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平成25年06月01日

情報公開・個人情報保護

三重県情報公開審査会 答申第347号                             

答申

1 審査会の結論

 実施機関が行った決定は、妥当である。

2 異議申立ての趣旨

 異議申立ての趣旨は、開示請求者が平成21年9月1日付けで三重県情報公開条例(平成11年三重県条例第42号。以下「条例」という。)に基づき行った「特定の事業者の産業廃棄物処理業に関するすべての文書」の開示請求(以下「本請求」という。)に対し、三重県知事(以下「実施機関」という。)が、異議申立人(開示請求者ではない者)の情報が含まれる、「特定の事業者に係る産業廃棄物収集運搬業許可申請書」(以下「本件対象公文書」という。)を対象公文書として特定し、平成21年10月15日付けで開示請求者に対して行った公文書部分開示決定(以下「本決定」という。)について、条例第17条第2項に規定する第三者である異議申立人が取消しを求めるというものである。

3 本件異議申立てについて

 実施機関は、本件対象公文書中に本件対象公文書を提出した申請者等の情報が含まれていることから、条例第17条第2項の規定に基づき、当該申請者等に対し意見照会を行ったうえで、本決定を行った。
 実施機関は本決定を行うと同時に、当該申請者に対し、条例第17条第3項の規定に基づき本件対象公文書のうち「様式2 (産業廃棄物・特別管理産業廃棄物)事業計画書」(以下「事業計画書」という。)に記載されている産業廃棄物の排出事業所の所在地、名称及び電話番号並びに運搬先の所在地及び名称を開示する旨を通知したところ、当該申請者から当該部分を非開示とすることを求めて異議申立てが提起されたものである。
 なお、本請求を行った開示請求者には、平成21年10月30日付けで、本件異議申立てに係る決定に至るまで開示を停止する旨の通知がなされている。

4 実施機関の説明要旨

 実施機関の主張を総合すると、次の理由により本決定が妥当というものである。
 開示する情報は、特定の事業者の顧客及び取引先に係る情報であるため、公にすることにより当該事業者の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められるが、産業廃棄物処理の社会的影響や、排出事業者及び処理業者の社会的責任等を考慮すると、事業計画書に記載されている産業廃棄物の種類、排出事業所、運搬先、取扱量、処分方法などの情報を公にすることは、ともすれば住民の生活環境等に影響を及ぼす可能性のある情報を公表することで住民の不安を払拭するためであり、条例第7条第3号ただし書ハにいう公益上の理由があると判断して、開示した。
 また、本件と同種の情報を開示とした決定について、三重県情報公開審査会の平成16年3月12日付け答申第168号及び平成20年9月12日付け答申第318号などで、当該情報を開示するとした実施機関の決定は妥当であるとされている。

5 異議申立ての理由

 本件については、異議申立人から意見陳述を行わない旨の意思表示があったため、異議申立書に記載された異議申立ての趣旨に基づいて審議を行った。異議申立人が異議申立書で主張する異議申立ての理由は、おおむね次のとおりである。

(1) 開示請求者の利用目的及び意図が分からないことから、排出事業所及び運搬先に迷惑をかけるおそれがある。

(2) 他社企業に異議申立人の情報が漏えいするおそれがある。

6 審査会の判断 

 実施機関は条例第7条第3号(法人情報)ただし書ハに該当するので開示が妥当であると主張していることから、以下、条例第7条第3号ただし書ハの妥当性について検討する

(1) 基本的な考え方について

 条例の目的は、県民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、県の保有する情報の一層の公開を図り、もって県の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにするとともに、県民による参加の下、県民と県との協働により、公正で民主的な県政の推進に資することを目的としている。条例は、原則公開を理念としているが、公文書を開示することにより、請求者以外の者の権利利益が侵害されたり、行政の公正かつ適正な執行が損なわれるなど県民全体の利益を害することのないよう、原則公開の例外として限定列挙した非開示事由を定めている。
 一方、開示請求に係る公文書に第三者に関する情報が記載されているときに、当該第三者の権利利益を保護し開示の是非の判断の適正を期するために、開示決定等の前に第三者に対して意見書提出の機会を付与すること、及び開示決定を行う場合に当該第三者が開示の実施前に開示決定を争う機会を保障するための措置についても定めている。
 当審査会は、情報公開の理念を尊重し、条例を厳正に解釈して判断する。

(2) 条例第7条第3号(法人情報)の意義について

 本号は、自由主義経済社会においては、法人等又は事業を営む個人の健全で適正な事業活動の自由を保障する必要があることから、事業活動に係る情報で、開示することにより、当該法人等又は個人の競争上の地位その他正当な利益が害されると認められるものが記録されている公文書は、非開示とすることができると定めたものである。
 しかしながら、法人等に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる支障から県民等の生活・環境を保護するため公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものは、ただし書により、常に開示が義務づけられることになる。

(3) 条例第7条第3号(法人情報)本文の該当性について 

 本件対象公文書は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)第14条第1項の規定に基づき特定の事業者から平成13年11月12日付け及び平成18年12月15日付けで実施機関に提出された産業廃棄物収集運搬業許可申請書であり、このうち申請書に添付された事業計画書に記載されている産業廃棄物の排出事業所の所在地、名称及び電話番号並びに運搬先の所在地及び名称を開示することとした実施機関の決定について、異議申立てが提起されているものである。
 これら排出事業所及び運搬先に関する情報は、異議申立人である特定の事業者の取引先に係る情報であり、営業上機密性の高い情報であると認めることができ、これを公にすると、同業他社が異議申立人の取引先に対し営業活動を行うなど、異議申立人の競争上の地位が損なわれると認められることから、条例第7条第3号本文に該当する。
 この点については実施機関も認めるところであり、これらの情報を開示することでどのような問題が発生するのか、異議申立人の主張に具体性があるとはいえず不明確な部分があるものの、本号本文に該当すると判断する。

 (4) 条例第7条第3号(法人情報)ただし書ハの該当性について

 条例第7条第3号ただし書は、法人等又は事業を営む個人に関する情報であっても、事業活動によって生ずる危害から人の生命、身体、健康又は財産を保護し、又は違法若しくは不当な事業活動によって生ずる支障から県民等の生活・環境を保護するために公にすることが必要であると認められる情報及びこれらに準ずる情報で公益上公にすることが必要であると認められるものに開示を義務づけたものである。
 排出業者や産業廃棄物処理業者に対して厳しい責任を課した廃棄物処理法の趣旨や産業廃棄物処理業を取り巻く社会状況等を総合的に判断すると、産業廃棄物の一連の処理に関する情報は、地域住民等の健康を保護するために公にすることが強く要請されているものであり、これらの情報を開示することは、地域住民等の不安感を取り除くためにも必要である。
 産業廃棄物の排出事業所及び運搬先に関する情報は、産業廃棄物収集運搬業者が取り扱う産業廃棄物の種類、処分方法等の情報とあいまって産業廃棄物の内容をより詳細に把握、確認できる情報である点で、産業廃棄物処理に密接に係る情報であり、これを開示することが地域住民等の生命、身体及び健康を保護するため要請されているというべきであり、産業廃棄物処理業者にとっても、地域住民等の不安感を取り除き、産業廃棄物処理業についての理解を得るために必要であると認められる。
 確かに、排出事業所及び運搬先に関する情報は異議申立人の顧客情報であり、開示されることにより、異議申立人の事業活動に不利益を与えるおそれがあることは十分に理解できるが、産業廃棄物処理という事業には、事業者の運営によっては地域住民等の生活環境に重大な影響を与える危険性があることも事実であり、当該事業の特質や廃棄物処理法の趣旨から非開示により保護すべき利益よりも地域住民等の健康等の公益が優先されると判断せざるを得ない。
 したがって、条例第7条第3号(法人情報)ただし書ハに該当し、開示するとした実施機関の決定に誤りはないと判断される。

(5) 異議申立人の主張について

 異議申立人は、開示請求者の利用目的や意図が分からないから非開示とすべきと主張しているが、条例の定めた開示請求制度は、その理由や利用の目的、請求者の属性等を問わず何人たりとも開示請求を認める制度であることから、異議申立人の主張は採用できない。

(6)結論

 よって、主文のとおり答申する。

(7)審査会の処理経過

 当審査会の処理経過は、別紙1審査会の処理経過のとおりである。

別紙1

審査会の処理経過

年 月 日 処理内容
21. 11.18 ・諮問書の受理
21. 11.19 ・実施機関に対して非開示理由説明書の提出依頼
21. 12. 7 ・非開示理由説明書の受理
21. 12. 8

・異議申立人に対して非開示理由説明書(写)の送付、意見書の提出依頼及び口頭意見陳述の希望の有無の確認  

22.  2. 5

・書面審理
・実施機関の開示理由説明の聴取
・審議 

(第334回審査会)

22.  3.12

・審議
・答申    

 (第336回審査会)

 

三重県情報公開審査会委員

職名  氏名   役職等   
※会長 岡本 祐次 元三重短期大学長
※委員 川村 隆子 三重中京大学現代法経学部講師
委員 樹神 成 三重大学人文学部教授
※委員 竹添 敦子 三重短期大学教授
(平成21年10月16日から)
委員 田中 亜紀子 三重大学人文学部准教授
会長職務代理者 早川 忠宏 三重弁護士会推薦弁護士

※委員 

丸山 康人 四日市看護医療大学副学長

 なお、本件事案については、※印を付した会長及び委員によって構成される部会において主に調査審議を行った。

本ページに関する問い合わせ先

三重県 総務部 情報公開課 情報公開班 〒514-0004 
津市栄町1丁目954(栄町庁舎1階)
電話番号:059-224-2071 
ファクス番号:059-224-3039 
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