9月11日(水)に、高茶屋小学校の6年生95名を対象に授業を行いました。
今回の授業では、担任の先生から「子どもたちが鎌倉時代の学習に入ることから、校区内にある高茶屋大垣内遺跡(津市城山)を中心として、その時代と関連する三重県内の遺跡の紹介をしてほしい」との希望があり、高茶屋大垣内遺跡に加え、校区に近い安濃津柳山遺跡(津市上弁財町津興)と雲出島貫遺跡(津市雲出島貫町)を紹介することにしました。
高茶屋大垣内遺跡は、三重県を代表する遺跡の一つです。子どもたちには、調査で出土した『美濃』と刻印された須恵器を提示し、「この須恵器から考えられることはどんなことだろう」とたずねてみました。子どもたちからは「美濃地方から誰かが運んできたのかも」「美濃から作る人がやってきて、高茶屋で作っていたのかな」といった発言があり、「もの」からしっかり思考する姿がみられました。
安濃津柳山遺跡については、日本三津の一つである安濃津を紹介するとともに、国内だけでなく海外の文物が持ち込まれたことを紹介しました。また、雲出島貫遺跡の紹介では、これから学習すると思われる伊勢平氏のことや、中世墓から出土した青磁・白磁の写真と青磁・白磁の破片等を提示し、安濃津を介した交易を実感してもらいました。
今回は45分間の授業のなかで盛りだくさんの内容を紹介したので、実物に触れる時間が少なかったのですが、ここまで紹介した3つの遺跡から、この地域に長い期間人の営みがあったこと、また流通の拠点として重要な場所であったことを子どもたちは気づくことができました。
安濃津の地形と3つの遺跡の場所の関係を示したときは、子どもたちに身近な商業施設のあたりが、当時はまだ海であったこと、物のやり取りをしやすい場所であったことを実感できたようで、より当時への思いをはせることができたようでした。
発掘調査によりわかった事実や実際の遺物から考えたことは一人ひとりの中に貴重な知識として蓄積されていくと思います。三重県埋蔵文化財センターではこれからも、このような学校での学習や体験活動を支援していきます。