三重県教育委員会では、平成29年度全国学力・学習状況調査の結果を分析し、その分析結果とともに、
子どもたちの学力向上に向けた今後の取組等を「分析報告書」としてまとめました。
また、「分析報告書」を有効に活用していただくため、子どもたちの経年的な課題を中心に概要をまとめ
た「ガイドブック」もあわせて作成しました。分析報告書の主な内容等については、次のとおりです。
1 「分析報告書」の構成
第1章 三重県全体概況
第2章 教科に関する調査結果の分析
第3章 質問紙調査結果の分析
第4章 県内の取組
第5章 「みえの学力向上県民運動」主な関連指標(三重県の経年比較)
第6章 今後の取組
第7章 市町等別調査結果・分析と今後の取組
2 主な分析の概要
※< >内は、「ガイドブック」のページ数を、( )内は、「分析報告書」のページ数を示します。
(1)教科に関する調査結果<ガイドブックP.1>(分析報告書P.3~、P.20~)
全国の平均正答率を上回ったのは中学校数学Aのみにとどまりました。
平均無解答率は小中学校合わせて8教科中6教科で全国平均よりも低く、子どもたちの最後まで頑張
ろうとする姿が見られ、「やればできる」という思いが形になってきています。
(2)質問紙調査結果<P.1~>(P.5~、P.32~)
「自分にはよいところがある」と回答した児童生徒の割合は増加傾向にあり、多くの大人が関わり励
ますことで、子どもたちの自尊感情・自己肯定感が高まっています。
一方で、スマホの使用時間、家庭での学習時間、自主的な読書時間には継続的に課題が見られます。
今後、児童生徒の「自己管理能力」を育む観点からも、学校・家庭・地域が一体となった生活習慣の改
善に向けた取組が必要です。
(3)県内の取組<P.12>(P.43~)
平成26年度と平成29年度を比較して課題の改善が見られた小学校では、「主体的・対話的で深い
学び」の視点による学習指導の改善を図った授業の取組で大きな効果が見られました。中学校では、
数学における習熟度別少人数指導、補充的な学習サポートの実施で大きな効果が見られました。
3 特徴的な分析
(1)平成26年度小学校第6学年、平成29年度中学校第3学年の同一児童生徒の分析
<P.1>(P.16~)
・全教科で平均正答率・無解答率ともに全国との差が改善。
・自尊感情・自己肯定感、家庭学習の習慣に改善が見られるが、スマホ等の使用時間、自主的な読書
等は、依然として課題。
・学校の組織的な取組(目標(めあて・ねらい)の提示、振り返る活動)が改善。
(2)教科に関するみえの子どもたちの経年的な課題<P.3~>(P.26~)
・「根拠に基づいて自分の考えを書くこと」「引用したり要約したりして書くこと」「割合」「図
形」の4つの経年的な課題について、学習内容における各学年の系統性や指導のポイントを示し
た。
(3)自尊感情・自己肯定感<P.9>(P.7~、P.32)
・「ものごとを最後までやり遂げて、うれしかったことがある」と肯定的な回答をした児童生徒の割
合は増加傾向にあり、肯定的な回答をした児童生徒ほど平均正答率が高い傾向にある。
(4)学習習慣<P.9>(P.9)
・平日・休日ともに「1時間以上勉強している」と回答した児童生徒の平均正答率は、ほとんどの教
科で全国の平均正答率を上回っている。
(5)生活習慣<P.10>(P.5~)
・小学校では、ゲームをする時間などのルールが決められている児童の平均正答率が高い傾向にあ
る。
・昨年度まで改善傾向にあった平日のスマホ等の使用時間に、本年度は改善が見られない。また、
「使い方について、家の人との約束がない」児童生徒の割合が、それぞれ12.5%、22.3%を占め
ている。
(6)読書習慣<P.11>(P.36)
・昨年度に引き続き、「読書は好き」と肯定的な回答をした児童生徒ほど平均正答率が高い傾向にあ
る。
(7)地域との関わり<P.11>(P.10、P.41)
・「地域や社会で起こっている問題や出来事に関心がある」と肯定的な回答をした児童生徒ほど平均
正答率が高い傾向にある。
4 今後の取組について
子どもたちの「わからない」「できない」を「わかった」「できた」という実感につなげる取組が進め
られるよう、県教育委員会では、「全ては子どもたちの笑顔のために」という強い思いで、広域教育行政
の立場から創意工夫した取組を進め、より一層市町と連携しながら学校・家庭・地域の取組を支援してま
いります。
5 その他
「分析報告書」及び「ガイドブック」は、小中学校教育課・学力向上推進プロジェクトチームのホームページ
に掲載します。(http://www.mie-c.ed.jp/shochu/)