令和6年5月29日、三重県生活環境の保全に関する条例第72条の4第1項の規定に基づき、豊國工業株式会社(三重県伊賀市小田町1450-1、代表取締役 井上明彦)から、同社三重工場(伊賀市小田町1450-1)の敷地内において地下水汚染(ふっ素及びその化合物、ほう素及びその化合物)が発見された旨の届出がありました。
1 内容
届出によると、同社は、製品の製造過程で地下水を冷却水等に利用しており、その地下水の水質調査を実施したところ、次のとおり条例で規定する基準を超過していました。
【ふっ素及びその化合物】
地下水(最大値):1.2mg/L(基準値0.8mg/Lの1.5倍)
【ほう素及びその化合物】
地下水:1.2mg/L(基準値1.0mg/Lの1.2倍)
同工場内には地下水を取水する井戸が2か所ありますが、そのうち1か所において、有害物質による汚染が確認されました。
同工場内には、ふっ素及びその化合物を使用する施設やその廃液を貯蔵する施設が設置されていますが、過去に有害物質が漏洩する等の事故の履歴はなく、また、同社が工場内の42地点で2物質(ふっ素及びその化合物、ほう素及びその化合物)について土壌調査を実施した結果、全て土壌環境基準に適合していたことから、今回発見された地下水汚染の原因は特定できていません。
届出を受け、本日(5月29日)、伊賀地域防災総合事務所が同工場に立入検査を行ったところ、有害物質を使用する施設等が適切に管理されていることを確認しました。
有害物質が検出された地下水は、他の地下水と混合し冷却水等として利用されており、その後、工場外に放流されていますが、基準値を下回っていることから、周辺環境への影響はないと考えられます。
同社においては、定期的な地下水調査を実施するとともに、有害物質の除去装置を設置することを検討しています。
県は、地下水汚染対策が確実に実施されるよう指導していきます。
2 届出内容の問い合わせ
豊國工業株式会社 生産技術課
電話:0595-23-2482
【参考】
○三重県生活環境の保全に関する条例(抜粋)
(土壌又は地下水の特定有害物質による汚染発見時の届出等)
第七十二条の四
土地の所有者等は、人の健康又は生活環境に係る被害が生じ、又は生じるおそれがあるものとして規則で定める基準を超える土壌又は地下水の特定有害物質による汚染を発見したときは、速やかに当該汚染の拡散を防止するための応急の措置を講ずるとともに、当該汚染の状況及び講じた措置について、規則で定めるところにより、知事に届け出なければならない。ただし、水質汚濁防止法第十四条の二第一項の規定による届出があった場合は、この限りでない。
2 知事は、前項本文の規定による届出があった場合は、関係市町長に通知するとともに、人の健康又は生活環境に係る被害を防止するため必要があると認めるときは、規則で定めるところにより、当該届出の内容を公表するものとする。
○ふっ素及びその化合物
ふっ素及びその化合物は、ホタル石などの形態で自然界に広く分布しています。環境中においては、河川や地下水、土壌中に含まれており、海水中のふっ素は比較的高濃度となっています。ふっ素化合物は、ガラス加工や電子工業等において使用されるほか、ふっ素樹脂等として広く用いられています。また、適量のふっ素は虫歯予防に有効であり、歯磨材にも添加されています。ふっ素による健康被害としては、飲料水としての過剰な摂取による斑状歯の発生等が知られています。
○ほう素及びその化合物
ほう素は、自然界にも存在する元素で、温泉水や海水中には比較的高濃度で存在します。ほう素はガラス繊維の原料などに使用され、ほう素の化合物であるほう酸は、ごきぶり駆除剤に使用されています。化合物の種類によって毒性は異なりますが、実験動物では、母動物に腎臓重量の増加、胎子に体重増加抑制と肋骨異常が認められています。