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平成27年03月18日

中径材から取れるスギ平角材の梁・桁への利用に向けて(2)
 ~ 丸太の段階で製材後の平角材の曲げヤング率&初期含水率を予測する ~

林業研究所  山吉栄作

◆はじめに
 現在、市場等に搬出されるスギ丸太は末口径20cm以上の中・大径材が増加し、柱や土台だけでなく、断面の大きな梁・桁材としても十分供給可能な状況にあります。一方、梁・桁生産においては、断面が大きい分、より乾燥が難しくなるとともに、床面にかかる荷重を長期間たわまずに支える必要があるため、壊れにくい(高い曲げ強度)だけでなく、たわみにくい(高い曲げヤング率)性能も要求されます。したがって、梁・桁用途に適した平角材というのは、乾燥前の初期含水率が低く、乾燥が比較的短期間で済むもの、また荷重が加わってもたわみにくく、要求される曲げヤング率を満たしやすいものということになります。
 そこで、初期含水率が低く、要求される曲げヤング率を満たす平角材を選別する方法を確立する必要がありますが、丸太から一旦平角に製材してから選別していては効率が悪いため、丸太の時点で製材後の平角材の初期含水率や曲げヤング率を予測できないか調査を行いました。この結果をリーフレットにとりまとめましたのでその概要を紹介します。なお、本調査内容の一部は、本誌No.399においても紹介しています。
 リーフレット掲載先:三重県林業研究所HP
 http://www.pref.mie.lg.jp/ringi/hp/index.htm
 

1)スギ平角材の曲げヤング率を丸太の時点で予測する!
 通常、曲げヤング率は、実大材強度試験機を用いて材の上面より荷重を徐々にかけてたわませ、その荷重とたわみ量の関係より求めますが、現場で測定する際は、ポータブルな機器によりもっと簡易に測定できる縦振動ヤング率を代替値として用いることができます。この縦振動ヤング率は、曲げヤング率と関係が深く、両者の相関を把握しておくことで、縦振動ヤング率から曲げヤング率を予測することが可能になります。

1-1)丸太の縦振動ヤング率の測定方法
 縦振動ヤング率(GPaまたはkN/mm2)は、丸太や角材といった形状を問わず、材長(m)、密度(kg/m3)、共振周波数(Hz)の3つの数値が分かれば、次式より求めることができます。

縦振動ヤング率=(2×材長×共振周波数)2×密度÷109

 最初に、密度は、重量(kg)を材積(m3)で割って求めますが、一般に原木流通で使われている末口二乗法(末口径×末口径×材長)による材積は、末口径と元口径の差により過小または過大になりやすいので、本調査では丸太を円錐台とみなし、直径巻尺で計測した末口径と元口径、および材長から円錐台の材積として算出しました。また、重量は、フォークリフトの爪にデジタル吊り秤をぶら下げ、その吊り秤にスリングで丸太を吊って計測しました。ただし、この方法では時間と労力が多く掛かるので、可能であれば、重量計測装置をフォークリフトまたは丸太の剥皮機等に取り付けて、リフトの爪や剥皮機に載せた段階で計測できるようにした方が作業効率は高まります。
 次に、共振周波数は、丸太の木口をプラスチックハンマーで打撃した音を、反対側の木口に当てたマイクで拾い、その打撃音の共振周波数を携帯型FFTアナライザ(振動周波数分析器)を用いて計測します。この時、重量計測装置を取り付けたフォークリフトを用いて、丸太を爪に載せた状態で、重量と併せて共振周波数を計測することも可能ですが、打撃音が金属製の爪と共振しないように、爪の上にゴムマット等を敷き、直接丸太が爪に触れないように配慮する必要があります。

1-2)丸太の縦振動ヤング率から平角材の曲げヤング率を予測
 今回調査したスギ丸太およびその丸太から製材し人工乾燥させたスギ平角材(粗挽きまたは修正挽き)の寸法と本数は以下のとおりです。
 一般的に木材は、乾燥により含水率が約30%を下回った辺りから、含水率が低下するにつれ強度性能が上昇するという特性があるので、含水率の異なる木材の強度性能を単純に比較することはできません。そのため、今回、実大材強度試験機を用いて測定した曲げヤング率は、含水率18%時の数値に全て補正しました(国内における木材の平衡含水率は約15%)。

  • 調査丸太:県産スギ中径材(本)  末口径24~28 cm,材長 4m強
  • スギ粗挽き平角材(本) 乾燥済み 粗挽き寸法 135 mm×195mm角
  • スギ修正挽き平角材(本)乾燥済み 修正挽き寸法 120 mm×180 mm角

 図-1に、丸太の時点で測定した縦振動ヤング率と、その後、粗挽きおよび修正挽きした平角材の含水率補正後の曲げヤング率の関係を示します。その結果、両ヤング率の相関は高く、平角材の曲げヤング率は、丸太の縦振動ヤング率からほぼ 1:1で予測できることが分かりました。


図-1.丸太の縦振動ヤング率と平角材の曲げヤング率



図-2.曲げヤング率に対応する丸太の縦振動ヤング率

また、この回帰式における下限95%予測区間に基づき、曲げヤング率がある特定値以上の平角材を収集するために必要な丸太の縦振動ヤング率の下限値を図-2に示します。これより、要求される曲げヤング率以上の平角材を効率良く集めるには、曲げヤング率の要求値より約1GPa以上高い縦振動ヤング率の丸太を選別して製材すれば良いことが分かりました。

2)粗挽き平角材の初期含水率を丸太の時点で予測する!
 初期含水率が100%を超える粗挽き平角材の場合、高温セットと中温による比較的高い温度域を用いた乾燥方法でも、目標含水率20%以下まで乾燥させるには2週間以上の期間を要し、初期含水率が200%に近いものでは1ヶ月かけても目標まで達しないことが分かりました。そのため、梁・桁生産に適する平角材の初期含水率としては、ほぼ2週間以内で目標含水率まで達する、100%以下が選別ラインになると考えられました。
 そこで、初期含水率100%以下の粗挽き平角材を選別するにあたって、丸太の推定含水率(推定方法は前報No399参照)と粗挽き平角材の初期含水率の関係を調査しました(図-3)。その結果、初期含水率100%以下の粗挽き平角材は、推定含水率140%以下の丸太を選別し製材することで、高比率で収集できることが分かりました。



図-3.丸太の推定含水率と粗挽き平角材の初期含水率

おわりに
 梁・桁生産において、100%を超えるような初期含水率の高いものは、乾燥に多くのエネルギーを消費してまで梁・桁用途として利用する必要はなく、乾燥の容易な挽割類や板類として利用するなど、製材用途に応じた丸太選別を行い、生産性の向上につなげていくことが大切です。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 林業研究所 企画調整課 〒515-2602 
津市白山町二本木3769-1
電話番号:059-262-0110 
ファクス番号:059-262-0960 
メールアドレス:ringi@pref.mie.lg.jp

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