてくれ
る」と肯定的な回答をした児童生徒の割合は、全国より高く、肯定的な回答をした児童生徒ほど平均
正答率が高い。
4 今後の取組について
「毎日が未来への分岐点」との認識のもと、全ては子どもたちの笑顔のために、授業改善等の取組の凡
事徹底を進めるとともに、子どもたちが達成感・自己肯定感を持ち、その能力を最大限に引き出すことが
できるよう、県教育委員会では教育行政の立場から創意工夫した取組を進め、学校・家庭・地域の取組を
支援していきます。
5 その他
「分析報告書」及び「ガイドブック」は、小中学校教育課・学力向上推進プロジェクトチームのホームページ
に掲載しています。(http://www.mie-c.ed.jp/shochu/)