管内の概況
1立地
当地域は県の中央部に位置し、平成18年1月1日の市町村合併により津市1市が管内となりました。面積は県土の12.3%にあたる711.19平方キロで、西には布引山系の山々が連なり、豊かな水源林を形成するとともに、室生赤目青山国定公園として雄大な自然及び景勝を展開しています。この山系に源を発する雲出川及び安濃川は東流して伊勢湾に注ぎ、両河川の中流から下流部一帯は、伊勢平野の肥沃な穀倉地帯を形成しています。
気象は全般に温暖多雨で、年平均気温は16.9℃、年間降水量はおよそ1,630mmですが、冬期山間部では積雪があります。地質は、西部の山岳地帯は片麻岩、北部は花崗岩が分布し、平野部は洪積層及び沖積層が広がります。
人口は県総人口の15.5 %にあたる27.5万人で、人口密度は県平均より高く、海岸及び平野部では都市化が進む反面、山間部では過疎化が認められます。
なお、水産室の所管は、他の室と異なり北は愛知県及び岐阜県境から、西は伊賀盆地、南は宮川までの内水面及び明和町までの伊勢湾沿岸を包括する区域であって、桑名、四日市、鈴鹿、津、松阪、伊賀の6つの事務所にまたがります。
2農業
農業関係については、総農家戸数6,617戸(県全体の15.4%)、耕地面積8,180ha(県全体の14.1%)で、令和元年の水稲作付面積は3,251haと多く(県下3位)、コシヒカリ等の良質米が生産されています。また、水稲裏作として麦類596ha、大豆379haが栽培されており効率的な圃場利用がなされています。キャベツ、ブロッコリー、梨等は、県下第一の産地であり、県生産量の50%以上を占めています。いちごは、施設野菜の主品目として重要なものとなっているほか、 津市芸濃町のズイキ等地域特産野菜作りが地産地消運動とも関わって取り組まれています。
また、津市高野尾地区は県下でも有数の花木の産地であり、乳牛、肉牛、豚、採卵鶏は、旧津市内や津市一志町、白山町で多く飼育されています。
3林業
管内の森林面積は、41,561haで区域面積71,119haの58%を占めます。森林面積のうち民有林は、40,820ha、国有林は741haであり、98%が民有林です。
民有林のうち33,584haが人工林で、人工林率は82%と県平均人工林率62%を大きく上回っており、津市美杉町を中心とした地域は県内でも有数の林業地を形成しています。
民有林における人工林の蓄積は、10,085千㎥で、1ha当たりの蓄積は300㎥と、県平均
の286㎥を上回っています。また、林道密度は、6.1m/ha、林内道路密度は25.8m/haで県内では密度の高い地域です。
森林整備を進める必要のある民有林については、造林補助事業の活用や、治山事業等により、森林整備を進めています。また、民有林の保安林指定面積率は全体の27%となっています。
4水産業
水産室管内の管轄は、多気郡以北であり、沿海市町は木曽岬町から明和町まで広範囲にわたっています。沿海地区漁協は8漁協及び伊勢湾漁協の1支所があり、内水面漁協は14漁協です。
海面の漁船漁業の生産量は15,383トン(平成30年)であり、県全体の11.8%を占めています。主要な漁業種類としては、伊勢湾内で営まれる、ばっち・船びき網、小型機船底びき網、採貝等であり、主要な魚種としてはカタクチイワシ、マイワシ、カレイ、ガザミ、ヨシエビ、ハマグリ、アサリ、バカガイ等が漁獲されています。漁協、市町等が連携してガザミ、ヨシエビ、ハマグリの種苗放流を行うとともに、アサリについては、生息場所の環境整備や移殖放流などの資源回復の取組が行われています。イカナゴについては、愛知県の漁業者と連携して資源管理を行ってきましたが、平成27年度以降、産卵量、加入量が著しく少なく、生産者は本年度の漁の解禁を6年連続で見合わせました。
海面養殖業については、黒のり、青のり養殖を主体に2,955トン(平成30年)が生産されています。近年、黒のり養殖では、「アサクサノリ」が一部地域で養殖され、共販価格全国最高値となるなど注目を集めています。また、平成29年度より漁業者、水産研究所、普及員が連携してスジアオノリの養殖試験を開始し、生産されたスジアオノリは共販において高値で取引されるなど新たな漁業として期待されています。
一方、内水面漁業については、木曽三川でのシジミを中心に175トン(平成30年)が水揚げされています。また、内水面養殖業は、本県ではウナギ養殖が中心です。現在ニホンウナギの資源状況は低水準にあり、資源の回復が喫緊の課題となっていますが、県内シラスウナギの採捕量は豊漁となった昨年に引き続き高い水準となりました。