安全・安心な水の供給を今後も持続するにあたり、当庁では、今後の経営の方向性や道筋を示す三重県企業庁経営計画(平成 29 年度~令和 8 年度)(以下「経営計画」という。) に基づき、事業ごとに経営目標を設定して取組を進めているところです。
一方で、技術系職員の確保困難、施設の耐震化や老朽化等に伴う対応、世界的な脱炭素への取組など、当庁を取り巻く環境の変化に的確に対応する必要があることから、合理的かつ計画的で実効性の高い経営をめざし、以下のとおり不断の改革に取り組みます。
1 企業庁を取り巻く環境の変化
(1) 人材確保・人材育成
当庁の技術系職員は、40歳以上の職員が約8割を占め、年齢構成に偏りがあることに加え、採用状況につ
いてもここ数年厳しさを増しており、人材の確保が困難になっています。
そのため、技術系職員の人材確保対策、若手職員への技術継承や早期育成等が求められるとともに、今まで
以上にデジタル技術を活用した効果的、効率的な仕事の進め方が求められています。
(2) 施設の耐震化や老朽化等に伴う対応
令和4年5月に愛知県で発生した明治用水頭首工の大規模な漏水事故や、9月に静岡県内で発生した台風
15号の豪雨による広範囲の断水などにより、強靱な体制で持続してサービスを提供することへの関心が一層
高まっています。
当庁においては、今後発生が予想される南海トラフ地震など大規模地震に備える耐震化、更新時期を迎え
る施設等の老朽化対策、集中豪雨などの被害に備える風水害対策について、経営計画に基づき確実に実施す
ることで、強靱な水道・工業用水道を構築していく必要があります。
(3) 脱炭素に向けた社会の動き
世界的な脱炭素への取組が加速するなか、国において、令和3年10月に「地球温暖化対策計画」が改定さ
れ、本県においては、令和5年3月に「三重県地球温暖化対策総合計画」(以下、「県総合計画」とい
う。)を改定しました。当庁においては、従来から太陽光発電設備や小水力発電設備を設置するとともに設
備の更新時には省エネ機器を導入し、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいますが、脱炭素社会の実現
に向けて、取組を一層加速させる必要があります。
2 経営改革を進めるにあたっての考え方と令和5年度の取組
(1) 経営改革を進めるにあたっての考え方
県民のくらしの安全・安心の確保や地域経済の発展に貢献し、県民から信頼される地方公営企業として、取
り巻く環境の変化に的確に対応し、今後も水を安定して供給していくため、経営基盤を強化していきます。
そのため、受水市町、工業用水ユーザー等へ積極的に当庁の経営情報を提供し、関係性を深めるとともに、
当庁職員の技術力を確保したうえで、今後の経営に必要な方策を検討していきます。
(2) 令和5年度の取組
令和5年度に実施する経営改革に関する取組(令和5年6月時点)については、以下のとおりです。
ア 人材確保・人材育成
高校、大学への個別訪問や浄水場等の職場見学会、インターンシップ等を実施し、人材確保につなげると
ともに、OJT指導者への研修内容の充実による指導力強化や新規採用職員等への面談を行い、若手職員へ
の技術継承や人材育成を進めます。
イ 業務の効率化・デジタル技術の活用
施設の更新や維持管理について、より一層計画的、効果的、効率的に対応していくため、点検支援端末を
活用した予防保全型維持管理を推進するとともに、ICタグを用いた貯蔵品管理システムの導入を全ての事
務所に水平展開し、貯蔵品管理の効率化を図ります。
ウ 温室効果ガス排出量の削減
引き続き省エネ機器への更新、LED照明の導入を進めるとともに県総合計画の改定をうけ、水道・工業
用水道事業における温室効果ガス排出量の削減目標の設定に向けた取組を行います。