令和2年度第2回紀南地域高等学校活性化推進協議会の概要
1 日時 令和3年3月24日(水)19時00分から21時05分まで
2 場所 熊野市文化交流センター 交流ホール
3 概要
木本・紀南両高等学校の活性化にかかる令和2年度の主な取組の成果と課題について、両校からの報告をもとに協議を行いました。さらに、中学校卒業者数の減少に伴い、令和7年度には、木本・紀南両高等学校への進学者が合わせて5学級程度になることが見込まれることをふまえ、その際の両校の配置や学びのあり方について協議をしました。
主な意見は次のとおりです。
≪両校の活性化にかかる令和2年度の主な取組の成果と課題について≫
○木本高校における地域での取組の成果、紀南高校における対外的発信について具体的に教えていただきたい。
→木本高校では七里御浜等の地域の清掃活動などの奉仕作業を通して、この地域の良さを再認識することにつながり、生徒たちが生まれ育った場所を大切にする想いが高まっている。また、高校生が小学校に英語を教えに行く取組により、生徒自身の英語の理解もさらに深まり、学習意欲の高まりにつながっている。
→紀南高校では、インターンシップの体験を通じて学んだ大切なことを小・中学生に伝える等の活動など、地域の新聞社やケーブルテレビ等に積極的に情報提供している。
○木本高校生による小学校での英語の授業は、今年度はコロナ禍のため実施出来なかったが、昨年度は2回実施し、とても良い活動であった。小学生は教えてもらうことで高校生にあこがれ、また顔つきが変わった小学生の変化を目の当たりにした高校生も自信を持つことにつながっている。
○紀南高校の「まごターン」の制度は、コロナ禍においてPRが難しい中で、同窓会からもPRしてもらっている。令和3年度入試では、この制度を使って受験をした中学生がいると聞いた。
≪紀南地域の県立高等学校の今後のあり方について≫
○令和3年度の入試において、尾鷲高校で1クラス35人を導入したことについて、県としての考え方や今後の方針について説明が欲しい。
→すでに統合した学校のある地域において、さらに1学級を40人として学級減を行うと当該地域の専門学科の学びが維持出来なくなることから、定員を30人、35人とした。高校標準法により、1学級40人を標準としており、白山高校と尾鷲高校を合わせて40人を減じた。こうすることで専門学科の学びは維持されるが、入学定員そのものは減り、教職員の数も減ることにともない、少ない教職員で以前と変わらない学級数に対応する授業を担わなくてはならなくなっている。
○後期選抜において、志願倍率が0.1倍を切っている学校の状況について説明して欲しい。
→現在の「県立高等学校活性化計画」(以下、「計画」という。)においては、小規模校の活性化に取り組み、地域と一体になった学びを推進するとともに、県内だけでなく県外からも入学できる入試制度を導入するなど、活性化に取り組んでいるものの、地元の中学生が入学する割合は高まっていないのが現状である。
○中学校卒業者数の減にともない、紀南地域全体で5学級の規模が見込まれる令和7年度がひとつの区切りであると思うが、現在和歌山県が取り組んでいるように、三重県でも具体的な再編を考えているのか。
→現計画においては、地方創生の流れもふまえ、小規模校であっても、地域と一体になって学んでいくことを柱としてやってきた。しかし、計画期間が残り1年となり、地域と一体となった学びをスタートさせた4年前とはフェーズが変わってきているという認識は持っている。次期計画の策定においては、地域協議会の意見や、県立高等学校みらいのあり方検討委員会での意見等を勘案して、再編に対する方向性は打ち出していかなくてはならないと感じているが、今の段階では具体的には決まっていない。
○2校を存続しても、両校でそれぞれ生徒数が減っていけば、校内での選択肢が減ってしまうことから、現在2割程度いる管外進学者がさらに増えてしまう可能性がある。両校のよいところを残して、校内の選択肢を増やすために統合することは有りうるのではないか。この地域から管外へ進学することは、通学費等、経済的な負担が大きい。学校の新たな魅力を高め、この地域の学びを充実させるという点で、統合は必要である。
○熊野市から遠方に位置する紀宝町にとっては、かつての中間地点に新校を設立する案には賛成したが、熊野市まで通学することは単純には受け入れがたい。仮に統合により一時的に5学級を維持したとしても、すぐに4学級、3学級となってしまう。紀南高校は小さな学校であるが、きちんと学べる環境があり、先生方は一生懸命取り組んでもらっている。さらなる魅力を打ち出して、存続を図ることも検討して欲しい。
○令和7年度の生徒減について協議しなければならないのも分かるが、御浜町や熊野市の昨年の出生数は驚くほど少ない。15年先の少子化をふまえて学校のあり方を考えることによって、令和7年度のあり方の考え方も変わるのではないか。和歌山県と三重県との生徒の行き来も考慮するとともに、人口規模を保つための方策についてもあわせて検討すべきである。
○紀宝町内では、今後、学校へ入学してくる子どもたちは増々減っていく。県から具体的な案の提示をしてもらい、他府県等の好事例を参考にし、住民の声もしっかりと聞きながら、今後の長期的な学校のあり方を協議していくべきである。
○それぞれの学校において生徒減にともない存続が難しくなってきた部活動もある中、自身が種目やレベルを求めて管外へ進学する生徒も多い。両校で一体となって部活動を行ってはどうか。
→合同での出場が認められている競技や参加できる大会はある。また、校舎制の南伊勢高校では、両校舎で移動しあって合同練習をしている部も存在する。もし、当地域において同様な活動を行おうとすると、移動時間がかかるため練習時間が短縮されることが予測されるが、対応策として検討に値するのではないか。
○統合について協議する際には、法的、財政的な制約があると思うが、子どものことを一番に考えて議論してほしい。誰一人取り残さない教育を目指し、どの地域に生まれても子どもたちの学びを保証してほしい。
○子どもたちが自分の行きたいところで学べるようにしてほしい。また、保護者の意見も聞いて欲しい。
○紀南PTA連合会では、木本・紀南両高校の統合に関するアンケートを、約150人の保護者に応えてもらったところ、両校の存続に関して多様な意見を持っていることが分かった。引き続き調査を行っていきたい。
○次年度の活性化協議会については、平成28年度のように途中でゴールを見失うことのないよう、論点を焦点化して県の方向性を示し、子どもたちの学びがどうあるべきか協議して欲しい。また、この協議会での意見を教育改革推進会議にも届けてもらいたい。
→地域協議会でいただいたご意見は、教育警察常任委員会に報告するとともに、総合教育会議や教育改革推進会議にも報告している。特に次年度の教育改革推進会議は次期計画の策定に向けた審議が中心となることから、しっかりフィードバックしていく。次期計画期間は令和4年度からの5年間と考えており、今回議論していただいた令和7年度の当地域の高校のあり方については、この期間中のこととなるので、引き続きご意見をいただきたい。