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平成21年01月27日

研究報告第8号

1.水稲の品質、食味の向上に関する研究 第2報好評米地帯の米の品質、食味について

伊藤敏一・川口漣

好評米産地といわれる一志、伊賀産の米の品質、食味、炊飯の理化学性について他産地産地と比較し、好評米とは如何なる米であるかを明らかにしようとした。その結果、

  1. 外観は年次により差がみられるが、好評米地帯のものは、比較的良質である。
  2. 食味の官能テストの結果、好評米地帯の米は、外観、味、粘りが良く、総合評価が良かった。
  3. 炊飯の理化学性では好評米地帯のものは炊飯の粘着度が大であった。

2.果菜類の水耕栽培に関する研究(第5報)通気が温室メロンの生育、収量におよぽす影響

西口郁夫・稲垣悟・宮川喬

  1. 温室メロンを用い、3作型で生育段階にあわせて通気量を変化させ、生育、収量におよぼす通気の影響を検討した。
  2. 地上部は顕著な生育差がみられなかったが、根部は根腐れ、株元からの新根の再発生などの反応がみられ、一般に通気が多いと根重の増加が認められた。
  3. 果実の重量は生育と同様に通気が多いほど大きくなった。糖度は少通気がよく、しかもネット完成後に通気を少なくするのがよいと思われる。
  4. 溶存酸素濃度の推移に日変化がみられ、生育段階が進むほど、かつ少通気ほど早い時刻から減少し、最も早かったのは午前10時頃であった。
  5. 1株2果着果は商品性のある果実が得られなかった。

3.畑作地帯における受託農成立に関する調査研究

小河内一司

  1. 三重県の主要畑作地帯、鈴鹿の洪積台地、宮川左岸洪積畑、里山といわれる第3紀の丘陵地を対象とし、生起している借地事例により受託農の成立条件について検討をおこなった。
  2. 畑作借地の成立型としては、貸し手市場の中で、借り手の規模拡大型、同じく借り手の連作障害対策型があるが、加えて借り手市場の背景において、貸し手の畑地管理依頼型が生まれている。
  3. 借り手の規模拡大型および連作障害対策型については、地代支払い能力が問題になる。この場合、地主が要求する借地料が満足されなければならない。
  4. 地代の額は、米作収益を基準としており、その額は水稲生産における土地純収益に相当する額、10a当り60~90kgとなっている。
  5. これに対して、借り手の借地支払い能力(土地純収益相当)は調査した大規模経営では花木(サツキ)11.7万、たばこ15.5万、いせいも9万となって、地代支払いに問題はない。
  6. しかし連作障害対策のための露地野菜(なす)では、赤字の純収益を示している。しかし、年間野菜総作付面積の収益としてみれば、地代支払い力を持っている。
  7. 借り手市場の背景において、おこなわれている貸し手の畑管理依頼型の成立は、耕作権の発生を懸念しており、その回避策として、イ.期間をかぎって貸す(野菜作)、ロ.たて前として地代なしの貸し付け(飼料作物)といった方法がとられている。この場合の代価としては、借り手から貸し手に謝礼がとどけられている。
  8. いずれの型にあっても、借り貸し希望者自からの相対方式がとられる。そして規模拡大および連作障害対策型では、借り主の増加と適地の減少がみられ、貸し借りの出合いを少くし、また借地料をせり上げている。一方、畑地管理に支障をきたした農家が潜在的に生まれており、これらは貸し地に対して耕作権の発生を危惧している。
  9. 耕地の貸借は、慣行化されることが必要である。その方法として、情報の提供・あっせんをつかさどる仲介機関があることがのぞましい。また、耕作権の発生を危惧する農家には、使用貸借の適用が利用されるべきである。
  10. なお畑作は、地力維持が大切である点、耕地の計画的利用が大切で、この方法として、農用地利用増進事業により賃貸借を推進できる。この場合、受委託方式がある程度慣行化していることが重要である。

4.水耕栽培におけるキュウリ疫病の防除 第1報薬剤による防除

長江春季・田上征夫・冨川章

施設野菜の水耕栽培における病害のうち、とくに発生被害の大きいキュウリ疫病について、薬剤による防除法を検討した。

  1. 水耕液内へ薬剤を添加する方法について、添加薬剤の種類と濃度について、ケミクロン、パンソイル乳剤、ナインブザール用をスクリーニングした結果、パンソイル乳剤4ppm添加で効果がみられ薬害もなく実用の可能性が伺がわれた。その他薬剤は薬害がみられ、実用性については困難と考えられた。
  2. パンソイル乳剤の水耕液添加による防除法について検討した結果、幼苗~生育初期における小型水耕液槽による試験では、4.8ppm添加のいずれも高い効果が認められ、薬剤添加後20~39日後まで発病が抑えられた。0.8、2.5ppm添加では一発病時期はやや遅れたがいずれも発病がみられた。
    中型水槽を用いて検討したところ、4ppm添加区は発病時期がやや遅れ、久留米落合H型は、近成山東よりややこの傾向が明らかであった。8ppmでは発病は全く認められず高い防除効果がみられた。
  3. パンソイル乳剤の水耕液添加によりキュウリの生育に対する影響は8ppmで品種によっては草丈が若干低くなる傾向がみられたが4ppmでは影響はみられなかった。
  4. パンソイル乳剤添加水耕液の発病抑制期間は、中型水槽の試験では4ppmで16~20日、8ppmで19~39日であった。これは水耕液槽の大きさ、液量、キュウリの大きさなどと関連して変動するため、遊走子のう形成抑制効果持続期間の約20日間(4、8ppm)、薬剤処理後、菌接種までの日数を変えて残効期間をみた結果の8ppmで23日内外、4ppmで18日の結果を勘案すると、バンソイル乳剤の残効期間は一般的には8ppmで23日内外、4ppmで16~18日と考えられる。

5.水耕栽培におけるキュウリ疫病の防除 第2報紫外線照射装置ステリトロンRの利用による防除

長江春季・田上征夫・富川章

紫外線照射装置ステリトロンRによる水耕液中の疫病菌の静菌または殺菌効果について検討した結果、A、B、2水耕液槽にキュウリを栽培し、A槽に疫病菌を接種し、A→B間にステリトロンR、フィルターを直列に入れA→B→Aという循環回路を構成した。フィルターとして、プランクトンネット(網目58~100μ)を2重にし、通過流量8リットル/minすなわち360リットル/hでB槽への疫病伝播を完全に防止でき、高い防除効果がみられた。この方法の実用性については、水耕液槽を密閉系にすることと相俟って水耕液調合時の注入、途中での補給回路に適用が可能と考えられる。

6.デンドロビューム・フォーミディプルの生育および開花条件に関する研究 第1報水管理と施肥方法が生育、開花に及ぼす影響

山口省吾・中野直

  1. デンドロビューム・フォーミディブルの生育、開花におよぼす水分および施肥管理の影響について検討を行った。
  2. 苗生育に対する水分の影響は極めて大きく、保水性通気性に富む植込材料を用い、かん水は多い程生育良好となる。したがって、実用的には、水苔培地を用いポリ鉢植えとし、夏期は1日2回、冬期は1日1回ずつ、鉢底から水が流れ出るほど十分かん水管理するのが適している。
  3. 苗生育に対する施肥の適量は最低温度15℃の場合は油粕を4、5号鉢1鉢当り1ケ月間隔に5gずつ、20℃以上の温度の場合は2~5g程度であり、これより施肥量を増すとかえって生育抑制がみられた。
  4. 生育に適する窒素施用は低濃度が適し、75ppm以上の高濃度になると生育が抑制された。生育に適する窒素濃度は50ppm以下であった。
  5. バルブの肥大は、窒素0~50ppmの低濃度で優れ、施肥量も少ない方がよく肥大した。
  6. 開花に及ばす窒素施肥の影響は、100ppm以上で著しく着花率が低くなり、無窒素~50ppmで高くなった。また、花房数と小花数は無窒素が最も多かった。
  7. 窒素肥料の施肥打切りが開花に及ばす影響は、リードの生育停止期の打切りで若干開花が多くなったが、打切り時期がおそい場合は開花に影響を及ぼさなかった。
  8. 以上のことから、デンドロピューム・フォーミディプルの生育、開花には水分と施肥の影響が大きく、生育には水分の供給を十分行うとともに施肥過多による生育抑制にならないよう配慮し、開花株に達してからは施肥を打切ることが、生育を促進させ開花率を高めるための管理技術として適しているものと思われる。

7.温州ミカンの若木に及ぼすリン酸施用の影響

森本拓也

  1. 縦1.5m、横1.5m、探さ1mのライシメーターに洪積層土壌の未耕土をつめ、1年生の普通温州ミカン(杉山)を供試して、定値時から6年間リン酸の施用試験を行なった。
  2. 樹勢について、リン酸を慣行の倍量施用すると生育は劣り、樹容積の拡大にはリン酸の増施効果は認められなかった。しかし、施用法を変えた全層施肥では、リン酸の施肥効果を示した。
  3. 収量は樹の生育量の影響が大きく、樹勢の良い全層施用において収量は多く、リン酸の増施が直接収量増に結びつきにくく、施肥量よりも施用法の改善による効果が認められた。
  4. 果実品質について、果形指数は全層施用が良く、果汁成分については多量施用は可溶性固形物、クエン酸ともに低くなり、全層施用は可溶性固形物への影響は少なくクエン酸含量が低くなる傾向を示した。
  5. 葉、土壌中の成分については、リン酸の施用量が多いと葉中のカルシウムが増加し、土壌中では施用量が少なくなると根群の分布が浅く、細根が少なくなった。

8.干拓地におけるトラクタの走行性に関する研究

横山幸徳・前田拓・細野満典

木曽岬干拓地は乾燥砂土~ヘドロまで多岐にわたり、トラクタけん引性能からみて極めて不利な条件である。そこで、ホイール型トラクタを前提として4輪・2輪駆動の2種類を供試し、各土質毎にけん引力・けん引動力等の諸特性を明らかにした。

  1. 4輪駆動は2輪駆動より、いずれの土質においてもけん引力・けん引動力とも約2倍大きく、4輪駆動の方が有利であることを実証した。
    なお、すべり率20%付近の4輪駆動におけるけん引力(P)、けん引動力(Nd)は、砂土:P=850kg、Nd=1.9P.S、砂土+ヘドロ:P=450kg、Nd=2.6P.S、ヘドロ:P=430kg、Nd=3.9P.Sであった。
    なお、Ndの値は車速Hl4の時の数値である。
  2. けん引係数については、砂土〉砂土+ヘドロ〉ヘドロの順となり、逆にけん引効率は、ヘドロ〉砂土+ヘドロ〉砂土となった。
  3. けん引性能からみた4輪駆動の有利性は明らかとなったが、今後、作業機抵抗の特性も明らかにして、両者から総合的な検討が必要である。

9.重金属による土壌汚染に関する研究(第1報)客土等が水稲のカドミウム吸収軽減に及ぼす影響

児玉行博・戸田鉱一・米野泰滋・戸波多美子・石川裕一・広瀬和久

桑名市内に散在するホーロー、エナメル工場から排出される廃水が農業用水に混入することにより、この用水を利用している地域の水田土壌がカドミウムにより汚染していることが明らかになった。又、員弁郡藤原町に所在するセメント工場周辺の水田土壌がカドミウム等により汚染されていることが判明する。川に及び、これら両地域では土壌の汚染を通じて人の健康を損うおそれのある農産物が生産される危倶が生じた。従って、両地域を対象に対策試験を実施した。汚染の除去の最も確実な方法は、汚染された土壌を非汚染土壌と入れ変えることであるが、排土の処分が困難であることから今回は床締め客土による方法を中心に、2、3の土木的方法によるカドミウム吸収軽減対策について検討した。

  1. 客土及び反転耕等の土壌改良、肥培管理、水管理を徹底することにより、生育収量は、慣行と同程度、又は、それ以上に増加することが明らかになった。
  2. 客土、反転耕、床締め客土等の工法により、玄米中カドミウム濃度は、天然存在量程度に減少し、床締め+客土20cm区>床締め+客土15cm区>客土区>反転耕区の順に吸収軽減効果が高かった。
  3. 水稲体の各部位(根、株、茎葉、もみがら、玄米)のカドミウム濃度は、慣行区が最も高くなり、各部位のカドミウム濃度合計値は、桑名試験地で、慣行区>客土区>床締め行区>反転耕区>床締め十客土15cm区>床締め+客土20cm区の順位であり、いずれも床締め客土区の上乗せ客土の厚さが増すはど低くなった。
  4. 床締め層の造成は、水稲根の旧作土への侵入を抑止する効果があるが、休閑期における土壌構造の発達によって経年的にその効果は徐々に低減するものと考えた。しかし、床締め土層下の旧作土は還元状態下にあるため、カドミウムの吸収は極めて小さいものと考えた。
  5. 床締め層のち密度は、湿っている状態では20cmに達しなかった。又、3年間、湿っている状態ではほぼ一定であった。

10.浄水汚泥の農業利用に関する研究(予報)物理・化学的特性について

戸田鉱一・戸波多美子・大森瑩一・安田典夫・広瀬和久・石川裕一・米野泰滋

  1. 浄水汚泥について、各種用土としての適性を知るため、工業用水道関係の3浄水場の汚泥の理化学性、有害物質の含量及び時期別変化等について検討した。
  2. 一般化学性については、一般耕土に比べて大きな差異はなく、採取時期による変化も用土としての均質性を阻害するほどではなかった。したがって、各種用土として十分利用しうる。しかし、窒素肥沃度が高く、燐酸吸収係数が大きいので、施肥面において多少留意する必要がある。
  3. 可溶性重金属類等については、マンガン、アルミニウムに問題があり、マンガンは伊坂・沢地の汚泥に、アルミニウムはすべての汚泥に含量が高い。したがって作物、用土、対策資材、あるいは汚泥処理法について検討の必要がある。
  4. 汚泥はいずれも微砂質埴壌土~壌土で、土塊の形状は、伊坂が団塊状で中小土塊が多く、沢地は果粒状で大きい。両者とも耐水性にすぐれている。土塊の形状、組成から、伊坂の汚泥は液相が多くて気相に乏しく、沢他の汚泥は、気相が過大で有効水分の少い嫌がある。しかし、両汚泥とも有機物等混合資材の質量を選ぶことにより各種用土として利用が可能である。しかし、これらの点に関しては、別途汚泥の処理法も含めて検討中である。
    なお、山村の汚泥については、角柱状の巨大土塊であるため、汚泥処理段階での問題が残っているが、これらについても今後検討を進める予定である。

11.原蚕飼育の省力化が産卵性に及ぼす影響

舘克之・石原林

原蚕飼育に糸繭飼育で行っている壮蚕(4~5令)の条桑育、簡易上蔟および機械収繭等一連の省力技術が原蚕の産卵性に及ばす影響について調査した。

  1. 原蚕飼育で壮蚕期を条桑育(1日2回給桑、無除沙)で飼育した結果、減蚕歩合が高くなり、単繭重、収繭量とも少く、種繭1kg当り卵量および蚕種製造箱数も少なかった。
  2. 原蚕の条桑育において、給桑回数を1日2回および3回と、蚕の飼育密度を80頭(5令最大期30cm2当り)および130頭について試験の結果、各給桑回数および飼育密度とも各区間に差はなかった。
  3. 原蚕における省力上蔟法の導入について、自然上蔟法は産卵性への影響はないが登蔟蚕歩合が低い場合が多く、実用化し難い。また、条払上蔟は産卵性への影響はなかった。
  4. 原蚕繭の収繭作業で、足踏収繭および動力毛羽取機を使用しても、産卵性への影響はなかった。

12.梱包サイレージの密度に関する研究 第2報二次発酵における梱包密度と添加剤の効果

坂本登・辻久郎

水分含量50%に予乾したイタリアンライダラスを用いて、梱包サイレージの梱包密度と諸形質の関係および二次発酵防止効果について検討した。またプロピオン酸ナトリウム0.3%添加と蟻酸カルシウム混合物0.25%添加の二次発酵防止効果についても検討した。
その結果、

  1. 梱包密度を高くすると、わずかにサイレージ中乳酸が増加し、pHが低下する傾向がある。しかし、サイレージ発酵品質は、どの梱包密度でも良質のものであった。
  2. 現物密度150kg/cm3(水分50%)のものを300kg/cm3にすると、二次発酵開始は40時間遅くなった。
  3. 蟻酸カルシウム混合物を添加した場合、無添加やプロピオン酸添加の場合より約50時間二次発酵開始が遅かった。

13.大麦穀実サイレージの肉豚への給与に関する研究

久松敏和・杉沢義民・佐久間一夫

肉豚に対するソフトグレインの利用方法を明らかにするため、ソフトグレインの粉砕、圧ペん、粒状による給与を行ない、発育、飼料の利用性、噂好性、栄養的価値、消化率、配合割合および枝肉に及ぼす影響等について検討した。

  1. ソフトグレインを粉砕して、検定飼料に対し20%代替給与(風乾物、水分14%換算)した結果、20%代替区が発育、飼料の利用性、嗜好性(1日平均飼料摂取量)とも、対照区に比較して優れていた。
  2. ソフトグレインを圧ペんして、20%およぴ40%代替給与した結果、発育は20%代替区が最も良く、次いで40%代替区となり、対照区より優れていた。飼料要求率では、代替区は対照区に及ばなかったが、嗜好性は優れていた。消化率については、対照区に比較し20%代替区、40%代替区の順に僅かに劣った。
  3. ソフトグレインの黄熟期刈(水分52%)と完熟期刈(水分42%)を全粒(粒状のまま)で20%代替給与した結果、発育は黄熟期刈の粒状区が最も発育の良い傾向を示し、完熟期刈の粒状区、圧ペん区は対照区とほぼ同様であった。飼料要求率は、対照区、庄ペん区、粒状区(完)、粒状区(黄)の順に高くなり、粒状区が劣る傾向を示した。供試飼料の消化率は、飼料要求率とはぼ同じ順序で低下した。嗜好性は粒状区(黄)、粒状区(完)、圧ペん区、対照区の順に劣った。
  4. ソフトグレインの利用に当って調理法は、発育の面では、差がなく、飼料の要求率、消化率の面からは全粒より圧ペん処理及び粉砕処理が良く、省力の面からは、全粒、次いて圧ペん処理、粉砕処理の順となった。特に圧ペん処理は水分40%程安でも処理可能であった。
  5. ソフトグレインの代替割合は、20%の代替が、発育、飼料要求率、消化率とも優れていた。ただし、ソフトグレインは低蛋白質飼料であるため、栄養補正が必要と考える。
  6. 枝肉に及ばす影響については、脂肪の厚さ、ハムの割合、肉質、脂肪の質等には有意な差は認められなかった。しかし、ソフトグレイン代替区は、肉色、脂肪の色、融点がやゝ優れている傾向が認められた。

14.養豚飼料の粒度の適正化

久松敏和・杉沢義民・和田健一・佐久間一夫

養豚用飼料における穀類の粉砕や粒度が、発育、飼料要求率、消化、栄養的価値、嗜好性、胃潰瘍等にどのような影響を及ぼすかについて、試験豚を子豚期(体重15kg~25kg)と若豚期(体重30kg~100kg)に分け、飼料の粒度は、微粒、中粒、粗粒に分けて検討した。

  1. 子豚期において1日平均増体重は、中粒区581gで微粒区556gに比較して多く、中粒の飼料が発育良好であった。
  2. 若豚期における1日平均増休重は、中位区739g、粗粒区717g、微粒区700gで、中粒区が発育の良い傾向を示した。
  3. 若豚期の1日平均飼料摂取量は、中粒区2.56kg、粗粒区2.54kgと微粒区2.81kgの間に有意な差があり、中粒、粗粒は微粒に比較して嗜好性は良くなった。
  4. 若豚期の飼料要求率は、粗粒区3.57、中粒区3.53と微粒区3.28の間に有意な差が認められ、微粒に比較して、中粒、粗粒は飼料の利用性が低いことを示した。
  5. 消化率については、有機物で微粒区81.6%、中粒区74.7%、粗粒区71.9%となり、各成分とも、粒度が大きくなるにしたがって、有意に消化率は低下した。
  6. 飼料の栄養価については、微粒区のTDNは69.4%、DCP12月7日%、中粒区はTDN65.0%、DCP11.3%、粗粒区TDN62.5%、DCP11.0%で消化率との関連において、粒状が大きくなるにしたがって低下した。
  7. 飼料の粒度と枝肉の詩形質と間には、有意な差が認められなかった。
  8. 胃潰瘍の発生については、敷料にオガ屑を使用したためか、微粒区に胃潰瘍の発生は認められなかった。
  9. 適切な粒度は、微粒と中粒の中間と考えられる。また、穀類の利用に当っては、粒状を最初から粉砕するのでなく、圧ペん等の加工を加え、消化率を低下させずに、形状は中粗程度に保った噂好性の長い飼料についても検討を要する。

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