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平成23年第2回三重県議会定例会 知事提案説明(追加提案・その2)前編

 ただいま上程されました議案の説明に先立ちまして、今後の県政運営に当たっての私の所信を申し述べ、議員の皆様並びに県民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 東日本大震災が発生し、わが国が未曾有の危機に直面する中、私は、現在の閉塞感を打破し、危機を乗り切っていくために、変化の必要性を強く訴え、知事に当選させていただきました。
 県民の皆様が変化を実感できるよう県政の改革を進め、未来に夢と希望を持つことのできる新しい三重をつくりあげることが私の使命であり、186万人の県民の負託に応えるべく、知事の職務に強い覚悟と信念をもって、全力で取り組んでいく決意です。

(東日本大震災)
 3月11日に発生した東日本大震災は、東北地方の太平洋沿岸部を中心に壊滅的な被害をもたらし、わが国に大きな打撃を与え、日本人の心に今後忘れることのできない衝撃を残しました。私も被災地に赴きましたが、想像を絶する状況でした。加えて、福島第一原子力発電所の事故は、依然予断を許さない状況が続いており、周辺住民の避難生活が長期化するなど、被害はさらに深刻化しています。
 県内においても、水産業で甚大な被害が発生したほか、原材料の供給不足等に伴い企業の生産活動が低下しました。3月の鉱工業生産指数が前月に比べて11%減と、平成20年の世界的な経済・金融危機以来の急激な低下となるとともに、4月の新規求人数は前月より16.1%減少し、全国でも最大の下落率となりました。また、原子力発電所の事故に伴い、観光需要が落ち込み、食品の輸出に支障が生じるなど風評被害も発生しています。さらに、浜岡原子力発電所が全面運転停止するに至って、今後の電力供給にも懸念が生じる事態となるなど、震災の影響は広範囲に及んでいます。
 私たちは、震災を契機として、生活のあり方そのものの見直しを迫られています。
 戦後最大の国難とも言えるこの危機を、今こそ心を一つにし、互いに支え合い、知恵を出し合って乗り越え、活力ある日本を再生していく必要があります。

(生活不安の広がり)
 さて、昨年実施された国勢調査によると、わが国の人口は1億2,805万6千人、5年間の増加率は0.2%で調査開始以来最低となりました。都道府県別では38道府県で人口が減少しており、本県を含む6府県で増加から減少に転じました。
 少子高齢化が進む中、公的年金や医療保険などの社会保障制度にひずみが生じ、国民の信頼を失いかけています。また、経済のグローバル化が進展する中、世界との厳しい競争に対応するため、企業における雇用形態が大きく変化し、非正規雇用が増加しました。さらに、未婚化・晩婚化が進み単身世帯が増加するなど、家族の姿が変容し、地域における絆も希薄になってきました。
 こうした中で、社会的に孤立する人々が増加し、子育てや教育、医療、介護など、国民の将来のくらしに対する不安と負担感が高まっています。

(パラダイムの転換)
 一方で、高齢化の進展もあって、社会保障経費は増加を続け、国、地方を問わず、財政の大きな圧迫要因となっています。現行の税制では、財政需要を賄うのに必要な租税収入を確保することは困難な状況となっており、持続可能な社会保障制度の再構築が求められています。
 被災地では、地域の絆をもとに、震災で失われたコミュニティを再生しようとする取組が広がりつつあります。また、全国各地で、震災をきっかけに、これまでの生活様式を見直す動きも起こっています。
 これからは、行政が「公共」の役割を全て担うのではなく、個人や企業等の自助努力を前提として、家庭や地域における支えあい、NPO活動、企業の社会貢献など、「民」が果たす「公共」の役割が大きくクローズアップされることとなります。
 行政は、「公共」の領域全体を見渡した上で、「民」の果たす役割をサポートしていくとともに、個人や地域、企業等の努力では解決できない課題に対して、しっかりとその責任を果たさなければなりません。
 これまでのように、人口や経済の右肩上がりの成長を前提とした考え方は成り立たなくなり、行政が「あれもやります」「これもやります」という姿勢をとることは困難です。既存の体制や枠組の根本的な変革、すなわち、パラダイムの転換が求められているのです。

(日本一、幸福が実感できる三重)
 わが国がこうした大きな試練のときを迎え、変革が求められる中で、私は、日本一、幸福が実感できる三重をめざし、新しい三重づくりに取り組んでまいります。
 人は、人とのかかわりの中で、自らの求めるものが充足されたときに、幸福を感じます。幸福とは、誰かに与えられるものではなく、自ら求める何かが実現されたときに得られるものです。また、人の役に立つということも、幸福を感じるとても大きな要素です。
 県民の皆様一人ひとりが求める幸福のかたちはさまざまですが、私は、自らの持てる能力を発揮できる場や、人のために役割を果たす場、夢や希望の実現に向かって挑戦できる機会が確保されることで、県民の皆様の幸福実感が高まることになると考えます。
 「幸福」を「実感」するとは、県民の皆様自身の状態の変化を目的とするものです。これまで県が取り組んできたものの、未だなお途上にある施策展開について、取組を加速し、しっかりと現実のものとしていきます。

(三重県が果たすべき二つの役割)
 日本一、幸福が実感できる三重をめざす上で、これからの三重県が、果たすべき二つの大きな役割があります。
 一つは、ものづくりの拠点として、日本経済をリードする役割です。
 三重県は、多彩な産業集積や生産現場の高い技術力などを基盤として、これまでも、ものづくりの拠点の一翼を担い、日本経済を牽引してきました。被災地の復旧、復興に向け、力強い日本経済の回復が求められる中、三重県には、ものづくりを中心に、日本経済を支えリードしていく役割があります。
 ものづくりを起点に、産業・経済の活力が高まり、地域で雇用の場が確保されることで、県民の皆様一人ひとりが経済的な生活基盤を確保することができます。また、生活が経済的に安定することで、自殺者や児童虐待、高齢者の孤独死といった社会問題の解決にもつながるものと考えます。

 三重県が果たすべきもう一つの役割は、これからの時代に必要な「新しい豊かさ」のモデルを示すことです。
 成熟社会における国や地域のあり方として、GDP(国内総生産)などの経済的尺度だけでは表すことのできない「新しい豊かさ」を掲げ、経済成長に代わる地域経営のモデルを示すことが求められています。
 三重県には、豊かな自然やその恵み、自然と共生してきた地域の文化、或いはまた、そうした恵みに感謝し文化を継承してきた人々の絆など、さまざまな資源や魅力があります。恵まれた資源を生かして、人と人とのつながりや自然とのふれあいの中で幸福を感じるような地域社会の姿、「新しい豊かさ」のモデルを示していきたいと考えています。
 三重県、そして三重県民の皆様は、無限の可能性を持っています。
 私が今申し上げた二つの役割を、心を一つにして果たしていくことを通じて、その可能性を開花させ、県民の皆様が日本一、幸福を実感できるよう、しっかりとリーダーシップを発揮してまいります。
 そのため、次の三つの基本姿勢で県政運営を進めてまいります。

(現場を大切にし、地域の力を伸ばす県政)
 まず、「現場を大切にし、地域の力を伸ばす県政」です。
 経済面やくらしの面でみられる地域間の格差を解消し、県内のどこに生まれても、どこに住んでも良かったと県民の皆様が思える三重県にしていくため、地域の魅力や価値を高めること、地域の実情に即した行政サービスを提供していくことが必要です。
 このため、現場の方々の声に直接耳を傾け、地域課題に正面から向き合い解決に取り組むとともに、さまざまな資源を積極的に活用することで、地域の力を伸ばしてまいります。
 私が自ら現場に足を運び、地域の皆様と直接対話する「車座トーク」を29市町で順次実施してまいります。

(さまざまな力を結集する県政)
 二つ目は、「さまざまな力を結集する県政」です。
 これからの時代は、自らの住む地域のことは住民自らが決定し、主体的に課題の解決に取り組んでいただかなければなりません。
 しかし、一人では、誰も、何もできません。新しい三重づくりは、年齢、性別、障がいの有無などに関わらず、全ての県民の皆様とともに、地域の団体やNPO、企業の皆様とも力を合わせ、進めてまいります。
 また、国や市町との役割分担をより明確にし、行政相互の連携を円滑にして取組を進めます。県内29市町とのパートナーシップを大切にし、各地域の実情に応じて適切な支援・補完を行うとともに、県域を越える広域的な取組に対応するため、近隣の府県との連携をこれまで以上に大切にして、地域課題の解決を図っていきたいと考えています。

(開かれ、内外に発信する県政)
 三つ目は、「開かれ、内外に発信する県政」です。
 公平・公正で透明性のある、開かれた県政を県民の皆様とともに進めていくためには、まず、県の取組を知っていただく、そして、関心を持っていただくことが重要です。
 また、これからの県政は、海外にも目を向け、世界の中の日本、世界の中の三重県との認識のもと、世界との心の距離を縮めていく視点が大切です。
 このため、県政の情報や地域の魅力をはじめとする三重の情報を、県民のみならず、広く国内や海外に発信してまいります。
 県民の皆様に、三重県や地域社会への関心を高め、さまざまな形で県政に参画していただけるよう、日々の会見などを通じ、タイムリーに情報を提供するように取り組み始めたところです。

(県政展開の方向)
 こうした基本姿勢のもとで、大きく三つの分野に分けて、県政全般を展開してまいります。

 まず、安全で安心して暮らすことのできる三重をつくるため、日常生活における不安を取り除き、県民一人ひとりが、いのちとくらしの安全と安心を実感できるよう、政策を展開してまいります。
 このため、ソフト・ハードの両面から防災対策に総合的に取り組むとともに、防犯など県民の皆様の安全確保に努めます。また、医療体制の整備や介護サービスの充実、障がい者の自立支援など、医療・福祉の充実に取り組みます。さらに、持続可能な循環型社会の構築に向け、幅広い環境対策を進めます。

 次に、人と地域が輝き、個性や能力を生かすことのできる三重をつくるため、県民一人ひとりが個人として尊重され、個性や能力を発揮して自らの夢や希望の実現に挑戦できるよう、政策を展開してまいります。
 このため、学校教育の充実や安心して子育てができる環境の整備、児童虐待への対応など、次世代の育成に取り組みます。また、人権が尊重される社会の実現に向けた取組や女性の社会参画の支援などを進めるとともに、スポーツの振興や生涯にわたり学び続けることができる環境づくりを進めます。さらに、個性豊かで活力ある地域の創造につながる地域の自発的な取組を支援していきます。
 より多くの県民の皆様に参画いただき、情報発信を一層強化していくため、産業・観光分野の取組とも連携しながら、「美(うま)し国おこし・三重」の取組などを進めてまいります。
 なお、新県立博物館については、これまでの経緯を踏まえつつ、検証を進めてきました。その結果、一定の前提のもと、基本的には整備の方向で進めることが妥当であると確認するに至りました。詳細については、全員協議会においてご説明させていただきます。

 最後に、働く機会に恵まれ、産業や経済が活発な活力ある三重をつくるため、地域の強みを生かすことで産業や経済が躍動し、雇用の場が確保され、県民一人ひとりが豊かさを実感できるよう、政策を展開してまいります。
 このため、ものづくりを支える県内中小企業への支援や農商工連携の推進、観光振興などに取り組むとともに、企業誘致や三重のPRを積極的に進めます。また、働く意欲のある若年者や障がいのある方々が、その能力に応じて就労できるよう支援していきます。さらに、産業や地域活性化の基盤となる幹線道路網などのインフラ整備を進めます。なお、道路の整備について、財政状況や社会情勢の変化に対応しつつ、県民ニーズに的確に応えていくための新たな整備方針を策定します。

 こうした大きく三つの分野で県政全般を進めてまいりますが、今年度、当面注力していく課題や取組は次のとおりです。

(東日本大震災への対応)
 第一に、防災・エネルギー対策を含む東日本大震災への対応です。被害を受けた県内水産業への支援や被災地の復旧・復興に向けた支援とともに、県内の防災対策にしっかりと取り組みます。
 防災対策については、いつ発生してもおかしくない大規模地震に備え、緊急的な対応として、避難所の確保に向けた市町の取組の支援などを行うとともに、本年9月を目途に、より緊急性の高い対策を盛り込んだ行動計画を策定します。
 さらに、中長期の対策を含む新たな地震対策行動計画を平成24年度中に策定するため、中央防災会議の被害想定調査等も踏まえ、改めて県として被害想定調査を実施し、課題の洗い出しなどを行います。
 また、今般の原子力発電所の事故を踏まえ、国の「エネルギー基本計画」が見直されることとなりました。エネルギー政策について、国や電力事業者だけに任せるのではなく、地方も担うべきことを明確にすることとし、今年度中に県の新エネルギービジョンを策定し、強力に推進してまいります。

(教育再生~教育立県に向けて)
 次に、教育立県に向けた取組です。次世代の育成は、欠かせない未来への投資であり、学力と規範意識を身につける機会を保障すべく、教育の再生にしっかりと取り組んでまいります。
 子どもたちの教育を学校任せにするのではなく、大人が範を示し、学校・家庭・地域が一体となって、子どもたちの大きな可能性を引き出すように取組を進めます。
 また、三重県は、伝統文化や歴史資産に恵まれた地域です。地域の教育力を高め、日本人の謙虚さや思いやり、豊かな感性といったものを大切にする心を育む教育にも力を入れていきたいと考えています。
 このため、子どもたちの学力向上と豊かな心の育成に向けて、平成22年度に策定した「三重県教育ビジョン」を着実に推進してまいります。
 学力の向上、キャリア教育の充実、郷土教育の推進について一層の取組を行うため、有識者による「三重県教育改革推進会議」で議論を深め、施策を展開していきます。
 また、子どもたちの安全・安心の確保の観点から、教育委員会に「学校防災緊急対策プロジェクト」を設置し、防災対策・防災教育に取り組んでまいります。

(雇用・経済対策)
 平成20年の世界的な経済・金融危機は、本県経済にも深刻な影響をもたらしました。平成21年6月には有効求人倍率が過去最低の0.40倍を記録し、また、平成20年度の一人あたり県民所得が前年度に比べて12.2%減と、全国一番の下落率となるなど、県内の雇用経済情勢は急激に悪化しました。
 本年に入り、生産において一部持ち直しの動きも出ていましたが、震災による経済活動の停滞、さらには、浜岡原子力発電所の運転停止による電力供給不足への懸念から、先行きの不透明感が増し、依然厳しい状況が続いています。
 震災の影響を最小限に抑え、力強い本県経済の回復を確実なものとするため、「三重の元気を支える雇用・経済対策」に取り組みます。
 平成23年度当初予算の事業を迅速に進めるとともに、震災の影響を踏まえ、新たに6月補正予算として計上したところであり、「雇用創出と就労支援」や「事業展開支援や需要喚起等による経済活性化」、「雇用や暮らしを支える環境づくり」の取組を実施していきたいと考えています。

(地域医療の確保・充実)
 地域医療の確保・充実にも力を入れてまいります。
 「三重県地域医療再生計画」等に基づき、医師や看護職員の確保対策に重点的に取り組むとともに、県立病院改革の基本方針に沿って、県民の皆様が、良質で満足度の高い医療サービスを安定的、継続的に受けることができるよう運営体制を再構築することとし、志摩病院や総合医療センターの改革を着実に進めてまいります。
 また、市町や民間の病院とも連携を密にし、県民の皆様に適切な医療が提供される体制を確保していきたいと考えています。
 さらに、県民の皆様に救急車の適正利用のお願いをする中で、ドクターヘリの導入を図るなど、救急医療体制の整備に努めてまいります。

(新しい県政ビジョンの策定)
 こうした取組を進め、日本一、幸福が実感できる三重を実現するため、新しい県政ビジョンを今年度中に策定します。
 県政ビジョンは、今後の三重県のあるべき姿とその実現に向けた政策展開の方向などをお示しする中長期の計画であり、平成24年度から4年間の実施計画を合わせて策定することとしています。県民の皆様のニーズ把握をしっかりと行った上で、三重県の将来像を共有し、力を合わせ推進していけるようにしたいと考えています。
 なお、ビジョン等の策定にあたっては、外部の有識者からなる「経営戦略会議」を設置し、助言を得ながら進めていくこととします。

(行財政改革の推進)
 最後に、行財政改革の推進です。
 地方財政計画において、地方における一般財源総額の増加が見込めない中、本県の財政状況は、義務的経費が高い水準で推移しており、今後、一層の硬直化が見込まれています。
 県税収入は、平成19年度の2,736億円をピークに減少し、平成23年度当初予算では2,286億円の見込みとなっています。一方、県債残高は、平成20年度に1兆円を超え、平成22年度末で1兆1,853億円の見込みとなるなど、年々増加しています。
 こうした厳しい財政状況の中で、新たな行政需要に的確に対応し、新しい県政ビジョンを着実に進めるためには、総人件費の抑制や事務事業の抜本的な見直しなどにより、財源の確保に努める必要があります。
 このため、しがらみと無駄を断ち切り、「先導・変革」、「自立・創造」及び「簡素・効率」の観点に立って、新たな行財政改革の取組を進めます。
 「三重県版事業仕分け」などにより、聖域を設けることなく、全ての歳出をゼロベースで見直し、税金の使い方を変えていきます。また、将来世代に負担を先送りしないよう、4年以内に県債残高を減少させる取組を進めます。

 以上、県政運営に当たりまして、私の所信を申し述べましたが、議員の皆様におかれましては、ご理解、ご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 財政課 〒514-8570 
津市広明町13番地(本庁3階)
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