三重県教育委員会では、平成30年度全国学力・学習状況調査の結果を分析し、その結果及び分析を踏まえた今後の方策等を取りまとめた「分析報告書」を作成いたしました。
また、「分析報告書」を有効に活用していただくため、その概要版として、子どもたちの経年的な課題を中心にまとめた「ガイドブック」も作成いたしました。分析報告書の主な内容等については、次のとおりです。
1 本報告書の構成
第1章 三重県全体概況
第2章 教科に関する調査結果の分析
第3章 質問紙調査結果の分析
第4章 県内の取組
第5章 「みえの学力向上県民運動」主な関連指標(三重県の経年比較)
第6章 今後の取組
第7章 市町等別調査結果・分析と今後の取組
2 主な分析の概要
※< >内は「ガイドブック」のページ数を、( )内は「分析報告書」のページ数を示します。
(1)教科に関する調査結果の分析<P.3~>(P.20~)
・教科に関する調査では、全国の平均正答率を上回ったのは中学校数学Aのみにとどまりましたが、小
学校では、昨年度に比べ国語A、算数Aで、全国の平均正答率との差が縮まり、中学校では、小学校6
年生時(平成27年度調査)と比べ国語A、数学A、理科で改善しました。
・各教科で改善の見られた設問
国語:「文中で用いる漢字を正しく選択する」
「古文と現代語訳とを対応させて内容を捉える」
算数・数学:「1に当たる大きさを求める」
「数直線に示された正負の数を読み取る」
理科:「乾電池のつなぎ方と電流の向きの関係を捉える」
「原子の記号を正しく表す」
・課題の見られた設問(解答類型別に見たつまずきと指導のポイントを掲載)
国語:「根拠に基づいて自分の考えを書く」「主語・述語の関係を捉える」
算数・数学:「円周率を求める式を選択する」「人数割合、割引率を求める」
理科:「食塩水の体積と重さの関係を捉える」「実験を考察する」
(2)質問紙調査結果の分析<P.1、P.9>(P.5、P.32)
・自尊感情・自己肯定感に係る質問「自分には、よいところがあると思いますか」に、肯定的に回答した
児童生徒の割合は増加傾向にあり、過去4年間の中で最も高くなっています。
・学習意欲に係る質問「算数(数学)の問題の解き方が分からないときは、諦めずにいろいろな方法を考
えますか」に、肯定的に回答した児童生徒の割合は、全国を上回る状況が続いていますが、本県の割合
を経年で比較すると、減少しています。
・家庭における学習習慣に係る質問「学校の授業時間以外に、普段(月曜日から金曜日)、1日当たりど
れくらいの時間、勉強をしますか」に、「1時間以上勉強している」と回答した児童生徒の割合は、昨
年度より増加し、過去4年間の中で最も高い状況にありますが、全国平均を下回る状況が続いていま
す。
・読書習慣に係る質問「学校の授業時間以外に、普段(月曜日から金曜日)、1日当たりどれくらいの時
間、読書をしますか」に、「10分以上読書をしている」と回答した児童生徒の割合は、昨年度に比べ
て増加していますが、依然として全国を下回っています。
3 特徴的な分析
(1)家の人との対話<P.2、P.11>(P.5、P.37)
・肯定的に回答した児童生徒の割合は、昨年度より増加し、過去4年間の中で最も高くなっています。教
科に関する調査の平均正答率との関連について、対話をしている児童生徒と全くしていない児童生徒の
平均正答率に差(10ポイント以上)が見られます(特にB問題)。
・子どもたちの自尊感情・自己肯定感等と家の人との対話を、経年で比較すると児童生徒ともに同じよう
な伸びを示していることから、家族との対話が自尊感情の高まりにもつながると考えられます。
(2)規範意識<P.9>(P.7、P.33)
・規範意識が高いほど、小学校では国語B、算数Bで、中学校では数学A・B、理科で、平均正答率が高
い傾向が見られます。
・授業規律が守られているクラスでは、子どもたち一人ひとりの学習活動(考えたり、表現したりするこ
と)が確実に保証されることから、平均正答率に影響していると考えられます。
(3)県内の取組<P.12~>(P.49~)
子どもたちの学習内容の理解と定着、効果的な習熟度別少人数指導、家庭・地域との連携、読書活動の
充実の4つの視点から県内の取組事例を紹介
○子どもたちの学習内容の理解と定着につなげる取組
・割合の量感イメージを捉えさせるため、全学年で図示する活動の指導を徹底している。(四日市
市立保々小)
・朝と昼の時間帯を活用した漢字(漢字検定)と計算の補充学習を設定し、子どもに明確な目標を
持たせて取り組ませることで、基礎基本の確実な定着につなげている。(津市立敬和小)
○効果的な習熟度別少人数指導の実践
・指導教諭をキーパーソンとして習熟度別少人数指導を推進している。単元テスト等の分析結果の
データを基に学級での課題や一人ひとりのつまずきを把握し、系統立てた指導につなげている。
(東員町立神田小)
・習熟度別指導にあたって、生徒・保護者に丁寧な説明と面談を実施することで、生徒の適切な
コース選択につなげている。(伊勢市立二見中)
○家庭・地域との協力による基礎基本の定着を図る取組
・家庭・地域ボランティアの協力を得て、全校での補充学習の実施。確認テスト・金曜日の補充学
習・週末の家庭学習の流れにより、学習内容の定着につなげている。(亀山市立神辺小)
○読書活動の充実に向けた取組
・学校司書の配置、計画的な図書購入など読書環境を整備することで、子どもたちの読書時間の改
善につなげている。(御浜町教委)
4 今後の取組について
子どもたちの「わからない」「できない」を、「わかった」「できた」という実感につなげられるよ
う、県教育委員会では、広域教育行政の立場から、子どもたちが学習内容を確実に理解・定着できる取組
を進め、より一層市町と連携しながら学校・家庭・地域の取組を支援してまいります。
5 その他
「分析報告書」及び「ガイドブック」は、小中学校教育課・学力向上推進プロジェクトチームのホームページ
に掲載します。(http://www.mie-c.ed.jp/shochu/)