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紀北町立潮南中学校

1 学校の概要

  • 本校
    住所:北牟婁郡紀北町相賀499‐3
    全校生徒数:134名(令和2年度)

2 テーマ

 防災・減災の取り組み、生き延びる取り組み、復興への取り組み

3 学校の紹介

本校は紀北町旧海山区の中心部に位置する生徒数134名(各学年2学級)の学校である。校舎は銚子川と船津川、県下最大の汽水湖である白石湖に囲まれた場所に立地しており、津波ハザードマップでは、南海トラフ地震により30㎝の津波が15分~25分で到達すると予測されている。
やがて来るであろう大津波は、想定では20数mにも達すると言われており、4階建ての学校も屋上まで水没する可能性がある。
そこで数年前から、行政や地域の方はもとより三重大学・中部電力の協力を得ながら防災学習に取り組んでいる。
これまで生徒たちは「逃げ切る」ことに主眼を置いて取り組みを重ねてきた。しかし、学びを深める中で、「避難した後はどうすれば良いのか」「避難所生活となった時に自分たちはどうすれば良いのか」と地域の一員として自分たちに何ができるかを考えるようになってきた。
「自分の命は自分で守る力(自助の力)の育成」を確実に図りながら、「自分たち<学校・家族・地域>は自分たち<学校・家族・地域>で守る力(公助の力)の育成」を目標に学びを深めている。
潮南中学校付近の津波到達予測時間 防災学習のようす

4 取組概要

(1)防災教育のねらい

過疎化が進む本地域においては、中学生が地域の一員として防災活動に果たす役割は大きい。特に、地震・津波が発生したときの対応等について、主体者意識を育みながら、地域に発信していくことで、地域全体の防災意識の向上につなげられると考えている。

【学習を進める上で留意している点】

  1. 自然災害等の現状、原因及び減災等について理解を深め、的確な思考・判断に基づく適切な意志決定や行動選択ができるようにする。
  2. 地震の発生等に伴う危険を理解・予測し、自らの安全を確保するための行動ができるようにするとともに、日常的な備えができるようにする。
  3. 自他の生命を尊重し、安全で安心な社会づくりの重要性を認識して、学校、家庭及び地域社会の安全活動に進んで参加・協力し、貢献できるようにする。

(2)取組内容

1 防災学習の重点取組

【 全体 】避難訓練・防災学習報告会(全校振り返り)
【1年生】危機発生時の行動判断訓練CROSS ROAD
【2年生】タウンウォッチング&防災マップ作成
【3年生】避難所運営図上訓練(HUG)
【生徒会】防災倉庫の管理、避難道の清掃(ボランティア活動)

2 「逃げ切る取組」

地震では高台への速やかな避難が不可欠であり、学校から約800m離れた津波避難所まで迅速に逃げ切る訓練を学期1回実施している。
学校独自の訓練では混雑も無くスムーズに避難できるが、実際は地域の住民も避難場所に殺到することになる。より本番に近い訓練が行えるよう、昨年度は相賀地区の総合防災訓練が行われる日曜日を授業日とし、地域の方と一緒に避難する訓練を行った。
高台への避難の様子

3 「避難所経営への参画取組」

潮南中防災備品の整備活動

平成30年度から、生徒たちは実際に山の避難所に出向き、「山に2・3日避難したときに必要な物は何だろう」と考え、準備する取り組みを始めた。夏は山の上にいたら、すぐにヤブ蚊が襲ってくる。水や食べ物が必要なことは知っているが、実際に防災倉庫にある水や食料は、地域住民の数を元に整備されており、生徒たちに必要な数量が確保されていない事実もわかってきた。
そこで、高台の自主防災倉庫の一部を借り受け、「潮南中防災備品の整備活動」を始めた。山上で厳暑期や厳寒期を想定して、生き延びるための必要物資は何かを考え、生徒会が中心に毎年必要な物を買い足しながら管理している。
倉庫内の防災備品 防災倉庫で保管しているものリスト

危機発生時の行動判断訓練CROSS ROAD【1年生】

中学校での防災学習の入門編として、中部電力の協力を仰ぎ、三重大学の川口准教授を講師に迎え9月4日に実施。 クロスロードとは、カードゲーム形式の防災教材で、様々な価値観をもつ参加者が災害時の対応について YES か NO かで自分の考えを示し、意見交換を行うことにより、災害時の対応について考える活動である。 1グループ5人または7人で、例えば『 人数分用意できない緊急食料を それでも配るか 』と いうような「答えのない」課題に対して、自分の意見を 「Yes」・「No」 のカードで明示し、それぞれの意見をみんなで出し合っていく。 子ども達は「Yes」・「No」 違う意見でも、「 なるほど 」 「 ここはどうなるの」と 様々な意見があることを知り、物事を深く考える契機となった。
1年生の防災学習の様子

避難所運営図上訓練(HUG) 【3年生】

中学校での3年間の防災学習の集大成として、県教育委員会の防災教育推進支援事業を活用し7月2日に実施。避難者の年齢や性別、国籍やそれぞれが抱える事情が書かれたカードを、避難所の体育館に見立てた平面図にどれだけ適切に配置できるか、また避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくかをゲーム感覚で模擬体験した。子ども達は、4~5人のグループに別れ、カードを読み上げる者、記録する者、配置を決める者等役割分担を行い協力し合いながら取り組んでいた。
3年生の防災学習の様子 取り組み後の振り返りシートから

4 「地域の防災環境を確認する取組」

タウンウォッチング&防災マップ作成【2年生】

タウンウォッチング
今年度は、校区の小学校とも連携し、「災害と人権」という観点を意識した取組を行った。 12月3日、中学2年生と校区にある2つの小学校の6年生に加えて、地域自主防災会、町役場、中部電力が子ども支援ネットワーク関係者として共にタウンウォッチングに参加した。子どもたちとネットワーク関係者は10班に分かれ、自分たちの町を見て歩きながら、「災害と人権」という観点を意識しながら、災害発生時に危険になる場所や物、役に立つ場所や物を探し、記録した情報や新たに気づいたことを「防災マップ」にまとめた。また、各班は作成した「防災マップ」をもとに、障がいのある人や高齢者にとって、物理的な障壁となる場所や物を具体的に挙げ、どのような支援や配慮、改善策が必要かについて発表した。
2年生の防災学習の様子

5 「地域に発信・貢献する取組」

  • 10月2日、生徒会と3年生有志で今年度新たに購入したレインコート等の非常用の物資を運搬した。運搬作業と並行して、相賀地区自主防災会の方々と愛宕山避難経路の清掃活動も行った。
  • 1月15日、1年間の防災学習の総括として、各学年の取組を交流し、全校で学びを深め“振り返り”とするとともに、地域への情報発信として「防災学習報告会」を開催した。
    学年ごとに生徒の実行委員会を設けて準備を進め、生徒会が司会進行を行った。
    各学年の報告の後、三重大学の川口准教授から講評を受け、本年度の成果と課題をまとめ、次年度への取組の方向性を示唆していただいた。
    また、当日保護者や地域の方に配付する予定で、生徒会が避難経路をまとめたパンフレットを作成した。残念ながら新型コロナウイルス感染拡大防止の為、保護者や地域の方を招くことはできなかった。
防災学習報告会

5 成果と課題

防災学習報告会に参加していた保護者や地域の方から「中学生の防災に対する真剣な取組みの姿を見て、自分たち大人も防災意識を高めていかなくてはいけない」という声をいただき、中学生の防災の取組みが着実に地域の防災意識の向上につながっていることを確信した。
本校生徒の避難訓練に取り組む姿は真剣そのもので地震に対する危機意識は高く「自分の命は、自分で守ろうとする態度」はしっかり身についている。
課題としては、このカリキュラムに取り組んで3年が経過したが、取組がマンネリ化しないよう工夫改善していく必要がある。
また、今年度はコロナ禍の中防災学習報告会に保護者や地域の方に参加してもらうことができず、地域への発信が十分に行えなかった。
今後、校区子ども支援ネットワークとの連携を深めながらより効果的に地域に発信する方法を考えていきたい。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 教育委員会事務局 教育総務課 学校防災・危機管理班 〒514-8570 
津市広明町13番地(本庁7階)
電話番号:059-224-3301 
ファクス番号:059-224-2319 
メールアドレス:kyoiku@pref.mie.lg.jp

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