現在位置:
  1. トップページ >
  2. 県政・お知らせ情報 >
  3. 予算執行・財政 >
  4. 県議会に関すること >
  5. 知事提案説明 >
  6.  令和3年三重県議会定例会 知事提案説明(追加提案・その24)
担当所属:
  1.  県庁の組織一覧  >
  2.  総務部  >
  3. 総務課  >
  4.  企画調整班 
  • facebook
  • facebook share
  • twitter
  • google plus
  • line
令和03年11月24日

令和3年三重県議会定例会 知事提案説明(追加提案・その24)

 令和3年定例会11月定例月会議の議案等の説明に先立ちまして、当面の県政運営にあたっての私の考え方を申し述べます。

(国際情勢)
 去る11月16日、米中首脳によるオンライン会談が実施されました。両国の考え方については未だ乖離があり、今後とも国際情勢については、安全保障分野を含め、予断を許さない状況が続くものと考えられます。
 他方、今月初旬、日本や中国、韓国及び東南アジア諸国連合の加盟国等15か国が合意する「地域的な包括的経済連携」協定、RCEP協定について、来年1月1日の発効が決定されました。これにより、我が国の貿易総額の約5割を占める巨大な貿易圏が生まれ、輸出や消費、投資の拡大が見込まれるなど、今後、地域経済の成長にも寄与することが期待されています。
 また、今月、英国で開催されたCOP26においては、世界の平均気温の上昇を産業革命前から1.5度に抑える努力を追求し、石炭火力発電の段階的な削減に向けた努力を加速することが採択されました。我が国においても脱炭素社会の実現に向けた対応が加速していくことが想定されます。
 
(第2次岸田内閣の発足)
 日本では第49回衆議院議員総選挙の結果を受けて、第2次岸田内閣が発足しました。
 岸田新内閣においては、引き続き、新型コロナウイルス感染症への対応を最優先の課題としており、ワクチン接種、検査、治療薬による予防、治療の流れを抜本的に強化するとともに、早期治療の切り札となる内服薬について年内の実用化をめざすとしています。
 欧州や韓国では感染が再拡大しており、また、国内においても北海道内で感染の広がりがみられるなど、油断できないものの、今後、3回目のワクチン接種の推進と相まって、新型コロナの収束が期待されます。
 また、新しい資本主義の実現に向けて、交通・物流インフラなど地方を支える基盤づくり、農業、観光、中小企業など地方を支える産業の支援などに投資していくとしています。本県としてもこの時機を逸することなく、地域の経済活動を支える基盤整備の一層の推進を図るとともに、県内経済回復の加速化に向け、疲弊した観光関連事業者への支援や県産品の販売促進などに取り組んでいきます。
 成長の果実を分配するため、民間部門では賃上げを後押しする取組を進めるほか、公的部門では看護や介護、保育などの現場で働く方々の給与の引き上げを行うとしています。県内においても、経済対策としての効果に加えて、保育士や介護人材の確保にもつながることが期待されます。
 さらに、国では経済安全保障の観点からの取組を強力に推進していくこととしています。先端産業において重要性を増すレアアースを含む重要鉱物などを特定産出国からの輸入に依存しており、供給リスクが存在しているため、安定供給の確保、サプライチェーンの強靱化を図るとしています。国際戦略物資として重要性が高まっている半導体については、製造基盤の確保や研究開発など国を挙げた支援が進められようとしています。本県には自動車・半導体の製造拠点、関連企業が数多く立地していることから、今後の動きを注視していきます。
 
(国への要望)
 11月15日と16日の二日間にわたり、令和4年度の予算の確保に向けて関係府省庁に対して要望を行いました。 
 新型コロナへの対応については、山際経済再生担当大臣に対して、地域の実情に応じた対策に取り組めるよう、県内事業者等への要請内容を県が決定できる仕組みの導入を、また、一層のワクチン接種推進に向け、堀内ワクチン接種推進担当大臣に、追加接種等を確実に実施できるよう途切れのないワクチンの供給を要望しました。
 野田地方創生担当大臣には、地方創生臨時交付金のさらなる増額や制度の弾力的な運用を要望し、「要望内容をしっかりと受け止めた。」とのお言葉をいただいたところです。
 また、二之湯国土強靱化担当大臣に対して、国土強靱化を推進するための予算の計画的・持続的な確保を、斉藤国土交通大臣に対して、リニア中央新幹線及び近畿自動車道紀勢線の早期の全線開通等を要望し、両大臣からは、それぞれ「しっかり取り組んでいく。」とのお言葉をいただきました。斉藤大臣には、あわせて、激減した観光需要の喚起のため、GoToトラベル事業の継続等についても要望を行いました。
 さらに、金子農林水産大臣に対しては、新型コロナの影響を受けた農林水産事業者への金融支援の継続や農林水産物の販売促進のための支援などを要望し、「地域の状況がよく分かった。しっかりと取り組んでいきたい。」とのお言葉をいただきました。
 加えて、金子総務大臣に対して、地方の自立的な行財政運営に向けて、地方一般財源総額の確保・充実等について要望しました。
 
(新型コロナウイルス感染症への対応)
 新型コロナへの対応については、県民の皆様をはじめ、事業者や医療従事者の方々のご協力のもと、感染者数は大幅に減少しています。
 こうした中、今後予想される感染拡大の第6波の襲来から県民の皆様の命と健康を守るため、10月からみえコロナガード・MCGをスタートしています。MCGは、「感染拡大防止アラート」等の設定、検査体制の整備、ワクチン接種体制の整備、医療提供体制の整備の4つの柱で新型コロナの感染拡大に対応するものです。
 このうちワクチン接種体制の整備については、12歳以上の県民の2回目の接種率が11月18日時点で84.0%と、全国の82.9%を上回るペースで進んでおり、11月末にはワクチン接種を希望する県民への接種が、概ね終了する見込みとなっています。
 国では、国内外の感染動向やワクチンの効果の持続期間等、現時点で得られている科学的知見から、2回目の接種完了後も追加接種が必要とし、3回目のワクチン接種に向けて、準備が進められているところです。これを受け12月から接種できるよう、各市町や関係機関等と緊密に連携し、必要となるワクチンを配分するとともに、市町における接種体制の構築を支援していきます。
 また、医療提供体制の整備については、私自身も医療機関に赴き、直接協力要請を行い、臨時応急処置施設に関しては、現在、津市内で1施設確保しており、さらに北勢地域で1施設の追加確保に向け調整を進めているところです。宿泊療養施設については、現在3施設375室を確保しているところですが、可能な限り自宅療養者を減らし、家庭内感染のリスクを低減させるため、600室以上を確保できるよう施設の追加確保を進めます。         
 次の波に備え、今後も感染拡大を食い止めるためのあらゆる手立てを検討するため、仮称ですが、「三重県新型コロナウイルス感染症大綱」の策定に向けて検討を進めています。大綱は第5波までの検証をもとに、国の取組もふまえた上で、今後の対策を盛り込む予定です。
 また、新型コロナ対応のため、4月1日付けでも体制の整備を行っていますが、今後の感染拡大に備えるため、11月1日付けで医療保健部の本庁職員や保健所職員を増員し、体制を強化するとともに、緊急時の保健所の応援職員の選定も進めています。
 今後も引き続き、警戒を緩めることなく、必要な対策を進めていきます。
 
(観光の振興)
 新型コロナの影響が長期化し、大きな打撃を受けている観光産業の再生に向けて、観光地での消費を促進するための取組を進めていきます。現在、新型コロナの感染状況が落ち着いてきたことから、県民向けの宿泊割引や地域応援クーポンなどの三重県版GoToトラベル事業を実施しています。さらに、県内の鉄道やバス、タクシー、レンタカー等の交通事業者、土産物店、飲食店、観光施設等の利用促進を目的として、旅行商品の造成・販売事業も実施しており、「あんしん みえリア」の認証取得済みの宿泊施設等を立ち寄り先とすることで、安全・安心なみえの旅行需要を喚起していきます。
 また、NEXCO中日本と連携し、定額で県内の高速道路を自由に乗り降りできる周遊パスと県内の主要観光施設等で利用可能な買い物券を組み合わせた「みえ周遊ドライブプラン」の販売を開始しています。
 これからの観光は、拠点滞在型観光、自然観光にシフトしていくことを想定しており、観光資源を磨き上げ、新たな観光需要に対応するための取組をより一層進めていきます。
 従来の日帰り観光や海外からの個人旅行だけでなく、国内外の富裕層をターゲットとした観光需要の喚起にも力を入れていく必要があると考えています。
 今後、本県への誘客に向けた取組を強力に推進していくことで、県内の消費喚起と観光産業のさらなる発展につなげていきます。
 
(防災・減災、国土強靱化) 
 防災・減災、国土強靱化については、近い将来の発生が想定される南海トラフ地震や、気候変動に伴い頻発化・激甚化している風水害に的確に対応できるよう、ソフト・ハード一体となった対策が必要です。
 ソフト対策としては、11月14日、「紀伊半島大水害10年防災訓練」を熊野市、御浜町、紀宝町内において実施し、48団体や地域の皆様など2,000人を超える参加をいただきました。今年は紀伊半島大水害から10年の節目の年であることから、和歌山県や奈良県の参画も得て、県の総合防災訓練として初めて風水害を想定し、航空機やヘリによる被害状況調査訓練、ドローンや船舶を活用した物資輸送訓練、関係機関と連携した救出救助訓練、地域住民による避難所運営訓練等を26か所の会場で実施するとともに、各訓練の状況をオンラインでリアルタイムに共有する訓練を新たに実施しました。
 今後も市町、国、関係機関等と連携したより実践的な大規模防災訓練の実施等により、県の災害対応力と県民の皆様一人ひとりの防災意識を高めていきます。
 また、災害への即応力をさらに高めるため、情報収集能力、分析・対策能力の向上を図るとともに、災害対策活動体制の充実・強化に向けた取組を進めていきます。
 ハード対策としては、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づき、緊急輸送道路における法面・盛土対策や橋梁の耐震補強、河川の堤防整備、河口部の大型水門等の耐震化、道路等の老朽化対策等について、計画的に進めていきます。
 
(子どもを中心に据えた施策展開)
 子どもは国の宝、社会の宝であり、未来を支える人材を育てることは、我々大人に課された課題です。子どもにとっての最善の利益を尊重しながら、社会全体で子どもや子育て家庭を応援し、支えていく必要があります。
 そのための最も基本的な取組として、家庭の環境にかかわらず、等しく愛情を受けて、心身ともに健やかに成長し、夢と希望をもって未来を切り開いていける環境づくりが大切です。
 県では、子どもを虐待から守るため、11月を「子ども虐待防止啓発月間」と定めて啓発を行い、県民の皆様に虐待防止への関心と理解を深めていただく機会としています。
 「子どもを虐待から守る条例」に基づき公表した年次報告書において、令和2年度の虐待相談対応件数は2,315件となり、6年連続で過去最多を更新しました。
 こうした状況において、今月9日には、児童相談所と警察との連携を強化し、児童虐待事案に迅速かつ適切な対応を図るための合同訓練を実施しました。私も訓練の状況を視察してきましたが、母親を必死に説得して子どもの安全を確認し、子どもを引き離されて興奮する父親をなだめる警察官と児童相談所職員の様子など、非常に臨場感のある実践的な訓練となりました。
 また、虐待などの事情で保護者と暮らせない子どもたちが、里親のもとや施設においても、愛情を注がれ健やかに育つ環境づくりが大切です。全国有志の自治体と民間団体で構成する「子どもの家庭養育推進官民協議会」とも協力しながら、里親制度の普及や児童養護施設での家庭的な養育環境の整備に取り組んでいきます。
 
(いじめの防止)
 毎年4月と11月は「いじめ防止強化月間」です。
 今月、子どもたちの主体的な活動として、県内の多くの学校では、いじめ防止のポスターの掲示や標語の選出、朝のあいさつ運動での呼びかけ、ピンク色の小物やシャツを着用しての啓発など、「いじめ反対」の意思を見える形で示す等の活動に取り組んでいます。
 また、いじめ防止応援サポーターとして登録いただいている県内のスポーツクラブと連携し、県内4か所の駅において、県立高校の生徒とともに、いじめ反対の街頭啓発も行っているところです。
 子どもたちをいじめから守り抜くため、社会総がかりでいじめの問題の克服に全力で取り組んでいきます。
 
(農林水産業の振興)
 県産農林水産物については、新型コロナの収束後を見据え、県内での飲食や宿泊の機会を通じて、県内外の皆様に豊かな「三重の食」を提供するとともに、飲食事業を手掛ける交通関連事業者などを含め、さまざまなチャンネルを活用しながら、国内外における販路拡大に向けて、農林水産事業者や市町、関係団体と連携して取り組んでいきます。
 また、本県では、古くから品質の高いお茶が生産されており、全国3位の生産量を誇っていますが、消費者ニーズの多様化やコロナ禍での販売の停滞など、お茶をめぐる環境は厳しくなっています。こうしたことから、現在策定中の「伊勢茶振興計画」については、生産者の所得向上と伊勢茶の消費拡大の取組を両輪とし、特に消費拡大については、茶業関係者や飲食店等と連携した消費者の認知度向上に向けたPRに取り組むことなどを盛り込んでいます。生産者や消費者、学識経験者等のご意見をふまえて、最終案としてとりまとめ、この定例月会議でお示しします。
 このような取組を通じて、魅力あふれる県産農林水産物の消費拡大につなげていきます。
 
(脱炭素社会の実現)
 脱炭素社会の実現のための積極的な対応が世界的な潮流となっている中で、国のグリーン成長戦略もふまえ、本県においても脱炭素社会を見据えた取組を進めていく必要があります。
 例えば、自動車部品の内燃機関から電動化への転換、環境配慮の観点も含めた再生可能エネルギーの導入促進、四日市コンビナートの脱炭素化などについて検討していきたいと考えています。こうした観点から、「ゼロエミッションみえ」プロジェクトの具体化に向けた検討を行い、CO2の削減を図るとともに生産性向上による事業継続力や競争力を高めるための取組を進めていきます。
 
(スポーツの推進)
 スポーツの推進、とりわけ競技力の向上に向けて、これまで県では選手の発掘・育成・強化や指導者の養成、競技団体を通じた合宿や遠征等の強化活動への支援、就職支援等によるアスリートの県内定着、新たなチームの結成などのさまざまな取組を進めることで、本県の選手やチームの競技力は確実に向上しました。競技力をさらに向上させていけるよう、各競技団体の皆様と丁寧に意見交換を行い、積み上げてきたこれらのノウハウを生かしていくことで、引き続き本県競技力の向上に取り組んでいきます。
 三重とこわか国体の代替となるスポーツ大会については、これまでに陸上競技、ソフトテニス、セーリング、競泳、剣道の5つの競技が開催され、国体に出場する予定であった本県選手が、これまでに培ってきた競技力を発揮して活躍されています。
 特に、競泳競技の男子メドレーリレーにおいては、東京オリンピック代表難波(なんば)(あきら)選手をはじめとする三重とこわか国体の本県代表選手が、5年ぶりに日本新記録を樹立しました。 
 今後も選手の皆さんが活躍していただけるよう、10以上の競技で開催が計画・検討されており、このような代替大会の開催を支援していきます。
 
(不登校支援)
 県内国公私立学校での不登校の状況について、先月発表した令和2年度の調査結果では、本県の不登校児童生徒数は、小中学校で2,520人、高等学校で873人、計3,393人と、これまでで最多となっています。
 不登校支援については、児童生徒や保護者からの相談に対応し、個々の状況に応じた支援を進めることができるよう、今年度、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを増員するなど、学校での相談体制の充実とともに、市町の教育支援センターの機能強化、令和2年度から開始した訪問型支援の拡充等に取り組んでいます。
 不登校の子どもの保護者を対象とした相談会を10月から12月にかけて県内6か所で開催しているほか、不登校支援の経験が少ない教員も適切な支援が行えるよう、対応事例を共有するデータベースの構築にも取り組んでおり、令和4年1月から運用を開始します。
 今後も、子どもたちが自己肯定感を高め、将来の社会的自立につながるよう、一人ひとりに寄り添った支援を進めていきます。
 
(ひきこもりへの支援)
 ひきこもりは、特別なものではなく、誰にでも起こりうるものであり、あらゆる世代に関わる大きな社会問題となっています。
 県内でひきこもり状態にある方は、国の調査結果をもとに単純推計すると1万6千人に上ります。また、民生委員等へのアンケート調査で把握した匿名の1,270事例の内容を見ると、40歳以上の中高年層が多く、5年以上継続する方が4割に上るなど、ひきこもりの高年齢化や長期化が進んでいる傾向が明らかになりました。
 誰ひとり取り残さない総合的な支援の推進に向けて、現在策定中の「三重県ひきこもり支援推進計画」の中間案では、骨子案に掲げた将来のめざす社会像などを念頭に、これらの調査結果や、ひきこもり経験者等からいただいたご意見をふまえ、今後の取組方向をとりまとめ、この定例月会議でお示しします。
 
(犯罪被害者への支援)
 11月25日から12月1日までは、「三重県犯罪被害者等支援条例」に基づく「犯罪被害を考える週間」となっています。私たちの身の回りでは、毎日のように事件や事故が発生しており、いつ誰が犯罪被害に遭うかわかりません。犯罪被害者等の方々が置かれている状況や支援の必要性、二次被害の防止について、11月27日に伊勢市の県営サンアリーナで「犯罪被害を考える集い」を開催するなど集中的に広報啓発を実施し、犯罪被害者等を支える社会の形成に向けて、県民の皆様の理解を促進していきます。
 また、犯罪被害者等が県内どの機関へ相談しても、被害者の方々に寄り添った適切な支援が受けられるよう、引き続き相談支援体制のさらなる充実に取り組んでいきます。
 
(デジタル社会形成に向けた取組)
 新型コロナへの対応では、各種給付金等の事務処理に時間を要するなど、行政分野におけるデジタル化の遅れが浮き彫りになりました。
 11月16日に開催された国の第1回デジタル臨時行政調査会では、共通の指針となるデジタル原則を年末までにまとめ、来年春には対面・書面手続きを義務付ける規制等の見直しについての方向性を打ち出すことが示されました。
 今後は、国の動きを注視しつつ、県民の皆様の利便性の向上に向け、行政手続きのオンライン化を推進するなど、デジタル社会形成に向けた取組をスピード感をもって進めていきます。
 
(強じんな美し国ビジョンみえ)
 今後の県政運営の基本となる計画については、仮称ですが、長期構想「強じんな美し国ビジョンみえ」と、中期の計画「みえ元気プラン」を策定することとしています。
 「ビジョン」では、基本理念としておおむね10年先を見据えた三重のめざすべき姿やその実現に向けた基本的な考え方をお示ししたいと考えています。
 人々の暮らしや産業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する時代にあって、長期的な見通しを立てることは容易ではありませんが、新型コロナなどの感染症の拡大や大規模自然災害の頻発化、経済安全保障上の課題など、三重県にも影響が及ぶと想定されるリスクについては、今後も大きく懸念されるところです。また、地域に目を向けると、人口減少に歯止めがかからず、過疎化・高齢化の進展が加速する中で、産業振興をはじめとする地域課題への対応は待ったなしの状況となっています。
 他方、新型コロナの影響による地方への関心の高まりや2025年の大阪・関西万博の開催、2027年のリニア中央新幹線の品川・名古屋間の開業、2033年の神宮式年遷宮などは、三重が大きく飛躍するチャンスになり得るものです。
 こうした長期の展望をもとに、懸念されるリスクに対しては、できる限り的確な対応ができるよう備えを進めるとともに、チャンスに対しては、機を逃さず三重の発展につなげるよう取り組むことで、「強じんな美し国みえ」の実現をめざしていきたいと考えています。
 
(みえ元気プラン)
 「プラン」については、県政150周年の節目となる2026年までを計画期間とした5か年の計画として、具体的な取組の内容をお示しするものです。
 私は、この「プラン」を推進することで、三重をもっと元気に、県民の皆様が明るく笑顔で暮らせる地域にしていきたいと考えており、そのためには、直面する課題の解決に向け、全力で取り組む必要があります。
 大規模自然災害への備えに万全を期するための災害対応力強化や、感染症への対応も含め、県民の皆様が安心を実感できる医療の提供などに力を入れていきます。
 また、県民の皆様の暮らしを経済面で支える産業の振興は大変重要です。
 観光産業については、三重の観光資源の魅力が最大限に発揮され、新たな旅のスタイルにも対応できるよう、戦略的な観光マーケティングによる国内外からの誘客促進に取り組むことで、観光産業の持続的な成長につなげていきます。
 ものづくり産業については、脱炭素化、デジタル化などの環境変化を生産性向上や新たな産業創出の絶好の機会ととらえ、一層の振興を図っていきます。
 温暖な気候や豊かな自然など三重の特性を生かす農林水産業については、地域の主要な産業の一つとして、さらなる活性化に取り組みます。
 こうした地域の経済活動や集客・交流の基盤となる道路などのインフラ整備を着実に進めていきます。
 さらに、地域社会の将来を担う子どもたちが夢や希望を持つことができる環境整備を進めるとともに、生きづらさを抱える方々が社会から孤立することなく、安心して生活できるような共生社会づくりの実現を図っていきます。
 加えて、人口減少対策については、政策分野を越え、あらゆる施策を総動員しながら取組を継続していくことで成果につなげていく必要があります。人口減少の著しい南部地域では、歴史・文化、自然などの地域固有の資源にさらに磨きを掛け、これを効果的に県内外に発信することで、観光振興による交流人口の増加を図るとともに、豊かな水産資源を生かした産業の振興に注力していきたいと考えています。
 
 こうした考えのもと、今後、県議会の皆様をはじめ、県民の皆様、市町や事業者の方々などの意見を広くお聞きしながら、検討を進めていきます。
 
(的確な事務処理の徹底)
 先日は、総務部長から令和2年度決算における財政調整基金の積立漏れを報告したところですが、コンプライアンスを推進する中で県民の皆様に対して、大変申し訳なく思っています。
 今後とも、県行政への信頼を損なうことのないよう、全庁において、的確に事務処理を進め、コンプライアンスを徹底していきます。
 
(議案等の概要)
 引き続き、上程されました補正予算16件、条例案11件、その他議案9件合わせて36件の議案について、その概要を説明いたします。
 議案第127号から第142号までの補正予算は、さらなる医療提供体制の整備等の新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、年度内に対応が必要な取組のほか、県税や地方消費税清算金などの歳入の増減、年度内の執行見込みをふまえた事業費の減額について、それぞれ補正を行うものです。
 各会計の補正額は、一般会計で344億6,591万5千円を増額、特別会計で131億9,716万1千円を増額、企業会計で9億2,915万4千円を減額するものです。
 まず、一般会計についてその概要を説明いたします。
 歳入の主なものとして、県税については、地方消費税、法人事業税、法人県民税などが増収となる見込みから、164億4,200万円を増額しています。
 地方消費税清算金については130億1,300万円、地方交付税については18億1,902万9千円をそれぞれ増額しています。
 繰入金については、財政調整基金等で77億3,477万8千円を減額しています。
 繰越金については、令和2年度決算に伴い89億939万2千円を計上しています。
 県債については、臨時財政対策債で19億6,900万円を増額する一方、退職手当債で17億4,900万円、減収補てん債で13億6,000万円をそれぞれ減額するなど、合わせて20億1,000万円を減額しています。
 歳出のうち主なものとして、まず新型コロナウイルス感染症対策にかかる取組の概要を説明いたします。
 県民の命を守るため、国の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金等を活用し、臨時応急処置施設の設置や宿泊療養施設の追加など、さらなる医療提供体制の整備を行う経費として、16億4,892万5千円を増額しています。
 バスや鉄道など地域公共交通の維持・確保のため、安全・安心の再構築に向けた対策を図りながら行う運行費用や、決済システムのデジタル化など業務の効率化に係る費用として、3億7,950万円を増額しています。 
 令和2年度に実行した新型コロナウイルス感染症対応融資にかかる中小企業の保証料負担を軽減する補助金について、令和3年度以降分の補助を行うなど、7億2,517万5千円を増額するものです。
 次に、年度内に対応が必要な取組について、主なものを説明いたします。
 地域共生社会の実現に向けて、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するため、新たに創設された「重層的支援体制整備事業」に取り組む市町に対する交付金として、1億6,290万円を計上しています。
 介護施設等で人材の確保が困難となっている状況をふまえ、介護施設等が行う介護ロボットやICTの導入を支援するため、2億1,814万4千円を増額しています。
 特定不妊治療、一般不妊治療等を受けた夫婦に対して費用の一部を助成することにより、不妊や不育症に悩む夫婦に経済的な支援を行うため、1億2,969万9千円を増額しています。
 東海環状自動車道の整備など直轄事業における国の内示額の増加等に対応するため、公共事業費について15億1,529万1千円を増額しています。
 本県における地方消費税の増収に伴い、他の都道府県に支払う地方消費税清算金について134億4,480万9千円を増額するとともに、清算後に県内市町に支払う地方消費税交付金について65億1,659万5千円を増額しています。
 職員の新陳代謝に伴い給与費全般を減額する一方、時間外勤務手当等について実績見込みをふまえて増額するため、合わせて18億4,658万4千円を増額しています。
 県債管理基金の令和3年度分の積立不足を解消するため、県債管理特別会計への繰出金について43億6,666万3千円を増額しています。
 
 次に、特別会計及び企業会計について説明いたします。
 特別会計のうち主なものとして、県債管理特別会計では、県債管理基金の積立金として43億6,666万3千円を増額、国民健康保険事業特別会計では、令和2年度の事業費確定に伴い受入れ超過となった国庫支出金の返還などにより、82億9,958万円を増額しています。
 企業会計では、水道事業会計で4億6,328万8千円、工業用水道事業会計で3億7,463万4千円、電気事業会計で1,073万2千円、流域下水道事業で1億1,498万4千円をそれぞれ減額し、病院事業会計で3,448万4千円を増額しています。
 以上で補正予算の説明を終わり、引き続き条例案等の諸議案について説明いたします。
 
 議案第143号は、現業職員に係る規定の整理に伴い、関係条例の規定を整備するものです。
 議案第144号は、三重とこわか国体・三重とこわか大会の中止に鑑み、基金の処分についての規定を整備するものです。
 議案第145号及び第146号は、関係法令の一部改正等に鑑み、手数料についての規定を整備するものです。
 議案第147号は、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部改正に伴い、規定を整理するものです。
 議案第148号は、関係法令の一部改正に鑑み、市街化調整区域における開発許可の基準に関する規定を整備するものです。
 議案第149号は、三重県営総合競技場補助競技場の利用実態に合わせて、施設の名称を改めるものです。
 議案第150号は、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法の一部改正に鑑み、教育職員に対する一年単位の週休日及び勤務時間の割振りに関する特例の規定を整備するものです。
 議案第151号は、三重県立一志病院において病児・病後児保育事業を行うための施設整備に伴い、療養病床数を改定するものです。
 議案第152号は、ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部改正等に鑑み、つきまとい等の嫌がらせ行為の禁止の規定等を整備するものです。
 議案第153号は、三重県立ゆめドームうえのの財産売払いに伴い、三重県立ゆめドームうえの条例を廃止するものです。
 議案第154号は、宝くじを販売することについて、令和4年度の発売総額など必要な事項を定めるものです。
 議案第155号から第157号までは、工事請負契約の締結又は変更をしようとするものです。
 議案第158号から第160号までは、財産を処分しようとするものです。
 議案第161号は、みえ県民交流センターの管理を行う指定管理者を指定するものです。
 議案第162号は、一般社団法人みえ林業総合支援機構に対し、出資をしようとするものです。
 以上で諸議案の説明を終わり、次に報告事項について説明いたします。
 報告第26号及び第27号は、議会の委任による専決処分をしましたので、報告するものです。
 報告第28号は、議会の議決すべき事件以外の契約等について、条例に基づき、報告するものです。
 
 以上をもちまして提案の説明を終わります。
 なにとぞ、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
 

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 総務課 企画調整班 〒514-8570 
津市広明町13番地(本庁3階)
電話番号:059-224-2056 
ファクス番号:059-224-3170 
メールアドレス:soumu@pref.mie.lg.jp

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

ページID:000256921