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第13回

 決算整理の話も今回で4回目です。そろそろ決算整理に飽きてきた人がいるんじゃないかと、ちょっと心配になってきました。今回で決算整理は終わりますので、おつきあいください。

4.家事関連経費の整理

 農業法人の場合は関係ありませんが、個人経営の農業の場合は、経営と家計の境目がはっきりしていないのが一般的です。これは農業の経営が「どんぶり勘定」という意味じゃないので誤解しないでください。例えば、この講座をご覧のようにインターネットで情報を収集したり、記帳をしたり、経営計画を立てたり、といった「業務」は自宅内で行うのが一般的でしょう。そうすると、家計用の電気代のいくらかは、農業経営の経費と考えることが出来ます。また、乗用車やその燃料代も使用目的によっては当然経費になります。
 しかし、実際の記帳をする際に、その都度今月のガソリン代のうち○○円が家計用で△△円が農業用だと分けて記帳するのは大変ですよね。(きっちり分けられる場合は分けて記帳します)そこで、家計用と経営用の経費を決算にあたって、きっちりと整理しようというのが、「家事関連経費の整理」です。
 一般的に、家計と経営の経費が混ざっていそうなのは、水道代、電気代、ガソリン・灯油等の燃料・暖房代といったところでしょうか。これらの経費を決算時に改めて見直し、家計の部分と経営の部分に分けるわけですが、実際に金額を決めるのは「按分(アンブン)」という方法で行います。


 Aさんは普段の記帳で、ガソリン代をすべて「動力光熱費」で処理してきました。つまり、プライベートで使用した乗用車のガソリン代も農業経営の経費として計上してきたわけです。年間のガソリン代は、合計で10万円だったとしましょう。
 ここで、普段の乗用車の使用状況を振り返ってみて、家計つまりプライベートで使うのと、農業経営のために使った割合を決定します。「だいたい、半々位かな?」という人はガソリン代の半分(50%)が家計用であったとみなして、

借方 貸方
家計勘定 50,000 動力光熱費 50,000

という仕訳(決算整理仕訳)を行います。この仕訳をよく見てください。動力光熱費が右側にきていますよね。普通、左に来る経費の勘定科目が、反対の右側にありますので、この仕訳によって、動力光熱費が5万円分減少することになります。
(元帳への転記を思い出してください。)
 ガソリン代を動力光熱費として計上し、年間で10万円になっていたが、10万円のうち半分の5万円は家計のために使ったのだから、「経費を余分に計上していた。」ということで経費の額を減らすわけです。

 このように、使用割合に応じて、年間の合計額を分けることを「按分する」といいます。この例では、経費を減らしましたが、逆のパターンも当然あります。普段の記帳で乗用車のガソリン代を家計勘定として、経費にしていなかった人は、農業経営用に使った分を経費として計上します。  なお、按分する際の割合は、それぞれの使用状況によって自分が決定すればよく、基準があるというものではありません。

5.生産物の家計仕向高の計上

 「自ら生産した最高の鮮度のものを食べられる」農業をやっている特権の一つですよね。複式簿記では、販売せずに家計で消費した生産物も収益として計上します。経営と家計をきっちりと分けて、経営成績を数値で把握するのが簿記の目的ですから、家計で消費しなければ売上げに回っていた分を収益として計上するわけです。

実際の仕訳は、次のように行います。

借方 貸方
家計勘定 ○○円 家計仕向高 ○○円

 金額をいくらにするかは、先ほどの按分と同じく、実際に家計でどれくらい消費したかの実態によります。
 たとえば、飯米なら我が家は、平均して月に1俵食べるから1年間で12俵を家計で消費する。1俵16000円で売っているから、家事仕向高は
    16000円×12ヶ月=192,000円
というように計算します。

6.未収金、未払金(売掛金、買掛金)の整理

 年末に販売した、あるいは、購入したけれども、お金をもらっていない、払っていないという場合に行うものです。年末に農産物を出荷しても、売上げが精算されて入金されるのは、年をまたいだ翌年ということは一般的です。
 しかし、簿記では会計期間で経営成績を計算するために、実際にお金が入ってくるのが年明けでも、出荷したのが年内なら、その年の売上げとして計算します。経費の場合も同様に、支払いは年明けであっても、実際に購入したのが年内ならその年の経費として計算します。そのために、この「未収金、未払金(売掛金、買掛金)の整理」が必要になるわけです。


 12月28日にイチゴを出荷して、その売上代金が1月10日に普通預金に振り込まれた。

日付 借方 貸方
12月28日 売掛金(未収金) ○○円 イチゴ売上高 ○○円
1月10日 普通預金 ○○円 売掛金(未収金) ○○円

このように仕訳することで、12月28日に売上げが発生し、1月10日の入金は売上げが発生したのではなく、売掛金という資産が普通預金に振り込まれた(変化した)。というように記録されたことになります。

 以上で決算整理はおしまいです。お疲れさまでした。
 今回の説明では、取り上げませんでしたが、記帳もれがないか、現金や預金、負債等の残高が実際のものと合っているか、といったことも確認しておきます。これらは、決算の時だけでなく日頃からチェックしておく項目ですが、最終チェックをしてそのようなミスがあれば、原因を調べて修正をします。
 次回は、これまでの決算整理で行ったいろいろな仕訳をどう処理するかの説明です。次回の作業をすることによって、複式簿記の目的の一つ、貸借対照表と損益計算書がいよいよ(やっと?)出来上がります。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 中央農業改良普及センター 普及企画室(担い手課) 〒515-2316 
松阪市嬉野川北町530
電話番号:0598-42-6715 
ファクス番号:0598-42-7762 
メールアドレス:fukyuc@pref.mie.lg.jp

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