1 日時 令和3年8月5日(木)19時00分から21時00分まで
2 場所 伊勢庁舎401会議室
3 概要
次期「県立高等学校活性化計画」の策定に向けた動きや小規模校活性化取組の総括的な検証等を共有し、
今後の中学校卒業者数の減少や当地域を取り巻く県立高校の現状や課題をふまえ、これからの伊勢志摩地
域の県立高校のあり方について協議しました。
主な意見は次のとおりです。
≪伊勢志摩地域の高校のあり方について≫
〇 小規模校は生徒が少ない分、生徒一人ひとりに丁寧な指導がしやすくなるメリットがある一方、教員数
が少ないためにデメリットも多い。例えば、一人の教員で複数の校務分掌を担当するため負担が増えるこ
とや、教科によっては1人しか教員が配置されず、研修も十分にできない状況などがある。また、設置で
きる部活動の種類も制限されるなど、教員の働き方や資質向上の面だけでなく、生徒の学びの質の保障と
いう観点からも課題がある。
○ 小規模校においては、この4年間、活性化の取組を進める中で、教員数の減少に伴い、一人あたりの仕
事量が増えているにもかかわらず、現場の教員は生徒の成長を感じながら頑張ってきた。
〇 伊勢志摩地域の県立高校のあり方を考えるにあたっては、中学生やその保護者の目線を大切にしなが
ら、子どもたちが幸せな将来を創るための力をつけることができるような各学校の魅力を中学生に伝える
ことが重要になってくる。
〇 小学校現場にいると児童数の減少を肌で感じる。高校においても、高校間の交流等でICTを効果的に
活用するなど、少人数でも学習の幅を拡げることが必要だ。また、小学校の児童に将来なりたい職業につ
いて尋ねてみると、第1次産業は0人、第2次産業で数人、その他は第3次産業という結果となる。小学
生のころから、地場産業を含め、様々な職業をもっと身近に感じることのできるキャリア教育を進める必
要がある。
〇 地域の高校では地域の資源を活用した学習活動が進められていることがよく分かったが、現在の少子化
の流れは学校や教育の力だけでは止められるものではない。今後は小規模校における地域と一体となった
学習活動の成果を活かしつつ、再編統合によって、伊勢志摩地域全体で地域の子どもたちの教育を考えて
いくことが必要だ。
〇 子どもの進路選択において、保護者は、子どもが良い人生をおくることができるよう、子どもの意思を
尊重する場合が多い。一方で、高校進学で地元を離れ、大学進学で三重を離れてしまって戻ってこないと
いう子どももいる。大学生であっても自分の学習や研究にしか興味がなく、自分が社会に対して何ができ
るのかを考えていない場合もあるため、小中高の時代にふるさとに関する学習や地域の課題に触れること
は子どもたちの将来に大きな影響を与えると考えられる。
○ 子どもたちの数が激減していく中で、この地域の高校をどのように変えていくのかについて、現実的で
具体的な議論をしていくべきと考える。例えば、伊勢工業高校と宇治山田商業高校の再編統合について
も、ただ単にスケールメリットの問題だけでなく、モノを作る工業とそのモノを売る商業が同じ学校と
なって切磋琢磨しながら学ぶことは、生徒にとっても教員にとってもより意味のある学びをつくることが
できると考える。また、宇治山田高校と伊勢高校の普通科同士の再編統合も考えてもよいのではないか。
〇 小規模校の活性化取組も一定の成果をあげていると感じている。このコロナ禍の中でわかったことは、
ICTの活用は教育においても様々な可能性を拡げることができるということである。
〇 教育の役割とは人材育成であり、中学生には自分の将来を見据えた高校を選択していく力も必要である
と考えている。また、高校においても、地域を知って地域で学ぶ学習は大切であるため、地域と一体と
なった高校の魅力化はこれからも必要である。さらに、少子化の中でも高校には多様な生徒のニーズに応
える必要があり、地域の子どもたちの学びを保証するためにも、1学級40人の枠を柔軟に運用したり、
ICTをうまく活用したりするなど、今後も様々な工夫を考えるべきである。
〇 地域の中学校から多くの生徒が伊勢市内の高校へ進学する理由は、地域の高校に魅力がないのではな
く、小さい時から同じ人間関係にある少人数のグループから少しでも多様で多くの生徒が集まる集団で社
会性を育みたいという生徒や保護者の意向があるからである。地域の小規模校がより特色化を進め、県外
からも生徒が集まることができるよう、入学者選抜の規制をなくすことも含めて検討する必要があるので
はないか。
〇 この地域の教育に携わるものは、将来の伊勢志摩地域を担う人材を育てているという意識をもう一度認
識すべきである。地域の子どもたちに、ふるさとを大切にするという意識を育んだうえで、この自然豊か
な伊勢志摩地域の産業を如何にビジネスに変えて地域を発展させていくかを考えるような、将来の伊勢志
摩地域のリーダーを地域全体で育てていく意識を共有していくべきである。