令和8年定例会9月定例月会議の議案等の説明に先立ちまして、当面の県政運営にあたっての私の考えを申し上げます。
(地域未来戦略)
8月28日、首相官邸で開催された地域未来戦略に関する会議に出席しました。
高市総理大臣が出席する中、三重県が他県に無い優位性を持つ半導体関連産業分野において、さらなる集積をめざす地域産業クラスター計画の説明を行いました。
折しも、前日には四日市市に立地するキオクシア株式会社とサンディスク合同会社が今後6年間で三重県を含む工場に計5兆円の投資を行う計画を高市総理大臣に表明したところです。
また、会議の場では、取組を確実に推進していくために、企業が将来を見据えた投資計画を立てることができるような複数年度の予算措置と、インフラ整備関係予算については通常歳出と別のオントップ対応とする旨を三重県から要請したところ、高市総理大臣から関係省庁に対して検討指示がなされました。
今後、三重県産業の持続的な成長に向けて、半導体関連産業をはじめ、自動車や農水産業、観光等、三重県の強みを最大限に活用して新たな挑戦を進めるとともに、国内外の変化に対応していくため、大学・産業界と連携しながら、高校教育改革を進めることで、産業ニーズにも応じた人材育成を図り、強い三重県経済の構築につなげていきます。
(令和8年熊本地震・令和8年8月千葉豪雨)
7月28日に発生した「令和8年熊本地震」及び8月13日に発生した「令和8年8月千葉豪雨」につきましては、あらためて、亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
三重県は、熊本県宇城市をカウンターパート支援するよう要請されたことを受け、8月2日には同市に情報連絡員2名と災害即応出動車を派遣しました。県職員の派遣による現地支援を実施するとともに、保健師等チームや災害時学校支援チームといった専門支援チームを派遣し、8月末までの時点で延べ1,000人以上が被災地で支援活動に従事しています。
このほか、県内の医療機関からはDMATやDPATを、市町からは応急給水支援のための給水車及び現地支援のための職員を派遣いただきました。
県は、こうした他の都道府県や県内市町で大規模災害が発生した際に公共土木施設等の迅速な復旧・復興を支援するため、「TEC-MIE」を先月発足させたところです。
今後も被災地を全力で支援していくとともに、現地への派遣や現場での支援を行う中で得た経験と課題を整理し、発生が予想される南海トラフ地震への対応を強力に進めていきます。
令和8年8月千葉豪雨では、千葉県で観測史上最大の雨量を記録しました。急激に勢いを増す雨によって道路の冠水が相次ぎ、水没した車中に閉じ込められるなどして複数の方が犠牲になりました。
県としては、即座に支援要請の可能性への備えと、今回被害が発生したアンダーパスの標示についての再点検を実施しました。
その後も、9月8日の大雨では、本県をはじめ、東海地方で被害が発生したほか、この夏には全国各地で大雨が発生し、甚大な被害が報告されました。
これを受けて、大雨が予想される際には、県管理道路のアンダーパスの予防的通行止めの実施を試行的に行うことを東海三県で初めて決定しました。
さらに、防災アプリにおいてアンダーパスの規制情報や帰宅困難者の滞在場所などを検索できる仕組みの検討を指示したところです。
(防災対策)
このように激甚化、頻発化する大規模災害に備えて、知事就任以来、防災対策を全力で進めてきました。
巨大地震の発生時に想定される「家屋倒壊」「津波」「火災」「孤立地域」の対策を重点的に進め、令和5年度には、津波避難タワーに関する市町への補助制度を創設し、整備を加速しているほか、常設の災害対策本部となるオペレーションルーム及びシチュエーションルームを整備しました。令和6年度には、災害時の避難を支援する防災アプリの運用を開始するとともに、能登半島地震での気づきを踏まえて災害即応出動車を導入し、現地派遣職員の活動環境の充実を図っています。令和7年度には、「いのちを守る防災・減災総合補助金」の創設によって市町の防災対策を促進し、特に避難所の環境改善に向けては、スフィア基準への対応を強化するため本年度に予算額を増強しました。
令和6年には貯留式のマンホールトイレを設置しましたが、先月に整備が完了した県庁前公園には、流下式のマンホールトイレや炊き出しに活用できる「かまどベンチ」を備えており、災害時の活用が期待されます。
県としては、引き続き、県民の命を守る上での最大の課題である防災対策を強力に進めていきます。
(国際情勢)
国際情勢について申し上げます。
アメリカとイランを巡る中東情勢の緊張は依然として続いており、いまだ協議に決着は見られず、予断を許さない状況にあります。
この間、世界のエネルギー供給の大動脈であるホルムズ海峡が両国の軍事衝突により事実上封鎖されたことで、エネルギーを取り巻く市場は大きく混乱しました。情勢の長期化により、世界経済への影響がさらに深刻化することが懸念されます。
(国内情勢)
こうした中東情勢の長期化による影響は事業者のみならず、日々の暮らしを営む県民の皆様にも大きく及んでいます。
夏休み期間中は学校給食が無くなり、子どもが十分に食事をとりづらくなるおそれがあります。特に、物価高騰が続く中で賃上げの恩恵が届きにくい要支援世帯では、その影響は深刻です。そこで県は、子どもたちが安心して食事をとれるよう、他県に先駆けて県独自の支援制度を創設しました。本制度は、こども食堂をはじめとする子どもの居場所を運営する団体を対象に、夏休みの運営に特化した補助制度として、東海四県で初めて取り組んだものです。関係団体からは、「長期休暇中は子どもの居場所ニーズが高まるため実情に即した重要な制度」、「家庭外の大人との接点を確保する見守りの観点からも必要」との声をいただいています。引き続き、子どもたちが安心して過ごせる環境の充実に向け、取組を進めていきます。
(愛子内親王殿下御来県)
8月1日から2日にかけて、愛子内親王殿下が令和6年以来2年ぶり3回目となる御来県をされました。ご協力をいただきました多くの皆様方に感謝申し上げます。
三重県御滞在中、終始優しい笑顔で子どもたちをはじめとする多くの県民の皆様に温かく接していただきました。第63回神宮式年遷宮に向けた御木曳行事において、地域の皆様とともに御用材を曳かれる御姿は、多くの県民の心に深く刻まれたことと存じます。
(全国知事会議)
全国知事会議について申し上げます。
7月に鳥取県で開催された全国知事会議に出席し、日本を取り巻く幅広い分野の課題について議論を行いました。中でも、カスタマーハラスメント防止対策やシェルターの整備に関する国民保護対策について、三重県の取組を積極的に発信しました。
あわせて、南海トラフ地震などに備えた携帯電話基地局強靱化にかかる地方負担の見直しや携帯電話事業者の負担に関して提案したところ、多くの県から賛同いただき、国への提言に盛り込まれました。
また、これまで三重県発で国へ負担見直しにかかる提言を行ってきたところですが、その内容も踏まえ、先般公表された来年度予算の概算要求において、事業者による整備促進にかかる予算が盛り込まれています。
(子ども施策)
子ども施策について申し上げます。
7月から8月にかけて、子どもたちの声を県に届ける「みえっこ会議」を開催しました。最終日には、子どもたちが「遊びや体験」、「いじめ」や「居場所づくり」をテーマに真剣に議論を重ねた成果を発表いただき、私自身も多くの気づきを得ることができました。子どもたちが自らの言葉で届けてくれた率直な想いを、現在策定している中期戦略計画にも取り入れたいと考えています。
県内の待機児童解消に向けて保育士を確保するため、本年度から「地域限定保育士制度」を東海地方で初めて導入しました。受験機会の拡大を図ることで、県内で働く保育士の増加につながることが期待されます。県としては、引き続き保育士確保などに取り組み、一層の保育の充実を図っていきます。
5月に発生した学校の部活動遠征時の事故を踏まえ、県内全ての県立・私立学校を対象とした実態調査を実施しました。調査では、「教職員が同乗・同行していなかった」、「校長への事前報告がなかった」といった事例が確認されるなど、安全管理上の課題が浮き彫りとなりました。
子どもたちの安全確保は何よりも優先されるべきものです。今月中を目途に遠征時の移動手段に関するルールを策定し、子どもたちが安心して充実した学校生活を送れるよう、対策を講じていきます。
(産業振興)
産業振興について申し上げます。
働く人々を守る取組として、今会議に三重県カスタマーハラスメント防止条例案を提出しました。悪質なカスハラ行為への禁止命令違反に罰則を科す全国初の条例となります。条例案の提出に先駆け、事業者向けの相談窓口を設置するとともに、今会議には県内の小規模事業者を対象とした録音・録画環境の整備支援にかかる補正予算を提出したところであり、働く人が安心して働ける環境づくりに向けた取組を着実に進めていきます。
(観光振興)
観光振興について申し上げます。
令和7年においては、大阪・関西万博の開催効果もあり、観光入込客数は前年より増加し、観光消費額は5,697億円で過去最高となりました。
三重県への観光客が順調に増加する中、本年8月、第63回神宮式年遷宮に伴う第一次御木曳行事が行われ、県内外から多くの方にご参加いただきました。この歴史的な行事を通じて醸成された観光機運を維持し、令和15年の神宮式年遷宮に向けて、さらなる誘客を図っていくことが重要です。
しかし、人口減少の進行に伴い、長期的には国内旅行市場の縮小が想定されています。今後、インバウンド誘客に一層注力する必要があることから、本年6月に「みえインバウンド誘客計画」を策定しました。今後は、タイや台湾など6つの国・地域を重点市場として誘客に取り組むとともに、観光インフラの充実や人材確保・育成、戦略的なマーケティング等の取組を進め、観光産業の持続的な発展につなげていきます。
(交通政策・インフラ整備)
交通政策・インフラ整備について申し上げます。
本年7月、JR東海は、リニア静岡工区の着工に向けて、静岡県と自然環境保全協定を締結するとともに、年内に東京・名古屋間の開業見通しを公表する意向を表明しました。国家的プロジェクトであるリニア中央新幹線にとって大きな前進です。リニアは、全線開業してこそ効果が最大限に発揮されるものであり、その効果は本県のさらなる発展にも大きく寄与します。
県としては、引き続き沿線自治体と連携しながら、早期全線開業の実現に向けて取り組んでいきます。
県内道路網についても整備が進んでいます。
紀勢自動車道の勢和多気ジャンクションから紀勢大内山インターチェンジ間のうち、約17キロにおける4車線化の起工式が行われました。4車線化により通行の安全性が向上するだけでなく、県南部の産業活性化につながることが期待されます。
また、東海環状自動車道の整備促進に向けて、岐阜県知事らと連携し、財務大臣、国土交通副大臣らに要望を行いました。東海環状自動車道は、企業の生産性向上や地域の経済活動を支える重要な広域交通ネットワークです。三重県が強みを持つ半導体関連産業においても、沿線上の、例えば岐阜県大垣市に立地する半導体関連企業との連携強化により、さらなる集積も期待されることから、未開通区間の早期完成に向けて、引き続き国に強く要望していきます。
(暮らしの安全)
暮らしの安全について申し上げます。
全国でクマによる被害が増加し、三重県においても人身被害の発生が懸念されています。
そのため、クマ出没に対する緊急対応チーム「M-BEST」を編成し、緊急銃猟等の対応が必要な場合、県が広域的な調整を行い、ハンターへ出動要請することで、ハンター不在の市町にも出動することを可能とします。
県としては、県のどの地域であってもクマの無害化が可能となる体制を整備し、県民の安全な生活の確保を進めていきます。
(文化・スポーツ)
文化振興について申し上げます。
8月8日から9月13日まで、県立美術館において「アルベール・マルケ展」を開催しました。日本では35年ぶりとなる、20世紀フランス絵画の巨匠、アルベール・マルケの回顧展です。子どもたちをはじめ多くの県民の皆様にご来場いただき、風景画の魅力を間近に堪能いただくことができました。
今後も、子どもたちをはじめとした県民の皆様が文化にふれ親しむ機会の提供に、積極的に取り組んでいきます。
スポーツの推進について申し上げます。
今月19日からは愛知・名古屋でアジア競技大会が開催されます。四日市市出身でパリ五輪金メダリストの藤波朱理選手が日本選手団の旗手を務め、10月にはアジアパラ競技大会も開催されます。
本県ゆかりの選手たちの活躍を心から期待するとともに、国内外から多くのメディア、観客が集まるこの機に、本県の魅力を発信します。
(議案等の概要)
引き続き、上程されました補正予算3件、条例案4件、その他議案9件合わせて16件の議案について、その概要を説明いたします。
議案第95号及び第96号の補正予算は、物価高騰に係る支援や台風6号による被害の復旧等を行うための経費として、一般会計で16億9,150万3千円、企業会計で881万4千円をそれぞれ増額するものです。
まず、一般会計についてその概要を説明いたします。
歳入の主なものとして、国庫支出金で12億9,231万4千円、県債で1億5,200万円をそれぞれ増額しています。
歳出の主なものとして、医療機関等の物価高騰への支援として9億8,084万2千円、私立学校等の物価高騰への支援として3,065万9千円、交通事業者への燃料費高騰分の支援として2,689万1千円、台風6号被害に伴う災害復旧事業として4億6,001万7千円、みえのクマ緊急対応チームを編成するための経費として230万円、熊本地震の被災地支援に要する経費として7,129万9千円、ペロブスカイト太陽電池を導入・普及啓発するための経費として7,200万円を計上しています。
企業会計では、物価高騰に対応するための志摩病院に係る指定管理料の増額及び令和8年熊本地震被災地支援に要する経費として881万4千円を増額しています。
次に、議案第97号の補正予算は、三重県カスタマーハラスメント防止条例に基づく職場環境整備を促進するため、県内の小規模事業者による録画・録音環境の整備に係る費用を補助するための経費として、一般会計で2,000万円を増額し、歳入については、国庫支出金でその全額を増額しています。
以上で補正予算の説明を終わり、引き続き条例案等の諸議案について説明いたします。
議案第98号は、就業者の就業環境及び事業者の事業活動の自由を害する著しい迷惑行為であるカスタマーハラスメントを禁止することにより、就業者の尊厳の保持並びに安全及び健康の確保並びに事業者の安定した事業活動の促進を図り、もって県民生活の向上及び地域経済の健全な発展の実現に寄与するための条例を制定するものです。
議案第99号は、建築基準法の一部改正に鑑み、規定を整備するものです。
議案第100号は、災害対策基本法の一部改正に鑑み、規定を整備するものです。
議案第101号は、景観法の一部改正に伴い、規定を整理するものです。
議案第102号から第105号までは、工事請負契約を締結しようとするものです。
議案第106号及び第107号は、工事請負契約を変更しようとするものです。
議案第108号は、損害賠償の額を決定し、和解をしようとするものです。
議案第109号は、公立大学法人三重県立看護大学の第四期中期目標を定めようとするものです。
議案第110号は、地方独立行政法人三重県立総合医療センターの第四期中期目標を定めようとするものです。
以上で諸議案の説明を終わります。
次に、認定議案について説明いたします。
認定第1号から第4号までは、水道事業会計、工業用水道事業会計、病院事業会計、流域下水道事業会計の令和7年度決算について、それぞれ認定をお願いするものです。
なお、企業会計にかかる令和7年度決算については、監査委員の審査を経ておりますことを申し添えます。
最後に、報告事項について説明いたします。
報告第16号から第18号までは、議会の委任による専決処分をしましたので、報告するものです。
報告第19号は、議会の議決すべき事件以外の契約等について、報告するものです。
報告第20号は、関係法律に基づき、企業会計の資金不足比率について報告するものです。
なお、企業会計の資金不足比率については、監査委員の審査を経ておりますことを申し添えます。
以上をもちまして提案の説明を終わります。
なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。