三重県の養殖漁業について
本県の沿岸域で営まれる海面養殖業は、平成30年の生産額が187億円で海面生産の42%、生産量が23,544トンで海面生産の15%を占めるなど、重要な産業となっています。
(1)藻類養殖業
伊勢湾・鳥羽地域では黒ノリ養殖、的矢湾・英虞湾・五ヶ所湾等では青ノリ養殖、鳥羽地域ではワカメ養殖が営まれています。平成30年の生産額は38億円、生産量は11,540トンです。
(2)真珠養殖業
明治26年に御木本幸吉氏がアコヤ貝による養殖法を確立して以来、英虞湾を中心に発達してきました。昭和50年前後の真珠不況をはさみつつも生産が増大し、昭和55年から平成9年までは生産額100億円以上で推移しました。近年は、アコヤ貝に悪影響を及ぼす赤潮(ヘテロカプサ)や感染症の発生等による生産性の低下、生産者の高齢化などが問題となっているなかで、令和元年にはアコヤ貝のへい死が発生しました。平成30年の生産額は36億円、生産量は4,311kgです。
(3)魚類養殖業
本県の海面魚類養殖は、昭和30年代のブリ養殖から始まり、魚価の低迷などから昭和50年代にはマダイ養殖への転換が進みました。マダイ養殖の生産額は、平成元年から10年までは生産額100億円以上で推移しましたが、その後は経営体の減少などもあり、平成30年の生産額は37億円、生産量は3,824トンに減っています。一方、平成30年のブリ養殖の生産額は22億円、生産量は2,365トン、クロマグロ養殖の生産額は26億円、生産量は950トンに達するとともに、新魚種としてマハタの生産量も増加するなど、近年の養殖魚種は多様化が見られます。
なお、内水面魚類養殖は、平成30年にはウナギ養殖の生産量が220トンと最も多く、ニジマス、アマゴ等の養殖が山間地域で行われています。
課題
近年、養殖業を取り巻く環境は、
(1)漁場環境の悪化、魚病や赤潮の発生に伴う生産量の減少
(2)需要構造の変化による価格の低迷
(3)飼料価格の上昇による生産コストの増大等により、厳しい経営環境が続いています。
また、消費者の「食の安全」に対する意識の高まりにより、生産物の安全性確保と適切な品質 管理が一層求められています。
取り組み
三重県では、平成11年に施行された持続的養殖生産確保法に基づき、漁業者自らによる適正な漁場管理を推進するとともに、次の事業に取り組んでいます。
令和2年度に実施する主な事業
(1)消費者に安心される養殖水産物の生産体制整備事業
(2)魚類養殖におけるAI・ICT技術導入促進事業
(3)真珠養殖におけるAI・ICTを活用したスマート化促進事業
(4)次世代型海藻養殖による豊かな伊勢湾再生事業
三重県農林水産部 水産振興課養殖振興班 TEL:059-224-2584 アドレス:suisan@pref.mie.jp |