1 日時
令和5年2月28日(火)13時30分から15時30分まで
2 場所
アスト津4階 橋北公民館 研修室A(津市羽所町700)
3 出席委員
7名
4 議題
風力発電施設の設置にかかる林地開発許可申請及び保安林の指定解除の審査について
5 会議の公開・非公開
会議は公開で行われました。
6 傍聴者数
14名
7 結果
伊賀市上阿波地内ほかにおける風力発電施設の設置にかかる林地開発許可申請及び保安林の指定解除
に関する審議が行われました。なお、審議内容をとりまとめた結果については、令和5年4月3日付け
で三重県森林審議会長から知事に答申されました。
8 答申内容
株式会社シーテックによる津市芸濃町河内及び伊賀市上阿波地内における林地開発許可申請並びに保安
林の指定解除の申請については、次のとおりとします。
(1) 保安林の指定解除について
ア 土地の選定等
(ア)級地区分に関すること
文献調査や現地踏査の結果、解除申請地の地形状況は傾斜25度以上の箇所が多く含まれ、崩壊地
が多数認められる。地質は主に細粒花崗岩で全体的に風化が進行しマサ化している。加えて一部で
は片麻岩の片理面が傾斜しており、滑り面での崩壊や湧水の懸念がある。このことから、保全措置
を行っても崩壊のリスクが低いとは言えず、開発地として適切ではないため、保安林として残すべ
きである。
(イ)公的土地利用計画に関すること
津市の意見書では風車建設予定地について、「自然環境保全・活用エリア」で「森林法などによ
る土地利用規制と調整を図りながら、森林の多面的機能の保全・活用に努めます」と見解が示され
ている。一方、伊賀市の意見書では「当市の土地利用計画において再生可能エネルギー事業の具体
的な位置又はゾーニングは具体的には示されていません。」とあることから、公的土地利用計画に
即していると判断できない。
イ 代替施設の設置
(ア)切土に関すること
片麻岩の片理面が傾斜している地質調査結果が出ているが、切土工において特に措置が検討され
ていないため、具体的な施工計画を立てること。
(2) 保安林の指定解除並びに林地開発許可申請に共通して留意し、対応する必要がある事項について
ア 盛土に関すること
盛土規模が大きく、渓流源頭部への谷埋め盛土が含まれるが、当該地域において地すべり現象を呈
する地形が確認できることから慎重な事業計画及び施工が求められる。ついては、以下の対応をとるこ
と。
(ア)渓流源頭部に谷埋め盛土を行うことについて、開発による発生土を減らすとともに発生土は可能
な限り事業区域外の災害の危険性が低いところへ搬出するよう検討すること。
(イ)地質は風化花崗岩であるため、中長期的に切土及び盛土法面の形状が維持されるよう経過観察を
すること。
(ウ)盛土内に浸透した水を暗渠施設で処理する計画について、排水管が詰まり間隙水圧が上昇するこ
とで盛土が不安定化し土石流となる可能性があるため、排水管の維持管理を適切に行うとともに、
排水管が機能しなくなった際の対応を検討されたい。また、盛土に沈下、すべり又は崩壊などの変
状が無いか常に注意し、必要な場合は的確な対応をすること。
(エ)現場には図面で読み取れない渓流の存在が想定されるため、現況に即した暗渠排水管の設置を検
討すること。
(オ)盛土の地すべり安定解析においては、3次元の安定解析についても実施を検討されたい。
(カ)盛土規制法も勘案して検討していくようにされたい。
イ 排水処理に関すること
(ア)排水施設について、現在定められている1/10確率雨量ではなく、強い降雨が一定時間以上継
続した場合などを想定し、土壌の状態及び各現場に即した雨量を考慮のうえ流下能力を検討するこ
と。
(イ)水の確保について、開発の土地利用において管理用道路が大部分を占めるため、施工中は、用水
路やため池、湖などの水量に変化がないよう経過観察するなど的確な対応をすること。
ウ 法面の緑化及び保護等に関すること
高木性樹種の適正な生育のため、獣害防護柵の設置並びに点検を実施し、適正に管理するとともに
必要に応じて適切な法面保護工を行うこと。
獣害に耐性のある樹種等を選定し、適切な時期に施工すること。
凍結融解による土石の崩落等の対策を検討すること。
エ 景観に関すること
布引山地や青山高原,経が峰から錫杖などの山稜がかたちづくるスカイラインの景観は伊勢平野の
都市や郊外の生活圏等の遠方から見たときの心象に与える影響は相当に大きいと考えられるため、近
隣の谷底からの風車の景観だけでなく,中距離~長距離の平野部生活圏等から見た遠景の景観面や観
光面への影響について、検討されたい。