2003(平成15) 年度 当初予算 基本事業目的評価表 |
基本事業名 | 31401 公共財としてとらえた森林環境の創造 | 評価者 | 所属 | 環境部森林環境創造チーム | 職名 | マネージャー | 氏名 | 山内 秀喜 | 電話番号 | 059-224-2564 PHS 5933 | メール | yamauh00@pref.mie.jp | 評価年月日 | 2002年11月26日 |
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政策・事業体系上の位置づけ | 政策: | 自然との共生の確保 | 施策: | 314 森林・農地・海洋の持つ公益的機能の増進 | 施策の数値目標: | 公益的機能を高度に発揮できる森林面積 |
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基本事業の目的 | 【誰、何が(対象)】 |
環境林として区分された森林が |
【抱えている課題やニーズ】 |
森林は、水源の涵養、土砂災害の防止、野生鳥獣の生息の場、人々の心の安らぎの場の提供、二酸化炭素吸収による地球温暖化防止機能など様々な公益的機能を持っています。森林がこうした機能を発揮するには、適正な管理が継続して行われることが必要です。しかし、林業を取り巻く情勢は木材価格の低迷による採算性の悪化などで厳しく、保全できない森林が増加し、公益的機能の維持が危惧される状況です。このため、県内の森林を対象に一律的に行ってきた従来型の森林・林業施策を転換し、(1)木材生産を主体として資源の循環利用を行う森林を「生産林」(2)林業生産を目的とせず、森林の環境公益の高度発揮を目指す森林を「環境林」と大きく区分し、区分に応じた効果的、効率的な森林施策を展開することとしました。「環境林」に区分した森林には、放置された人工林、人との共生林、広葉樹林が有りますが、手入れ不足による公益的機能の低下が危惧されるため、環境林の適正な管理が必要となっています。 |
という状態を |
【どのような状態になることを狙っているのか(意図)】 |
環境林の持つ公益的機能が高度に発揮されています。 |
という状態にします。 |
その結果、どのような成果を実現したいのか(結果=施策の目的(2010年度のめざす姿)) |
持続的な生産活動や活発な県民運動が展開され、耕作放棄地、荒廃森林の縮小や汚染海域の浄化などによって、森林、農地、海洋が良好に維持され、これらの持つ多くの公益的機能が発揮されています。 |
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数値目標に関する説明・留意事項 | 環境公益性の高度発揮をめざした森林環境創造事業による森林づくりの担い手である、認定林業事業体従事者数。 「2002年度末実績値は、2002年10月現在の見込み値」 |
2003年度 マネジメント参考指標の実績 | | 種類 | マネジメント参考指標 | 数値目標の困難度 | 達成度/5点 |
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1 | 事業量 | 環境林整備累計面積 | かなり挑戦的な目標 | | 2 | 協働度 | 森林管理協議会数 | 挑戦的な目標 | | 3 | | | | | 4 | | | | | 5 | | | | | 6 | | | | |
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<参考>マネジメント参考指標の種類 | | 事業量(必置)=主要な活動に関する参考指標(アウトプットなど) | | 協働度(必置)=対象者や他団体等との連携・協働に関する参考指標(意見反映件数等) | | 比 較(任意)=他団体等との比較に関する参考指標(全国順位など) | | 副次的(任意)=間接的・副次的な効果や成果に関する参考指標(アウトカムなど) |
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2003年度 マネジメント参考指標に関する説明・留意事項 | 多様な公益的機能の持続的な発揮を目指し、森林を公共財として位置づけて公的に管理する「森林環境創造事業」を始めとする環境林整備の実施面積を指標とします。 |
基本事業の評価 |
2002年度の取組内容 | 成果の達成見込み |
概ね順調 |
これまでの取組内容と成果(見込み)、成果を得られた要因と考えられること |
森林GISを活用して作成した、県内全域の森林ゾーニングに基づき、市町村主体で関係者の合意形成を図っています。また、2002年度から県内全域を対象とした「森林環境創造事業」や「緑の雇用事業」を宮川村を始め県内30市町村で実施しました。認定林業事業体が増加し、雇用者も増加しました。また、各市町村において森林ゾーニング委員会や森林管理協議会が設立され、関係者の合意形成と、地域の自発的な取り組みが進んだことが成果の要因です。 |
翌年度移行に残る(見込みの)課題、その要因と考えられること |
この施策の実施にあたっては、公共財として位置づけた環境林の地球温暖化防止機能や水源かん養機能などの公益的機能の高度発揮が必要であるため、面的に広がりのある効果的な環境林整備となるよう森林所有者、森林組合、市町村等と協働して取り組んでいくことが重要です。 また、このような管理施策は、環境林が持つ様々な機能を安定的に発揮するまで、長期的、継続的に行われることが重要です。さらに、京都議定書の批准に伴う地球温暖化防止に貢献する森林吸収源対策を推進するための新たな制度が必要となっています。 |
基本事業の展開 |
2003年度 施策から見たこの基本事業の取組方向 | 基本事業間の戦略での位置づけ |
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注力 | 総括マネージャーの方針・指示 | 改革方向 |
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↑ | 森林環境創造事業による環境林整備の計画的な推進と中山間地域定住化促進につながるバイオマス関連施策の着実な実行を進めること | 改善する |
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<参考>注力:取組への思い入れや経営資源投入など施策の中での力の入れ具合 | | ↑=相対的に力を入れて取り組んでいく | | →=従来どおりの力の入れ具合で取り組んでいく | | ↓=相対的に力の入れ具合を抑えていく |
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2003年度の取組方向 | 森林総務管理費は、効率化を進め、極力経費の節減に努めます。 地域森林計画は南伊勢地域の計画編成のほか、北伊勢、伊賀、尾鷲熊野地域の計画変更及び各計画区の実行確保を図ります。また、環境に配慮した持続可能な森林経営への国際的取り組みFSC森林認証を支援します。 森林環境創造事業等による環境林整備は2002年度と同様に、2,250haを計画します。そのうち480haは、緊急地域雇用対策特別基金による「緑の雇用事業」を活用して整備し、森林環境創造事業等では1,770haを整備します。特に、地球温暖化防止に貢献する森林吸収源対策が重要な課題となっているため、森林吸収源対策として森林環境創造事業等による環境林整備を有効に機能させ、環境林づくり計画に基づいた効果的かつ継続的な整備を進めるとともに、持続的な資源を循環して利用する森林バイオマス利用の促進や森林吸収源対策推進プランの策定、県民への情報提供等を行います。 |
総合行政の視点からの取組 | 我が国の森林による二酸化炭素吸収量の目標達成に向けた地球温暖化防止のための森林吸収源対策に関連する環境林づくりの推進や森林保全の推進、森林バイオマスの有効利用の促進など様々な施策を総合して、「三重県の地球温暖化防止対策」として総合行政に位置づけています。 |
2003年度 構成する事務事業と事務事業間の戦略(注力、改革方向) (要求額:千円、所要時間:時間) |
基本事業名 | 要求額 | 対前年 | 所要時間 | 対前年 | 注力 | 改革方向 | 貢献度合 | 効果発現時期 |
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事業概要 | マネージャーの方針・指示 |
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A 地域森林計画編成事業費 | 15,332 | 2,232 | 1,779 | 259 | → | 改善する | 間接的 | 中期的 | 持続可能な森林管理を推進するため、県内の4森林計画区ごとに森林に関する基本的事項を計画し、地域特性に応じた森林整備上の指針を明らかにします。 また、国際的に合意された「持続可能な森林経営」に関する基準・指標に係るデータについて調査します。 | 森林法改正に伴う地域森林計画の変更など、新たな森林管理方針の指針となる計画として、地域の実情に応じて策定すること | B 森林施業計画推進事業 | 342 | -556 | 2,300 | -20 | → | 現状維持 | 間接的 | 中期的 | 平成14年度から森林の多面的機能の持続的発揮を図る観点から森林計画制度が見直され、重視すべき機能区分に応じた望ましい森林整備を推進することとされました。このため、森林所有者が策定する新たな森林施業計画制度の森林所有者等への周知と、当計画の認定事務を行う市町村への助言を行います。 | 新たな森林・林業基本方針に対応する施業計画は必要であるため、効率的・計画的に事業を推進すること | C 森林総務管理費 | 8,975 | -742 | 2,850 | 0 | → | 改善する | 間接的 | 即効的 | 森林施策に伴う管理等に関する経費 1.森林資源管理情報システム保守管理経費 2.緑資源公団事業調査受託事業 3.森林審議会経費 4.職員技術研修経費 5.関係管理事務費 | 森林GISの有効な活用と、森林情報を効率的に県民へ提供できるようシステムの改良を進めること | D 森林環境創造事業費 | 292,936 | -140,504 | 6,035 | -2,895 | ↑ | 改善する | 直接的 | 長期的 | 環境林に区分した森林のうち、所有者から提供された森林を、広葉樹の導入等環境公益性の発揮を主目的に整備し、併せて雇用の創出による定住化の促進、県土の有効利用を図ります。 | 環境林整備を進める新たな取組みとしての当事業は全国的にも率先した取組みであり、森林吸収源対策としても効果的な事業であるため、積極的に事業を進めること | E 森林再生CO2吸収量確保対策事業費 | 106,360 | - | 2,391 | - | ↑ | | 直接的 | 長期的 | 森林の機能に応じた適正な管理を実施するため、森林地理情報システム(森林GIS)を活用し、森林を機能に応じて区分した「環境林」と「生産林」のうち「環境林」については、森林所有者から公共財として20年間森林の提供を受け、地球温暖化防止を図るため、生長の良い若齢林を中心として、二酸化炭素吸収機能を持続的に発揮させるため、地域と行政が一体となった管理を実施します。 | 地球温暖化防止に貢献する森林吸収源対策を進めるために全国に先駆け率先して事業を創設し、進めること | F 森林バイオマスエネルギー利用促進モデル事業費 | 59,159 | - | 2,304 | - | ↑ | | 間接的 | 即効的 | 地球温暖化を防止する森林吸収源対策として、森林バイオマス活用システムの普及促進にかかる調査と発電システムを構築する市町村に対して、モデル的に環境林からの間伐材を原材料として活用するための支援を行います。 | 地球温暖化防止対策のための森林吸収源対策として、間伐材を有効活用して、森林バイオマス活用システムを構築することは今後の有効な対策の一つであるため、事業を創設してシステム化を図ること | G FSC森林認証取得支援事業費 | 2,200 | - | 481 | - | → | 現状維持 | 直接的 | 長期的 | 環境に配慮して適切な森林経営がされていることを国際的に認証するFSC森林認証取得を支援します。 | 21世紀に向けた持続可能な開発のための行動計画として合意された「アジェンダ21」を契機として、「持続可能な森林経営」への国際的取り組みを積極的に展開するため、環境に配慮した持続的な森林経営を国際基準をもって長期的な視点から判断するこの森林認証を進めること。 | H FSCの森林サミット開催事業 | 5,000 | - | 1,900 | - | ↑ | | 間接的 | 即効的 | 全国の森林認証取得団体が一同に会し、FSCのPR、今後の取り組み等について語り合い、認証取得森林の拡大を図ると共に、一般住民、住宅関連会社等に参加を呼びかけ、FSC材使用事例のパネル展示、及び森林所有者・COC認証工場・住宅関連会社・住民による意見交換会を開催し、認証材の利用拡大、COC認証工場での加工の促進を図ります。 名古屋・大阪へFSC材のPRキャラバン隊を派遣すると共に、尾鷲市有林の「ゆとりの森」において、森林のみならず地球温暖化対策全般について勉強会を開催し、八鬼山越えの熊野古道をハイキングし、広く住民に環境教育、FSC材のPRを行います。 古道のイメージアップを図ると共に、FSC材のPRを行うため、FSC材を活用し、FSCの森林及び熊野古道の案内標識を設置すると共に、国道、県道からの誘導標識、及び古くなった標識をFSC材により、新たに設置します。 | FSCは、環境保全の点から見て適切で、社会的な利益にかない、経済的にも持続可能な森林管理を行うしくみであるため、FSCに関するPRを進めることは、環境に配慮した持続可能な森林が確保され、森林の公益的機能が増進することとなることから、この事業を創設・実施して、FSC制度を更に普及すること | I 環境林学び・ふれあい促進事業 | 6,900 | - | 1,500 | - | ↑ | | 間接的 | 即効的 | 環境林における森林環境教育や健康づくり等の活動を通して、県民等に環境林について理解を深めてもらうとともに、森林管理を担う人材を育成することを目的とし、環境林を多面的に活用していくための仕組みづくりを行います。また、子どもたちを次代の森林や環境を担う人材として育成していくことを目的とし、環境林と位置づけられる学校林等において、小中学生にさまざまな森林体験学習・森林体験活動のプログラムを提供するための条件整備を行います。 | CO2の吸収源としての森林の役割を学ぶなど、環境林を活用した森林環境教育は、未来の地球環境を守る人材育成に必要であるため、環境林の有効活用と併せて、総合的な森林吸収源対策となるよう事業を創設して対応すること |
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<参考> 貢献度合: | 直接的=基本事業の目的達成などに直接関連・影響する | | 間接的=基本事業の目的達成などへの関連・影響の度合が副次的で、相対的に低い | | 考慮外=基本事業の成果への関連・影響の度合が副次的で、相対的に低い | <参考> 効果発現時期: | 即効性=基本事業の目的達成などに2年以下で効果を出す | | 中期的=基本事業の目的達成などに概ね3年〜5年で効果を出す | | 長期的=基本事業の目的達成などに概ね6年以上で効果を出す |
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休廃止する事務事業 | 事務事業 | 理由 | 2002年度予算額(千円) | 2002年度所要時間(時間) |
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市町村森林整備計画強化促進事業費 | 下記事業の廃止により廃止 | 740 | 851 | 市町村森林整備計画強化促進事業費補助金 | 事業の見直しによる廃止 | 3148 | 1066 | 森林計画実行事業費 | 森林GISが整備されたことによる廃止 | 930 | 1064 | 森林施業団地共同化計画事業費補助金 | 森林法の改正による廃止 | 1716 | 1321 | 海辺の森林公有林化支援事業費補助金 | 事業の見直しによる廃止 | 6422 | 270 |
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