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平成20年03月13日

保環研年報 第8号(2006)

2006年報表紙



 三重県科学技術振興センター 保健環境研究部年報 第8号(通巻第51号)(2006)を発行しましたのでその概要をご紹介します。

   各研究報告(原著、ノートおよび資料)の全文(PDF形式)をご希望の方は、こちらからダウンロードできます。
 


研究報告

 原著

2006rep1  湯ノ山温泉連続モニタリングによる温泉水の地下挙動と湧出モデルの考察
  森康則,長谷川圭司1),小川正彦,橋爪清
   1)四日市農林商工環境事務所
   キーワード:湯ノ山温泉,地下挙動,温泉法,ラドン,鈴鹿花崗岩
 三重県三重郡菰野町に位置する湯ノ山温泉は,三重県を代表する温泉保養地のひとつである.温泉資源の有限性が叫ばれる中,筆者らは,温泉を保護し,その適正利用を図ることを目的として,平成17年7月から7ヶ月にわたり温泉水の連続モニタリング調査を実施した.測定の結果から,湯ノ山温泉地下では風化した鈴鹿花崗岩のクラックを流路とした被圧性の地下水が帯水し,地下深部では塩化物イオン,フッ化物イオンなどに富む流体が,浅層部では硝酸イオンや硫酸イオンなどに富む流体が,それぞれ混合して湧出していることが示唆された.現時点において泉質の低下は認められないが,浅層起源流体や深層起源流体の供給率の変動が,今後の地下挙動の変化ならびに泉質の低下を予見し,これに応答する先行的対策を講じるための良い指標となる可能性がある.

 ノート

2006rep2  三重県における最近6シーズンの学校等集団かぜとインフルエンザ患者の発生特性
  福田美和,大熊和行,松村義晴
   キーワード:インフルエンザ,感染症発生動向調査,集団かぜ
 三重県における学校等集団かぜと感染症発生動向調査によるインフルエンザ定点患者届出の発生特性について,2000/2001年から2005/2006年の6シーズンに亘り分析したところ,学校等集団かぜによる閉鎖措置施設数および患者数は感染症発生動向調査により把握しているインフルエンザの流行規模を必ずしも反映しておらず,また,インフルエンザの流行の検出感度は感染症発生動向調査の方が優れていた.しかしながら,シーズンを通じた集団かぜの発生時期は,インフルエンザの流行に対し同時期または1週程度先行することが明らかとなった.
2006rep3  ルーチン分析におけるCOD推定あるいはBOD推定への簡易UV計の応用
  加藤進,広瀬和久
   キーワード:COD,BOD,簡易UV計,UVスペクトル
 簡易UV計を利用して,排水の性状を特定した上で,ルーチン分析におけるCODあるいはBOD推定に対する応用を検討した.取り上げた試料は,バイオジーゼル燃料製造機排水,ビル等床装飾タイル洗浄剤および行政代執行現場の浄化水および周辺の地下水である.その結果,BDF製造排水に関しては
COD(mg/L)=1041×(UV254吸光度)-117
によってCODの推定が可能であった.ビル等床洗浄剤を主成分とする排水に関しては
COD(mg/L)=25442×(UV254吸光度)-442 
によってCODの推定が可能であった.桑名地区代執行現場における地下水等に関する換算式は
COD(mg/L) = 97×(UV254吸光度) + 2.7(遮断壁外)
BOD(mg/L)=63×(UV254吸光度)2-0.87×(UV254吸光度)+1.5(遮断壁外)
BOD(mg/L) = 110×(UV254吸光度) + 45(遮断壁内)
で推定が可能であった.
2006rep4  三重県における2005年度環境放射能調査結果
  小川正彦,森康則,長谷川圭司1),橋爪清
    1)四日市農林商工環境事務所
   キーワード:環境放射能,核種分析,全ベータ放射能,空間放射線量率
 文部科学省の委託により平成17年度に実施した三重県における,降水中の全ベータ放射能測定,降下物,大気浮遊じん,陸水,土壌,水道水,各種食品試料及び日常食のガンマ線放出核種(セシウム137,ヨウ素131,カリウム40)分析,並びに空間放射線量率測定の結果について報告する.
平成17年度の環境及び食品中の放射能レベルは,すべて平常値であった.
核種分析においては,人工放射性核種であるセシウム137,天然放射性核種であるカリウム40が,一部試料から検出されているが,過去の検出状況及び全国の調査結果と比較して特に問題は認められなかった.
降水中の全ベータ放射能,モニタリングポストでの連続した及びサーベイメータを用いた月1回の空間放射線量率の測定結果でも,異常は認められなかった.
2006rep5  三重県における平成15~17年度農産物中の残留農薬検査結果について
  川合啓之,冨森聡子,林克弘,田中千晴1),前田千恵,大垣有紀,橋爪清
   1)科学技術振興センター農業研究部
   キーワード:残留農薬,食品衛生法,ポジティブリスト制度,農薬取締法
 平成15~17年度に収去された農産物553検体について,残留農薬82項目の検査を実施した.その結果,残留農薬が63検体から検出され,検出率は11.4%であった.農薬分類別では有機リン系農薬が最も多く検出され,農薬別ではシペルメトリンが最も多く検出された.残留基準超過による食品衛生法違反は1検体のみであったが,適用外農薬の使用による農薬取締法違反は9検体あった.また,ポジティブリスト制度導入後は,残留基準超過による違反が増加することが推測された.
2006rep6  浮遊粒子状物質の大気汚染について(1)― 県下の微小粒子(PM2.5)濃度 ―
  塚田進,山川雅弘1),西山亨
   1)環境森林部
   キーワード:SPM,ディーゼル車,微小粒子,ディーゼル排気粒子(DEP),PM2.5
 浮遊粉じんに係る大気汚染の環境基準は,粒子径10μm以下のものについて浮遊粒子状物質(SPM)として定められている.
このうち粒径の小さい粒子は,微小粒子といわれており,ディーゼル排気粒子(DEP)等による人体への健康影響の観点から大きな問題となっている.
このため,県下における微小粒子(概ね粒径2.5μm以下のもの;以下PM2.5という)の現状を把握するため,自動車交通排ガスの影響が大きい地点,一般住民が多く住む住居地域及び山間部の3地点において調査を行った.
その結果,浮遊粒子状物質(SPM)濃度は,自然からの寄与を含むため,粒径分布のみからは3地点の顕著な違いは見られなかったが,3地点同時採取したPM2.5濃度を比較した場合,2倍~3倍の濃度差がみられた.
また,自動車道路沿線のPM2.5の濃度は,大都市圏(東京都,名古屋市,横浜市)でみられる濃度と同程度であり,米国で定められているPM2.5の環境基準値も上回っている可能性がある.
2006rep7  四日市地域における酸性雨の状況について(平成14~17年度調査結果)
  西山亨,佐来栄治,塚田進,山川雅弘1),川上正純2)
   1) 環境森林部 2) 尾鷲農林水産商工環境事務所 
   キーワード:酸性雨モニタリング調査,初期酸度,全無機態窒素,潜在水素イオン,系列相関検定,
           後方流跡線解析
 平成14年度から平成17年度まで四日市市内2地点で酸性雨調査・sい,結果をまとめた(文末にデータ掲載).H+,NO3-,nss-SO42-等について,全国調査結果との比較では,濃度に関しては高い傾向を示した.また,沈着量に関しても同様の傾向を示し,なかでも平成15年度に顕著であった.系列相関検定を行ったところ,両地点とも多くの項目に関して経年的に酸性度が弱まる傾向を示していると考えられた.特徴的なデータに対して後方流跡線解析を行ったところ,空気塊の起源により内容成分は大きく異なることが裏付けられた.

 資料

2006rep8  2005年感染症発生動向調査結果
  山内昭則,中野陽子,矢野拓弥,赤地重宏,岩出義人,杉山明1)
   1)津保健福祉事務所
   キーワード:感染症発生動向調査,インフルエンザウイルス,アデノウイルス
 2005年1月から12月まで検査依頼のあった患者442名中病原体の検出された患者は238名(53,8%)であった.主に検出されたのは,インフルエンザでは,Inf B 36名,AH3型 31名,Inf B&AH3型 5名,AH1型 2名であった. 感染性胃腸炎ではNV(GⅡ)24名,RoA 8名等であった.ヘルパンギーナはコクサッキーA群(CA)ウイルス10型14名CA6型7名であった.手足口病については,CA16が15名,エンテロウイルス71型(EV71)5名等であった.RT-PCR法による CA16,EV71遺伝子を検出する方法は,迅速に型別が行えることから流行時には,有効であると考えれる.咽頭結膜熱は夏季の流行規模は小さく,検査依頼数も8名と少なかった.これらからは,Ad2型が2名から分離されたのみで,例年分離されるAd 3型の流行がなかったことが夏季の流行規模を小さくしたものと考えられる.
2006rep9  2005年に三重県で発生した食中毒
  岩出義人,中野陽子,矢野拓弥,赤地重宏,山内昭則,杉山明1)
   1)津保健福祉事務所
   キーワード:食中毒,Norovirus,Salmonella Enteritidis,Campylobacter jejuni
 2005年に三重県で9件の食中毒が発生し,536名が発症した.原因物質の内訳は,Salmonella Enteritidis 5件(患者数456名),Norovirus GenogroupⅡ3件(喫食者数84名,患者数63名),Campylobacter jejuni 1件(喫食者数50名,患者数17名)であった.近年減少傾向であったVibrio parahaemolyticus食中毒がついに姿を消した.事例No.6,8,9の患者由来S.Enteritidisは疫学解析(薬剤耐性パターン,Plasmid Profile,Pulsed Field Gel Electrophoresis)にて一致しており,何らかの因果関係が示唆された.
2006rep10  2005年度の日本脳炎,インフルエンザ,風疹,麻疹感染症流行予測調査の概要
  矢野拓弥,中野陽子,赤地重宏,岩出義人,山内昭則,杉山明1)
   1)津保健福祉事務所
   キーワード:感染症流行予測調査,日本脳炎,インフルエンザ,風疹,麻疹, 2005年度
 感染症流行予測調査では人の抗体調査による免疫保有状態の程度について年齢等の別により分布を知る感受性調査と病原体の潜伏状況及び潜在流行を知る感染源調査を実施している.その結果確認された主な事実は次の通りである.
①日本脳炎感染源調査については三重県中部地域で飼育された豚の日本脳炎ウイルス 赤血球凝集抑制(HI)抗体保有の有無を調査した.2005年8月3日にHI抗体陽性率が44% ととなり,IgM抗体の指標となる2-Mercaptoethanol(2-ME)感受性抗体は7頭(64%)で認められた.
②新型インフルエンザウイルスの侵入を監視する体制強化の一環として,豚からのインフルエンザの分離を実施したがウイルスは分離されなかった.
③風疹感受性調査での全年齢層におけるHI抗体保有率は83.8%(男性:74.8%,女性: 91.6%)であった.
④インフルエンザの流行動態および規模に最も影響を及ぼす乳児から学童期の年齢層の各亜型の流行期前のHI抗体保有率(40倍以上)はA/NewCaledonia/20/99(H1N1) 0-4歳8.5%, 5-9歳38.9%, A/NewYork/55/2004(H3N2), 0-4歳38.3%, 5-9歳55.6%, B/Shanghai/361/2002, 0-4歳12.8%, 5-9歳38.9%, B/Hawaii/13/2004は0-4歳4.3%, 5-9  歳22.2%であった.
⑤麻疹感受性調査での全年齢層におけるPA(Particle Agglutination Test)抗体保有率は 96.8% と免疫獲得状況は良好であった.
2006rep11  2005年度の先天性代謝異常等検査の概要
  永井佑樹,山中葉子,橋爪清
   キーワード:先天性代謝異常等検査,先天性副腎過形成症,先天性甲状腺機能低下症
 先天性代謝異常等検査は県を実施主体としており,2005年度は県内の新生児のうち保護者が希望した16,947件について検査を行った.疑陽性と判定し再検査を行った検体は398件であり,精密検査依頼数は先天性副腎過形成症32件,先天性甲状腺機能低下症12件であった.出生体重2,000g以下の低出生体重児は217件で,17-OHPについては精密検査依頼数が13件,再採血依頼数が36件であった.

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