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平成28年三重県議会定例会 知事提案説明(追加提案・その5)

 平成28年定例会6月定例月会議の議案等の説明に先立ちまして、当面の県政運営にあたっての私の考え方を申し述べます。
 
(平成28年熊本地震)
 本年4月に発生した平成28年熊本地震では、観測史上初めて2度の震度7を記録し、死傷者が1,700名を超える大災害となりました。多数の建物が倒壊し、未だ多くの方が避難生活を余儀なくされる大変厳しい状況が続いています。亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。
 三重県では、発災後直ちに熊本地震対策庁内連絡会議を開催して、支援体制を構築し、熊本県南阿蘇村での救援物資の搬出入にかかる職員派遣や市町と連携した災害廃棄物処理の支援など、人と物資の両面において支援を行ってきました。引き続き被災自治体等とも連携を密にし、できる限りの支援を行っていきます。
 一方、東日本大震災及び紀伊半島大水害の発生から5年目となる節目の年を迎える中で、県民の皆様の防災意識が年々低下する傾向にあり、「防災の日常化」をしっかりと定着させるため、取組を強化していきます。その際、熊本地震に対する支援を行う中で得た経験や現場で明らかになった課題を、本県の今後の取組にも生かしていきます。
(伊勢志摩サミット)
 5月26日、27日、全世界が注目する中で開催された伊勢志摩サミットは、奇跡的に好天に恵まれ、安全かつ成功裏に全日程を終了しました。
 
(感謝)
 テロの脅威が高まる中、サミットが安全・安心に開催され、多くの成果につなげることができたのも、昨年6月5日の開催決定以降、約1年間にわたり「オール三重」で一丸となって取り組んだ結果であり、県民の皆様をはじめ、県議会議員や市町、県内外の事業者の方々、警備や消防、医療などに携わった全国の関係者など、多くの方々のご協力、ご尽力の賜物です。
 サミットに関わった全ての方に深く感謝申し上げます。
 県民の方から「成功は日本と三重県民の誇りです。」、「あらためて三重県の良さを感じる。」といった声をいただき、サミットを契機に多くの県民の皆様が、自分たちの住む地域をあらためて見つめなおし、その魅力を再発見し、ふるさとへの愛着や誇りを一層深められたと感じています。
 
(県民のアクション)
 サミットを通じて県民の皆様の底力をあらためて感じ、感動しました。全市町で取り組まれたおもてなし大作戦では、6万人以上の方がクリーンアップ作戦に参加し、11万本以上の花で歓迎していただき、幅広い年齢層から1,000人を超える応募があった外国語案内ボランティアについては、280人の方が語学力を発揮し、海外の報道関係者の方々を支援してくれました。また、沿道等随所において多くの県民の皆様が気持ちのこもったお出迎えをしていただきました。こうした皆様のおもてなしについては、各国首脳や配偶者の方々から感銘を受けたとの言葉をいただいたと聞いています。
 まさに、県民の皆様の大活躍がサミットを成功に導いたのです。
 また、サミットが無事に閉幕したのは、我が国の警察関係者がその威信をかけ、過去最大規模で臨んだ警備があったからこそです。海上保安庁や自衛隊など多くの関係機関との連携も大きかったと思います。日本の警察の能力の高さを世界に知らしめることができたと確信しています。加えて、「テロ対策パートナーシップ」は、官民で協力してテロ等を未然に防止するというこれまでにない試みであり、日本型テロ対策として、今後の取組につながる大変大きな成果でした。
 各種イベントの開催やシンボルマークの使用等の協賛・応援事業は1,000件を超え、全国からお寄せいただいた寄附金は5億円を突破いたしました。
 一方、安全・安心に万全を期すため、県内外での交通規制や鉄道・バス等の運休、学校の休校、県発注工事の休止などの対応を取らざるを得ず、県民の皆様や事業者の方々にさまざまな面でご不便、ご負担をおかけいたしました。皆様の協力なくして、サミットの安全・安心な開催は到底あり得ませんでした。
 安倍首相は議長国会見の際、「今回のサミット開催にあたって大変なご協力をいただいた伊勢志摩の地元の皆さん、三重県の皆さんに、心からの感謝を申し上げたい。」という言葉で締めくくられました。
 私は開催県の知事として、県民の皆様を心の底から誇りに感じ、感慨深い思いでいっぱいになりました。あらためて感謝申し上げます。
 
(首脳宣言・神宮訪問)
 サミットでは、世界の平和、安全及び繁栄を確保するための主要な課題の解決に向け、G7が結束して取り組むことが合意され、「G7伊勢志摩首脳宣言」が取りまとめられました。
 会議の開催に先駆けて、各国首脳が初めて伊勢神宮を訪問されました。参集殿での記帳においてオバマ大統領は、「幾世にもわたり、癒しと安寧をもたらしてきた神聖なこの地を訪れることができ、非常に光栄に思います。世界中の人々が平和に、理解しあって共生できるようお祈りいたします。」との言葉を残されました。
 伊勢神宮が「平和への祈り」や「自然と人との共生」、「他者や多様性への寛容や調和」、「日本の伝統文化の継続性」などを象徴する 場所であることを、各国首脳に感じていただきました。このことは、私たち県民が神宮式年遷宮を自ら担って体験し、心に記憶してきたものに他なりません。
 また、安倍首相は議長国会見の中で、「神宮は五穀豊穣を祈り、平和を祈り、人々の幸せを祈りながら、2,000年もの悠久の歴史を紡いできました。今日の平和と繁栄は、そうした人々の祈りの上に築かれたものであります。」と述べられました。
 伊勢神宮は人種や宗派、世代を越えて、多様な価値観を寛容に受け入れ、平和への祈りをささげる場であり、G7のリーダーが、伊勢神宮のある三重の地に集い、世界平和の確立に向けたメッセージを発信したことは、歴史に残る画期的な出来事です。このことは、サミット終了後のオバマ大統領の広島訪問と合わせ、「前向きな未来志向」に立ったものであり、各国首脳の伊勢神宮訪問は大変意義深いものであったと思います。
 私は、先の神宮式年遷宮後、「世界の巡礼地などに匹敵するような、世界から人が訪れる場所にしたい。」と申し上げてきたところであり、その一歩が踏み出せたのではないかと考えています。
 
 今回のサミットでは、三重県にとっても大きな成果がありました。
 首脳宣言をはじめ、サミットで合意された成果文書のいくつかに「伊勢志摩」という名前が冠されたことは、間違いなく「伊勢志摩」、さらには三重県の知名度を飛躍的に高めるものであり、大変大きな意味があります。
 また、首脳宣言には、感染症対策や女性の能力開花の支援、エネルギー・環境問題への対応などが盛り込まれ、こうした課題に対する国際的な取組の進展が、地域社会の抱える課題の解決に向けた大きな推進力となることが期待されます。
 さらに、サミットを通じ、G7各国等と三重県が経済や文化の面でさらなる交流の拡大を図るための貴重な機会を得ることができました。
 
(情報発信)
 配偶者プログラムでは、伊勢神宮やミキモト真珠島において三重県の伝統や文化を堪能していただきました。三重県立相可高等学校食物調理科の生徒による創作料理を楽しんでいただき、海女漁のデモンストレーション、真珠の取り出し作業や伊勢音頭の体験を通じて、地域の方々と交流していただきました。このほか、県内の障がい者の方々の手作りのお菓子を提供する機会もいただきました。
 また、全力で三重県の情報発信に努めたことで、当初の予想を超える成果が得られたと感じています。
 ワーキングランチやワーキングディナー等において、伊勢エビをはじめ松阪牛、伊賀牛などの食材を生かした料理を提供するとともに、首脳の食事の際の乾杯は全て三重県の地酒で行うなど、各国首脳や配偶者の方々を三重県の最高の食材でもてなしました。三重県の食の魅力を最大限にアピールし、食に精通した各国首脳等から、大変高い評価をいただきました。
 国際メディアセンターでの食事については、料理の食材156品目のうち152品目が三重県産で、ほぼ全てのメニューに三重県の食材が使用されました。
 会議では尾鷲産のヒノキ材の円卓を使用し、また、食事の際の乾杯では萬古焼の杯を使用するなど、食材だけでない三重県の産品の素晴らしさをあらゆる場面で発信するよう努めたところです。
 こうした食材や産品は、生産者の方々が丹精込めて育み、作り上げてきたものであり、サミットの場で高い評価をいただき、その魅力が世界に発信されたことは、この上ない誇りです。
 「三重情報館」では、メインステージで伝統工芸の実演や体験、海女の講話、忍者ショー等を行い、高さ2.5m、幅9mの大型ディスプレイにより、三重県の自然や文化等をインパクトのある映像で紹介しました。さらに、多くの方から評価の高かった消せるボールペンやフラッシュメモリーなど、県内企業の高い技術力が生んだ製品を展示し、伊勢茶や餅菓子を振る舞うなど、厳選した63のコンテンツで三重県の魅力を総合的に発信しました。洞爺湖サミットの際の2.5倍となる1万2,000人を超える報道関係者の方が5日間で訪れ、大変好評でした。
 
 こうした取組に加え、延べ36か国の海外の報道関係者の方々に参加いただいたプレスツアーや国内外の報道機関からの取材対応などにより、全世界へ三重の魅力が余すところなく発信されました。
 日本人の精神性や日本固有の豊かな伝統・文化、美しい自然、世界をリードするものづくりの先端技術、そして、伝統と革新が共存する三重の魅力を、各国首脳をはじめ訪れた全ての方に、十二分に伝えることができたのではないかと考えています。
 
(次世代・子ども)
 サミットは、グローバルな視野を持った次世代の育成につながるきっかけになりました。
 特に、次世代を担う若者の活躍にはとても感動しました。ジュニア・サミットの参加者をはじめ、配偶者プログラムで昼食を提供してくれた相可高校の生徒、外国語案内ボランティアとして活躍してくれた高校生、さらには県内各地の小学生など、本当に多くの若者、子どもたちがさまざまな形で参加し、活躍してくれました。
 私は、ある高校生の「三重の良さを再発見でき、海外で学びたいという自分の目標もはっきりした。」という話を聞き、サミットに関わった若者が経験したことや味わった達成感は、彼らが未来を選択する際に貴重な材料となっていくことを確信しました。
 相可高校生や伊勢音頭を踊った小学生たちが、それぞれの役割を終えたとき涙を流していました。子どもたちが、その日に向けていかに努力をし、当日達成感を感じることができたということを表すものであり、彼らにとって大変貴重な経験を提供する結果となり、嬉しく思います。
 4月に開催されたジュニア・サミットでは、日本代表の県内在住の高校生4人を含む各国の15歳から18歳の青少年が、気候変動や経済格差、人材育成、ジェンダーなどの世界が直面する課題について議論し、各国首脳への提言書「桑名ジュニアコミュニケ」を取りまとめました。次世代の世界をより良くしたいという真摯な思いが各国首脳にも伝わった、大変素晴らしい取組となりました。また、県内各地で体験・交流行事が行われ、桑名市の石取祭で和太鼓の演奏を体験していただくなど、各国の参加者に日本の伝統や文化を体感していただき、多くの県民の方々と交流が生まれました。
 
 サミット終了後の報道機関の世論調査において、今回のサミットについて、ある調査では「評価」、「どちらかといえば評価」の合計が78%に、また別の調査では「成功」が71%に達しており、多くの国民に評価していただいていると感じています。
 しかし、サミットの開催はあくまでチャンスに過ぎません。
 県はもとより、県民の皆様お一人おひとりが、このチャンスを掴もうとする思いを持ち、そのための行動を起こし、サミットの資産(レガシー)を次世代に継承していく必要があります。そのことにより初めて、中長期的な視点からも「伊勢志摩サミット」は大成功だったと、後世において永く語り継がれることになると考えます。
 サミットを経て、今、私たちは新たなスタート地点に立ったところであり、サミットのレガシーを三重の未来に生かす「ポストサミット」に取り組んでいきます。
 
(ポストサミット)
 ポストサミットについては、県だけでなく、県民の皆様をはじめ県内外のさまざまな主体が取組の方向性を共有し、具体的なアクションにつなげていく必要があり、サミットの成果を踏まえ三重県がどのような地域をめざすのか、また、そのために何に取り組むのかといった観点から検討を進め、「宣言」として取りまとめていきたいと考えています。
 県としては、「人と事業を呼び込む」、「成果を発展させる」、「次世代に継承する」という3つの観点から事業を構築し展開していきます。
 具体的には、まず知名度等の向上を最大限に生かし、国内外の人と事業を呼び込むため、海外のMICEの誘致活動等を強力に進めます。サミットの熱が冷めやらぬ今月末に、90を超える国から1,500名余りの政財界のリーダーや専門家が出席し、世界経済について討論、意見交換を行う世界経済フォーラム主催の国際会議、いわゆるサマーダボスが中国天津市で開催され、私も出席を予定しています。情報発信や新たなネットワーク構築の絶好の機会であり、サミット開催地三重を強力にアピールしていきます。
 サミット開催期間中に実施した世界との絆づくりでは、アウトリーチ会合に参加するため初めて訪日されたフックベトナム首相が伊勢神宮をご訪問されることとなり、私が案内役を務め、伊勢神宮の凛とした空気の中でその魅力に触れていただきました。この機会を捉え、今後の三重県とベトナムの交流促進につなげていきたいと考えています。
 観光庁の宿泊旅行統計調査によると、平成27年の三重県の延べ宿泊者数は、神宮式年遷宮のあった平成25年の実績を超える約981万人に、また、同年の外国人延べ宿泊者数は約38万人になり、平成19年の調査開始以降最高となりました。この流れをさらに強めインバウンドの拡大につなげるため、海外の富裕層や欧米をターゲットにした新たな取組やゴルフツーリズムによる誘客を進めます。
 平成25年度から実施した三重県観光キャンペーンでは、3年間で約44億円の経済波及効果があり、今後もこれらの成果を踏まえ、観光の産業化に向け取組を展開していきます。
 
 また、サミットそのものの成果を継承し発展させるため、安全・安心にサミットを開催した実績を生かして、犯罪から県民を守るアクションプログラム(仮称)の年内の策定を目指して取り組むなど、安全で安心なまちづくりを進めます。
 三重ならではの食に着目したイベントを開催し、サミットの聖地・三重として印象付けるとともに、平成29年に開催される「第27回全国菓子大博覧会・三重」につなげる取組を行っていきます。
 
 さらに、サミットを通じて高まった地域の総合力を、次世代の育成や地域の魅力向上につなげるための取組を進めます。女性活躍の気運の一層の醸成を図る国際フォーラムや、県内高校生とジュニア・サミット参加者との交流を通じて今後の学校での活動に生かす「三重の高校生サミット」、県外の大学生や留学生等が三重県に集い、県内大学生等と共に伊勢志摩サミットに関するテーマについて討議を行う大学生版のサミットを、さらには、今年70周年を迎える伊勢志摩国立公園において、全国エコツーリズム大会を開催します。
 これらの取組に加え、伊勢志摩サミットの開催を記念し足跡を後世に伝えるため、サミット開催時の様子や使用された調度品、県産材の紹介等を行う記念館を設置します。
 
 サミットのレガシーを最大限に生かし、三重県が将来にわたり持続的に発展していくことができるよう、しっかりと取り組んでいきます。
 
(平成28年度 県政運営の基本的な考え方)
 平成28年度は、「みえ県民力ビジョン・第二次行動計画」の初年度です。
 第一次行動計画では、雇用・経済や防災、インフラ整備などの分野において、県民の皆様に一定の成果を届けることができました。先般公表された平成25年度県民経済計算の全国集計結果においても、三重県の経済成長率は4.9%で全国3位、また、一人当たり県民所得は316万6,000円で全国6位という結果が出ています。
 第二次行動計画においても、「幸福実感日本一」の三重の実現に向けて1年目からしっかりと成果を届けていくため、新しい豊かさと協創の視点を踏まえ、部局間の連携、市町との連携を十分図りながら、「平成28年度三重県経営方針」に基づき県政を推進していきます。中でも特に注力していく当面の課題や取組については、次のとおりです。
 
(教育・人づくり)
 教育・人づくりについては、一人ひとりの輝く未来と希望に満ちた社会の創造に向けて、三重県教育施策大綱に基づき、学力・体力の向上のための取組等を積極的に推進していきます。
 学力向上に向けては、本年4月に実施された全国学力・学習状況調査について、夏頃の国からの調査結果の公表を待たずに、各学校で自主的に採点を行い、児童・生徒のつまずきを早期に発見し、授業改善につなげる取組をスタートしています。また、「わかる授業」促進のため、効果的な少人数指導のあり方についての実践的な研究を行います。
 体力向上に向けては、学校等の取組を支援するための元気アップコーディネーターの学校訪問などに取り組みます。
 「教育の原点」である家庭教育の充実を図るため、家庭教育を応援するための戦略を取りまとめるとともに、子育て中の親同士の交流等に取り組む市町の支援等を行います。
 人間形成の基礎を担う幼児教育の充実を図るため、幼保小接続モデルカリキュラムの作成・普及により、幼稚園・保育所・認定こども園から小学校への円滑な接続がなされるよう取り組むとともに、生活習慣等に関するチェックシートの活用等により、就学前の子どもたちの基本的生活習慣の確立を図ります。
 また、本年8月には、第10回国際地学オリンピックが三重県で開催されます。国際地学オリンピックは、7つある科学オリンピックの中の1つで、今回初めて日本で開催されることとなりました。30ヶ国、約120名の高校生が一堂に会し、本県の高校生2名も参加し、地学の知識や思考力を競い合うこととしており、伊勢志摩サミットが開催された三重の地で新たな交流が生まれ、グローバルな人材の育成につながることを期待しています。県としても大会の成功に向け、主催者であるNPO法人地学オリンピック日本委員会と連携して取り組んでいきます。
 
(地方創生の本格展開)
 人口減少に歯止めをかけ、地方創生を実現するためには、この4年間が正念場であり、三重県まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき取組を本格展開していきます。
 自然減対策については、平成27年の本県の合計特殊出生率は、速報値ですが、過去20年間で平成22年と並び最も高い1.51となりました。昨年に比べ0.06ポイント改善しており、全国で10位の伸びとなっています。少子化対策は成果が現れるまでに一定の期間を要するものの着実に進展しており、引き続き、結婚・妊娠・子育てなどの希望がかない、すべての子どもが豊かに育つことのできる三重をめざし、取組を推進していきます。
 「三重県子どもの貧困対策計画」に基づき、市町や関係機関と連携しながら、困難を抱える子どもや家庭を早期に発見し、必要な支援を行います。
 児童福祉法が5月に改正され、子どもの権利が初めて明確化されるとともに、里親の普及・啓発から自立支援までの一貫した支援や養子縁組に関する相談・支援が、都道府県の業務として位置付けられました。三重県家庭的養護推進計画に基づき、里親制度の普及啓発や里親支援の充実を図り、里親等への委託を推進していきます。
 去る4月4日には、虐待や親の養育困難などにより実の親と暮らすことができない子どもたちを支援するための、全国で初めての官民連携の組織「子どもの家庭養育推進官民協議会」が設立され、私が会長に就任いたしました。今後、関係自治体や民間団体と連携し、里親委託、養子縁組の取組を強力に推し進めていきます。
 社会減対策については、南部地域の活性化に重点的に取り組むなど、人口の流入促進及び流出抑制を図ってきたところですが、県外への転出者が県内への転入者を大きく上回る状況が続いています。特に、15歳から29歳の転出超過が大きく、若者の県内定着の促進や働く場の充実のための取組を強化していきます。
 県内高等教育機関と県で組織する「高等教育コンソーシアムみえ」を活用し、教育プログラムの開発に向けた取組や県内就職支援などを行うとともに、県内の条件不利地域に居住すること等を条件に、大学生等の奨学金の返還額の一部を助成する制度を創設します。
 また、大学との就職支援協定に基づくU・Iターン就職を促進するほか、県内の安定的で良質な雇用の創出を図るため、「次世代自動車関連技術の高度化と航空宇宙産業分野への進出に対応した雇用創造プロジェクト」に取り組みます。
 これら地方創生を目指す取組については、総合戦略の進行管理をしっかりと行い、着実に進めていきます。
 
(安全・安心の確保)
 医療、介護については、2025年のあるべき医療提供体制を示す地域医療構想を、地域の関係者と丁寧に議論を進めながら策定し、医療機能の分化・連携を推進するとともに、地域における在宅医療体制の整備や人材育成などを支援します。地域包括ケアシステムの構築に向けて、市町が取り組む地域包括支援センターの機能強化に取り組むとともに、介護予防や在宅医療と介護の連携を支援し、あわせて介護基盤の整備を進めます。
 県民に強い不安を与える重要犯罪等が後を絶たず、また、過去に予測できなかった特殊詐欺の被害が深刻になっています。さまざまな主体との協創により、犯罪の未然防止と早期解決に不可欠な街頭防犯カメラの整備拡充を図るとともに、高齢者に重点を置いた特殊詐欺被害防止対策を推進します。
 大規模自然災害への備えとして、河川改修等の治水対策や大型水門等の耐震対策のほか、施設の適切な維持管理を推進するとともに、想定し得る最大規模の降雨を前提とした河川の浸水想定区域図の作成を進めます。また、安全な県土を構築するため、高規格幹線道路及び直轄国道の整備を促進するとともに、道路施設の老朽化対策を推進していきます。
 
(第二次三重県行財政改革取組)
 第二次行財政改革取組については、現在の社会経済情勢を踏まえた改革の必要性から、「協創・現場重視の推進に向けて」、「機動的で柔軟かつ弾力的な行財政運営に向けて」、「残された課題への的確な対応に向けて」を取組の3本柱に据え、ポイントを絞って重点的に進めていきます。
 とりわけ、本県の財政状況は、一般財源収入として活用してきた臨時収入の皆減、公債費や社会保障関係経費等の義務的経費の大幅な増加などにより、歳入歳出の両面でこれまで以上に極めて厳しく深刻な状況にあります。
 既に、4月から経費節減に向けた取組に着手するとともに、機動的な財政運営の確保に向けて、より具体的、効果的な方策を検討するため、庁内横断的な検討組織を立ち上げ、議論を進めています。
 今後、庁内での検討結果なども踏まえ、持続可能な行財政運営の維持に向けた具体的な対応策など、さらなる取組について検討を行い、第二次行財政改革取組を着実に推進していきます。
 
(議案等の概要)
 引き続き、上程されました補正予算1件、条例案3件、その他議案4件合わせて8件の議案について、その概要を説明いたします。
 
 議案第105号の一般会計補正予算は、国費を活用して産業人材の確保・育成や1次産業における競争力の強化等に取り組む事業に要する経費について補正を行うものです。
 歳入としては、国庫支出金で7億4,263万6千円、財政調整基金繰入金で4,969万9千円、それぞれ増額しています。
 歳出としては、国の補助金を活用して、関係機関と連携した事業主向けの雇用拡大の取組、求職者向けの人材育成の取組等を支援し、地域の産業政策と一体となった雇用創造を推進するため3億6,754万3千円、野菜、果樹、茶等の産地が策定する計画に基づき、各産地が整備する施設等の導入を支援し、県内産地の競争力強化を図るため3億1,278万3千円、地域材の競争力強化に向けて、本県を含む5県が関係者と共同で策定する体質強化計画に基づき事業者が行う間伐及び路網整備を支援するため3,500万円をそれぞれ計上しています。また、伊勢志摩サミット開催の好機を生かし、富裕層及び欧米をターゲットとしたプロモーション活動等を実施するため4,666万7千円、国際会議等MICEの誘致に取り組むため900万円、それぞれ計上しています。
 
 以上で補正予算の説明を終わり、引き続き条例案等の諸議案について説明いたします。
 議案第106号は、関係法令の一部改正に鑑み、三重県議会議員及び三重県知事の選挙における選挙運動用自動車の使用等の公営に関する規定を整備するものです。
 議案第107号は、関係法令の一部改正に鑑み、幼保連携型認定こども園以外の認定こども園の規定を整備するものです。
 議案第108号は、関係法令の一部改正に伴い、規定を整理するものです。
 議案第109号及び第110号は、工事請負契約等を締結又は変更しようとするものです。
 議案第111号は、損害賠償の額の決定をしようとするものです。
 議案第112号は、地方独立行政法人三重県立総合医療センターの第二期中期目標を定めようとするものです。
 以上で諸議案の説明を終わり、次に報告事項について説明いたします。
 報告第15号から第34号までは、議会の委任による専決処分をしましたので、報告するものです。
 報告第35号は、議会の議決すべき事件以外の契約等について、条例に基づき、報告するものです。
 報告第36号から第40号までは、平成27年度一般会計、特別会計及び企業会計のうち、翌年度へ繰り越した経費について、それぞれ繰越計算書を調製しましたので、報告するものです。
 
 以上をもちまして提案の説明を終わります。
 なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
 

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 財政課 〒514-8570 
津市広明町13番地(本庁3階)
電話番号:059-224-2216 
ファクス番号:059-224-2125 
メールアドレス:zaisei@pref.mie.lg.jp

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