三重県教育委員会では、平成31年度(令和元年度)全国学力・学習状況調査の結果を分析し、その結果及び分析をふまえた今後の取組等をとりまとめた「分析報告書」を作成いたしました。
分析報告書の主な内容等については、次のとおりです。
1 本報告書の構成
第1章 教科に関する調査の結果
第2章 児童生徒・学校質問紙調査の結果
第3章 県内の取組(学校等の取組事例)
第4章 「みえの学力向上県民運動」主な関連指標(短期的・中期的な変化)
第5章 今後の取組
第6章 市町等別調査結果の分析及び今後の取組
2 主な分析の概要 ※< >内は「分析報告書」のページ数を示します。
(1)教科に関する調査の結果<P.3~>
・教科に関する調査では、小中学校合わせた5教科中4教科(小学校国語・算数、中学校数学・英語)
で全国の平均正答率以上となりました。また、平均無解答率は、全教科(小学校国語・算数、中学校
国語・数学・英語)で全国より良好な水準となりました。
・各教科で改善の見られた設問
国語:「目的に応じて、文章の内容を的確に押さえ、自分の考えを明確にしながら読む」
「文章に表れているものの見方や考え方について、自分の考えをもつ」
算数・数学:「加法と乗法の混合した整数と小数の計算をする」
「証明の根拠として用いられている三角形の合同条件を理解する」
英語:「文の中で適切に接続詞を用いる」
・課題の見られた設問(解答類型別に見たつまずきと指導のポイントを掲載)
国語:「目的に応じて自分の考えの理由を明確にし、まとめて書く」
「文章の展開に即して情報を整理し、目的や必要に応じて情報を過不足なく選択する」
算数・数学:「示された計算の仕方を解釈し、減法の場合を基に、除法に関して成り立つ性質を記
述する」
「事象を数学的に解釈し、問題解決の方法を数学的に説明する」
英語:「まとまりのある文章を読んで、説明文の大切な部分を理解する」
(2)質問紙調査結果の分析<P.21~>
①児童生徒質問紙調査
・自己肯定感、挑戦心、達成感に係る質問「ものごとを最後までやり遂げて、うれしかったことがあ
る」に肯定的に回答した小中学生の割合は9割を超えています。
・国語、算数・数学の興味関心に係る質問「授業の内容はよく分かりますか」に肯定的に回答した小中
学生の割合は増加傾向にあり、平成28年度からの過去4年間で最も高くなりました。
・英語の興味関心に係る質問「英語の授業はよく分かりますか」に肯定的に回答した中学生の割合は、
全国平均より高い状況です。
・家庭における学習習慣に係る質問「学校の授業時間以外に、普段(月曜日から金曜日)、1日当たり
どれくらいの時間、勉強をしますか」に「1時間以上勉強している」と回答した小中学生の割合は、
平成28年度以降増加傾向にありますが、全国平均を下回る状況が続いています。
・読書習慣に係る質問「学校の授業時間以外に、普段(月曜日から金曜日)、1日当たりどれくらいの
時間、読書をしますか」に「10分以上読書をしている」と回答した小中学生の割合は、昨年度に比
べて減少し、全国平均を下回っています。
・主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善に係る質問「授業では、課題の解決に向けて、自分
で考え、自分から取り組んでいたと思いますか」に「当てはまる」と回答した小中学生の割合は、昨
年度に比べて増加しています。
②学校質問紙調査
・カリキュラム・マネジメントに係る質問「児童生徒の姿や地域の現状等に関する調査や各種データに
基づき、教育課程を編成し、実施し、評価して改善を図る一連のPDCAサイクルを確立しています
か」に「よくしている」と回答した小中学校の割合は、昨年度に比べて増加しています。
3 県内の取組(学校等の取組事例)<P.33~>
子どもたちの学習内容の理解と定着、家庭学習、効果的な習熟度別少人数指導、「書く力」の育成、
外国語教育の5つの視点から県内の取組事例を紹介
(1)子どもたちの学習内容の理解と定着につなげる取組
・朝の学習等において、「やりっぱなし」ではなく、解説など細かくフォローすることを大切にし、
定着状況を把握して「できなかったことをできる」ようにする取組を教職員全体で行っている。
(川越町立川越南小)
・学習内容の理解と定着を図るため、全国学調、みえスタディ・チェック、ワークシート
(学-Viva!!セット)を計画的に活用した取組を全学年、全クラスで行っている。(紀北町立潮
南中)
(2)家庭学習の取組
・中学校区で授業、家庭学習の方法を統一するとともに、家庭学習で予習・復習ができるよう授業と
家庭学習を連動させている。(松阪市立山室山小)
・子どもたちが意欲的に家庭学習に取り組むことができるように、学校・家庭が連携して家庭学習に
取り組む時間の設定(「橋南スタディタイム」)や、学校独自の自主学習ノート(「KYONAN
Study Note」)の活用など、学習習慣の確立に向けた工夫をしている。(津市立橋南中)
(3)効果的な習熟度別少人数指導の工夫
・子どもたちが自分の言葉で相手に分かりやすく説明する力を付けられるよう、習熟の違いに応じて
3つのコースを設定し、習熟の違いに応じた「子どもが説明する方法」を工夫している。(四日市
市立楠小)
(4)「書く力」の育成
・全教科の授業で「ふり返る活動」の時間を確保したり、プリント教材を活用した「書く力」を身に
付ける取組を実施したりするなど、「書く」活動を軸にした取組を行っている。(亀山市教育委員
会)
(5)外国語教育
・外国語活動(第3・4学年)及び外国語科(第5・6学年)先行実施をより充実したものとするた
め、モデル校を中心とした英語指導法の研究・開発を行っている。(亀山市教育委員会)
4 今後の取組について
子どもたちの「わからない」「できない」を、「わかった」「できた」という実感につなげ、学習指
導要領で求められる力を確実に身に付けられるよう、県教育委員会としてこれまで以上に市町等教育委
員会と連携しながら、各学校・各市町の状況に応じた取組や学校・家庭・地域が一体となった取組を支
援してまいります。
5 その他
「分析報告書」は、みえの学力向上県民運動のホームページに掲載します。
(http://www.mie-c.ed.jp/kenminundou/)