木くず等の農地等への利用に係るガイドライン
平成18年10月18日
三重県環境森林部
農水商工部
1.目的
近年県内において、土壌改良等と称して建築系廃材に由来する木くず等を大量に農地へ投入する事例等が発生し、周辺住民の間で優良農地の確保、安全・安心な生活環境の保全等について不安が高まっている。
このため、木くず等を農地等に利用する場合の基準又は指標を明確にするとともに、木くず等の適正な品質基準を定めることにより、木くず等の不適正利用の未然防止を図る。
2.定義
本ガイドラインにおける用語の定義は次のとおりとする。
(1)木くず:
木材片、おがくず、バーク(樹皮)、剪定枝、伐採樹木の幹・枝・根株等(茶樹の整剪、果樹の剪定、森林における枝打ち及び間伐等に伴って発生する剪定枝等で当該農地または林地から持ち出さないものを除く。)
(2)木くずチップ:
木くずを破砕機等を用いて破砕、切断、または、粉砕したもの
(3)木くず等:
木くず及び木くずチップ(これらを主原料として製造されたたい肥、その他の製造物を含む。)
(4)農地等:
農地法第2条の規定による農地及び森林法第2条の規定による森林の土地
(5)建築系廃材:
建築物の新築・改築・解体工事に伴って発生する木くず
3.木くず等の利用の基準
(1)
木くず等の農地等への利用については、以下の基準によるものとする。
1)
建築系廃材及び建築系廃材に由来する木くずチップは使用しないこと。ただし、やむを得ず使用する場合には、4に示す品質基準を満たさなければならない。
2)
木くず等の農地への利用にあたっては、作物の生育障害等が懸念されることから、次のア、イによるものとする。
ア. 樹園地等(果樹園、茶の幼木園、緑化木の栽培ほ場等)において抑草及び乾燥防止等を目的として数年間地面を被覆する(以下「マルチング」という。)場合は、マルチングした木くず等の地面からの厚さが10cm程度までとする。
なお、マルチング目的の場合は、栽培目的の作物に適切な施肥スペースを確保するため、株元から一定の範囲はマルチング目的での利用を行わないよう留意する。
イ. マルチング以外の目的で農地に利用する場合は、利用の目的、木くず等の性状、土壌の状態等を勘案して、木くず等の地面からの厚さが10cm程度(繰り返し利用する場合には、累積をいう。)までの必要最小限の量とする。
なお、マルチング目的以外の場合は、木くず等を当該農地に投入後速やかに土壌と混和すること。
3)
森林の土地に利用する場合は、マルチング目的に限るものとし、その施工後の厚さは30cm未満とする。
4)
木くず等の一個当たりの長さは概ね10cm以下とする。
(2)
木くず等のたい肥製造等への利用については、以下の基準によるものとする。
1)
たい肥製造における水分調整材や通気材、または畜舎における敷料として利用する木くず等についても、建築系廃材及び建築系廃材に由来する木くずチップは使用しない。
ただし、やむを得ず使用する場合には、4に示す品質基準を満たさなければならない
2)
木くず等をたい肥製造へ利用する場合は、水分や炭素窒素比等、目的に合った品質管理のもとで、たい積、攪拌、腐熟等たい肥製造の工程を十分施さなければならない。
4.建築系廃材又は建築系廃材に由来する木くずチップの品質基準
(1)
防腐処理(CCA処理注1)及びクレオソート処理)木材、合板及び塗装されたものを含まないこと。
なお、CCA処理木材の混入については、木くず等を農地等へ利用する者に供給する者がCCA混入試験注2)を行い、混入が無いことを明らかにするものとする。
(2)
重金属等の有害物質注3)が土壌環境基準を超えて溶出しないこと。
なお、木くず等からの重金属等の有害物質の溶出については、木くず等を農地等へ利用する者に供給する者が、土壌の溶出試験方法注4)に準じて溶出試験を行い、土壌環境基準に適合していることを明らかとするものとする。
注1) CCA処理:クロム・銅・ヒ素化合物系木材防腐処理
注2) CCA混入試験:クロムアズロールS(モーダントブルー29)やジフェニルカルバジドによる試験方法(日本農林規格(JAS)参照)の他、近赤外線やX線による判別方法による。
注3) 重金属等の有害物質:カドミウム及びその化合物、六価クロム化合物、水銀及びその化合物、セレン及びその化合物、鉛及びその化合物、砒素及びその化合物とする。
注4) 土壌の溶出試験方法:「土壌の汚染に係る環境基準について」(平成3年環境庁告示第46号)に定める方法
(3)
廃プラスチック類、金属くず及びがれき類等の不純物が含まれないこと。
5.その他留意事項
農地等へ利用する木くず等を供給する者は、その品質管理を適切に行うとともに、木くず等の保管にあたっては、下記の事項に十分留意するものとする。
(1)
積替保管場所における木くず等の保管量は、当該保管の場所における一日当たりの平均的な搬出量に7を乗じて得られる数量を超えないようにする。
(2)
破砕施設における処理前の木くずの保管量は、当該破砕施設の一日当たりの処理能力に相当する数量に28を乗じて得られる数量を超えないようにする。
(3)
破砕施設における処理後の木くずチップを屋外において容器を用いずに保管する場合には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則第8条第2号ロに定める基準を準用する。
(4)
積替保管場所及び破砕施設における木くず等の保管日数は、その量にかかわらず、180日を超えないようにする。
ただし、森林内の工事等に伴い生じるものであって、林地還元が予定されている根株等及びチップ化したものを工事現場内において保管する場合については適用しない。(平成11年11月10日衛産第81号厚生省生活衛生局水道環境部産業廃棄物対策室長通知「工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた根株、伐採木及び末木枝条の取扱について」において定める工事現場及び林地還元に限る。)
なお、農地を保管場所とするときは、農地法第4条又は同法第5条の規定による農地転用許可を得ること。