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平成21年02月26日

明日のためのイカナゴ資源管理

イカナゴ資源管理の4つの柱を知る

1.産卵親魚の保護について知る

産卵前の親魚を大量に漁獲することは、その後の再生産に極めて大きな打撃を与えます。そこで、試験曳き(親魚調査:県が立会)を実施し、親イカナゴの産卵済みを確認した上で親魚漁を解禁しています。

近年、特に愛知県側漁業者から、「産卵後の1歳魚も翌年の2歳親魚として保護が必要」との意見が出され、親魚漁を巡ってのトラブルが生じています。表2に親魚資源に及ぼす親魚漁の影響評価を行ってみました。それによると近年の神島・答志島地区による漁獲尾数は、親魚資源尾数のわずか数%程度に過ぎません。また、漁獲されずに生き残った1歳魚の大半は、翌年の産卵期までに何らかの要因で死んでおり、2歳親魚として産卵に参加している個体は例年ごくわずかです。

写真2 未産卵魚(雌)

以上のことから判断すると、産卵済みを確認して行われる現行の親魚漁が、資源に大きなダメージを与えているとは科学的には考え難いのです。むしろ、取り残した1歳魚が2歳魚になるまでに大半がへい死していることを考えると、漁獲することの方が資源の有効利用と言えるのかもしれません。

表2 親イカナゴ漁の概況

2.解禁日の設定について知る

愛知県側の漁業者は、シラス加工に重点を置く地元加工業者の需要を背景に、単価の高いシラス期に集中して漁獲する操業形態。一方、三重県側では、シラス加工への依存度が愛知県側ほど高くなく、むしろ冷凍魚を原料とした加工品の製造や養殖用餌料の取り扱いに重点を置く地元加工業者の需要に対応し、成長段階の全般にわたって漁獲する操業形態です。こうした両者の相違点から、これまで解禁日を巡って、愛知県ではより早く、三重県では遅めに設定するよう主張して対立することが多かったのです。

しかし、三重・愛知の両県研究機関における近年の研究で、限られた資源で最大の経済価値を得るには体長35㎜前後で漁獲し始めると良いことが明らかとなりました。

そこで、近年では両県漁業者が連携して、調査(試験曳き)を行い、主群サイズが体長35㎜に到達する日を目安に、両県漁業者が協議して解禁日を決定しています。

3.終漁日の設定について知る

伊勢湾産のイカナゴにおける親仔の量的な関係を図4に示しました。

横軸に親の尾数、縦軸にその親から発生する新仔の尾数をとり、これまでの各年のデータをプロットしました。これらの各データに適合する曲線を引くと実線のようになります。この図に基づけば、親魚尾数が20億尾で新仔の発生量は約350億尾に達し、その後は親魚尾数が増えても発生量が頭打ちになることがわかります。こうした科学的な知見から無駄なく安定した新仔の発生量を期待するのであれば、20億尾程度の親魚を確保することが望ましいと言えるでしょう。また、漁期終漁(5月頃)後のイカナゴ未成魚は、比較的短期間のうちに夏眠生活に入ります。夏眠期のイカナゴは、へい死や害敵に捕食されることもないと考えられています。

図4 伊勢湾のイカナゴにおける親仔の量的関係

更に、夏眠終了(11月頃)後、比較的短期間で産卵することも確認されていることから、残存した(翌年の産卵親魚として確保するため漁獲しなかった)未成魚は、その数を大きく減少させることなく、翌年の産卵親魚になると言えます。そこで、三重・愛知両県の漁獲量等のデータをリアルタイムで整理して、漁期途上で残存資源尾数を把握し、適度の残存尾数に達した段階を目安に、両県漁業者が協議して終漁日を決定しています。

解禁日の設定でも説明したように、三重と愛知の漁業者の漁業戦略が異なっているため、単純に残存尾数を確保することだけに注目すると、シラス集中型(漁期前半に集中して漁獲:同じ量でも尾数換算すると漁獲圧大)の愛知県側に有利な状況となってしまうため、両県漁業者にとって限られた資源を有効に活用できるように、休漁日を設定するなどの措置も必要と考えられます。

4.夏眠場所の保護について知る

イカナゴは元来、冷水性(北方系)の魚であり、夏眠は生活領域を暖海域に広げていくために獲得した生態であると考えられています。イカナゴが生きていく上で、夏眠生活は不可欠であり、夏眠場の喪失は本種の絶滅につながります。実際に瀬戸内海のある海域では、土砂採取により夏眠場が消失し、イカナゴ資源が枯渇しました。夏眠場周辺での開発行為などは極力注意を払って、その保全に努めることが重要です。

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津市桜橋3-446-34(津庁舎3階)
電話番号:059-223-5165 
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