令和8年3月26日に提出のあった住民監査請求について、令和8年5月15日付けで監査の結果を決定し、請求人に通知しました。
1 請求書提出日 令和8年3月26日
2 請求人 竹本 昇
3 請求の内容(要旨)
みえ県民1万人アンケート(以下「本件アンケート」という。)は、調査対象者が選挙人名簿から抽出
された結果、外国籍住民が除外されており、地方自治法や「差別を解消し、人権が尊重される三重をつく
る条例」等に反し違法である。また、外国籍職員の採用に関する問16についても、追加の経緯や必要性
等の観点から知事に裁量権の逸脱濫用があり違法である。
よって、本件アンケート業務に係る委託費の支出(以下「本件支出」という。)の差し止め、及び一見
勝之に対する本件支出相当額の損害賠償の請求を求める。
4 監査委員の判断
(1)結論
本件請求を棄却する。
(2)結論に至った理由
住民監査請求の監査の対象となる行為は財務会計上の行為であるところ、請求人が違法であると主張
する本件アンケートの方法、内容及びそれらの決定行為は、本件支出の財務会計上の直接の原因行為と
は言えない。
他方、本件支出に先行する直接の原因行為は本件委託契約であり、本件支出は、本件委託契約の履行
としてなされたものである。
契約の履行行為としての支出の差し止めについては、当該契約が私法上当然無効とは言えない場合に
は、県は契約の相手方に対して、当該契約に基づく債務を履行すべき義務を負うのであるから、当該債
務の履行として行われる行為自体はこれを違法と言うことはできないと考えられる。
そこで、請求人の主張する理由により、本件支出の直接の原因行為である本件委託契約が私法上当然
無効と言えるか否かについて検討する。
ア 選挙人名簿から調査対象者を抽出したこと
地方自治法等は包括的な理念として抽象的に権利や責務を明らかにしたものであり、本件アンケー
トは政策決定の参考として実施されたものであることや、調査対象者から意図的に外国人を排除した
とは認められないこと等を総合的に勘案すれば、本件委託契約を当然に無効とするほどの違法性を帯
びているとまでは言えない。
イ 国籍要件に関する設問を設定したこと
問16の内容は職員採用という知事の職務に属する事項であり知事が本件アンケートを私的に利用
したとは言えないこと、職員による情報漏えいに対しては刑法等で対応可能である等の請求人の主
張することをもって、ただちに設問の必要性がないとまでは言えないこと等から、知事に裁量権の
逸脱濫用があるとは認められず、問16を設定したことが本件委託契約を当然に無効とするほどの違
法性を帯びているとまでは言えない。
(3)付言
今回、請求人から本件請求が提出された要因の一つは、外国籍住民が本件アンケート調査対象から結
果として除外されたことにある。
県におかれては、今後、県民を対象としたアンケートによる世論調査を行う際には、調査対象者の抽
出方法に関して県民に明確に伝わるよう配慮し、県民への説明責任を果たすとともに、外国籍住民も対
象とするなど、その調査の趣旨や目的に照らし、より一層、多様な県民の声を県政運営に活かすことが
できるよう取り組まれたい。