環境基準の達成と生物生産性・生物多様性とが調和・両立した「きれいで豊かな伊勢湾」を実現するため、水質汚濁防止法に基づき、令和6年度を目標とする第9次水質総量削減計画を定め、令和4年10月21日付けで公告を行いました。また、同計画の目標の達成を図るため、化学的酸素要求量(COD)、窒素含有量及びりん含有量に係る総量規制基準を設定し、同日付で告示を行いました。
近年、伊勢湾の水質は改善傾向にあるものの、漁獲量の減少に伴い、海域の豊かさの重要性が指摘されるようになっています。そのため、本計画は、従来の削減一辺倒から、海域の状況に応じた「水環境管理」へと新たな方向性を取り入れた総合的な計画となっています。
1 水質総量削減制度
人口や産業等が集中し、広域的な閉鎖性海域(東京湾、伊勢湾及び瀬戸内海)の水質保全を図るため、
工場・事業場をはじめ、生活排水等も含めた汚濁発生源について、総合的・計画的に対策を進める制度
です。
関係する都府県が総量削減計画を策定し、化学的酸素要求量(COD)、窒素含有量及びりん含有量の
汚濁負荷量の削減を図ります。三重県では、昭和54年度に第1次総量削減計画を策定以降、8次にわたり
汚濁負荷量の削減に取組んできました。
2 計画の主な内容
(1)目標量
本計画では、これまで削減一辺倒であった海域への窒素及びりんの汚濁負荷量について、海域の生物
生産性を考慮して増加させるなど、当県として初めての見直しを行いました。
(2)主な取組
〇下水処理場の栄養塩類管理運転の試行
公的機関が管理する下水処理場において、窒素及びりんを基準の範囲内でできるだけ多く排出する
などの栄養塩類管理運転を試行します。
〇藻場、干潟及び浅場の保全・再生等の推進
海域の栄養塩類を湾内の豊かな生物生産に繋げていくため、藻場、干潟及び浅場を保全するととも
に、再生・創出を推進します。
〇調査研究の推進と科学的知見の集積 ・活用
農林水産部や県土整備部との連携のもと、調査研究により、取組の効果検証を実施し、その成果を
もとに新たな施策への展開を図ります。
3 総量規制基準
水質汚濁防止法に定める指定地域内の産業系の発生源対策として、同法の規制対象事業場(1日あたり
の平均的な排水量が50立方メートル以上であり、伊勢湾流域に放流する場合に限る。)に適用する基準
です。
近年の伊勢湾における栄養塩類の減少に対して、下水処理場の栄養塩類管理運転により海域へ窒素及び
りんが柔軟に供給できるよう、下水道業の基準値についてのみ、国が定めた範囲の上限となるよう見直し
を行いました。
基準適用日 令和4年11月1日