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平成21年01月27日

研究報告第19号

1.伊勢平坦地域における水稲「コシヒカリ」栽培の窒素施肥法の確立とそのための栄養診断

北野順一・吉川重彦・山口干香子

伊勢平坦地域における早期栽培コシヒカリの生育時期別最適窒素含有量を明らかにするとともに、生育量による栄養診断法について検討した。

  1. 収量水準に応じた最適頴花数は、60kg/a水準では30,000~33,000粒/m2、66kg/a水準では35,000~37,000粒/m2であった。
  2. 各生育時期の窒素含有量と収量、m2当り穎花数および倒伏程度との間には有意な相関関係が認められ その関係は穂肥窒素施用量によって多少異なった。
  3. 最適穎花数からみた生育時期別の最適窒素含有量は、60kg/a水準では移植後40日1.8~2.3g/m2、穂首分化期3.7~4.6g/m2幼穂形成期4.5~6.0g/m2出穂期7.4~8.6g/m2 成熟期10.2~12.8g/m2、66kg/a水準では移植後40日2.5~2.9g/m2、穂首分化期5.0~5.4g/m2、幼穂形成期6.8~7.7g/m2出穂期9.1~10.3g/m2、成熟期12.6~14.0g/m2であった。
  4. 倒伏限界の窒素含有要は、移植後40日3.0g/m2穂首分化期5.2g/m2幼穂形成期7.5g/m2、出穂期10.2g/m2 成熟期14.0g/m2であった。
  5. 草丈×茎数×単葉葉色値と窒素含有量は相関が高く、移植後40日では次式によって窒素含有量が推定可能であった。
    Y=0.24+2.52×10-3×X
    Y:窒素含有量(g/m2
    X:草丈X茎数×単葉葉色(第2展開葉)(cm・本・102/m2
  6. 収量60kg/a水準における草丈×茎数×単葉葉色値の適正値は、移植後40日では85,000~104,000cm・本/m2、幼穂形成期では113,000~153,000cm・本/m2であった。また、倒伏程度が3以上となる値は、移植後40日では121,000cm・本/m2、幼穂形成期では172,000cm・本/m2であった。

2.水稲ヤマヒカリの胴割れ米発生に関する研究(第1報)胴割れ米発生の実態

渡辺公夫・児玉幸弘

ヤマヒカリの胴割れ米発生実態を調査、検討し以下の結果を得た。

  1. 胴割れ米の発生は、出穂早期が出穂期後30日頃、中、晩期で40日頃からみられ、出穂期の早いものはど全(軽+重)胴割れ粒率が高い傾向であった。
  2. 土壌との関係について、胴割れ粒の発生時期に大差はなかったが、胴割れ粒率については、礫質土壌で著しく高くなった。
  3. 全胴割れ粒発生時の出穂期からの日平均積算気温は、中粗粒質土壌で800℃程度、細粒質土壌で850℃程度であった。
  4. 軽胴割れ粒発生時の含水率は、籾26.8%、玄米25.0%であり、重胴割れ粒発生時の含水率は、籾24.8%、玄米22.4%と指定された。また、落水時期が早いほど、胴割れ粒率が高くなり、早期落水は、胴割れ発生を助長すると考えられた。
  5. 胴割れ米発生の品種間差異について、ヤマヒカリの胴割れ発生量は、明らかに多かった。

3.大豆不耕起播種栽培の機械化に関する研究(第1報)大豆不耕起播種機の開発

中西幸峰・横山幸徳

小麦跡大豆の生産安定のため、梅雨時に作業可能日数の確保し易い大豆不耕起播種栽培に注目し、その技術確立のため、大豆不耕起播種機を開発し、実用性を検討した。

  1. 種子繰出しは、ロール式より目皿式の方が種子の粒径に左右されにくく、作溝機構では、ディスク式より直刃ナタ爪の方が播種深度が安定した。
  2. ロータリ爪軸に作溝用直刃ナタ爪と麦株処理用L型爪を装着し、T式目皿式播種機(目皿部改良)を組み合わせ三重式大豆不耕起播種機(1号機)を試作した。
  3. 試作1号機の性能は、作業速度0.6m/sまでは、播種精度が確保され、能率も、圃場作業量0.20ha/時で、慣行耕起播種に比べて65%程度能率が向上した。麦株が10~20cmあっても、L型爪により処理可能で、播種精度は安定した。
  4. 土質及び麦稈散布条件下での適応性は、麦稈散布量が400kg/10a程度の細断均一散布であれば、適応可能な精度が得られた。
  5. 試作1号機の性能検討の結果を踏まえ、目皿の形式ゲージホイルの位置、L型爪の装着位置等を改良し試作2号機とした。
  6. 試作2号機の性能は、種子繰出し機構の改良により、作業速度0.9m/s程度まで適応可能となった。また、土質別適応可能土壌水分は、灰色低地土で60%(d.b.)、黒ボク土で53%程度、細粒黄色土(重粘土)で27%程度と推定された。麦稈散布条件下での適応性は散布量400kg/10a程度では適応可能であった。
  7. 不耕起播種時の所要動力は、耕起時の約半分となり12~13psのトラクタでも作業可能である。
  8. ロータリの汎用利用を進めるため、耕起・不耕起兼用の爪軸(ワンタッチ爪着脱機構を採用)を試作し作業切り換え時の省力化を図った。不耕起から耕起への爪交換時間は、約14分で可能となった。

4.トマトのロックウール栽培技術の確立

薮田信次・庄下正昭

トマトのロックウール栽培について次の結果を得た。

  1. 高温時のロックウール育苗は、鉢土育苗に比べ軟弱徒長しやすい。これは、ロックウールキューブの培地温が鉢土地温に比べて高く推移するためである。したがって、カンレイシャ被覆等により昇温防止策を講じる必要がある。
  2. ロックウール栽培は、土耕栽培に比べて生育が旺盛で増収となるが、異常茎、尻ぐされ果、黄化葉の発生がみられる。これらの発生は給液量の多少によって左右されるので給液量を1日1株あたり1リットル、排液率を15~20%程度とする管理を行う。
  3. ロックウールベッドの連用性は、トマト、キュウリを輪作することによって5連用程度までは可能である。
  4. ファースト系品種の検討では、ファーストビオーレは樹勢が安定し、秀品率も高く栽培しやすい品種である。

5.夏期の牛体冷房が乳牛の生理・生産面に及ぼす影響

濱口勇・余谷行義・伊藤雄一・大保紘一・柳原等

夏期の高温が生乳生産及び生理面に及ばす影響とスポット冷房及び熱交換プレート利用による冷水ジャケットの効果を明らかにするため、延12頭の乳牛を用い1988年から2年間にわたり試験を行った。その結果次のような知見を得た。

  1. 体温及び呼吸数は対照区でそれぞれ48.0℃、90回/分であったが、冷風区ではそれぞれ39.2℃、73回/分、冷水区ではそれぞれ38.9℃、59回/分となり、両区で体温及び呼吸数の増加抑制効果が認められた。
  2. 体重当たり乾物摂取量は各区間に差はなかった。
  3. 乳量は対照区と比較して冷風区で1.3~2.2kg/日(8~10%)、冷水区で2.0~2.6kg/日(9~13%)増加し、乳量減少抑制効果が認められた。しかし、乳質に差はなかった。
  4. 冷却能力は冷風区で2,000kcal/日/頭、冷水区で660kcal/日/頭となり、熱効率は1/3となった。

6.牛の胚移植技術に関する研究(第2報)超低温冷凍庫を用いた1段落ストロー法での牛胚の凍結

余谷行義・濱口勇・山田陽稔・西康裕・林美佐江セリナ

超低温冷凍庫内でのアルコールを利用した簡易凍結による1段階ストロー法での牛胚の凍結保存について、凍結条件や融解後の胚の生存性および直接移植による受胎率を検討し、次の結果を得た。

  1. 凍結条件は、超低温冷凍庫の庫内温度を-80℃に設定し、容量5mlのビーカーを用いたときに最も良好な冷却曲線が得られた。
  2. 凍結、融解後の培養では、21個の牛胚のうち7個が正常な発育をしただけで、生存率は33%と低率であった。また、凍結前の胚の形態においては、Aランクで胚のステージが進んでいるものほど生存率の高い傾向にあった。
  3. 凍結、融解後の直接移植では、11/22頭が受胎、分娩し、受胎率は50%であった。凍結前の胚のランク別では、Aランク胚で9/13頭が受胎し受胎率69%、Bランク胚で2/9頭が受胎し受胎率22%となり、Aランク胚で高い受胎率が得られた。
  4. 以上のことから、超低温冷凍庫を利用したアルコールによる凍結方法は、1段階ストロー法においても応用できることがわかり、凍結時の牛胚のステージ、ランクを充分に考慮すれば、高い受胎率を得ることが可能と考えられた。

7.鶏における間欠照明に関する研究

西口茂・出口裕二・水野隆夫

  1. 開放鶏舎におけるレイヤーの間欠照明
    採卵鶏に対する本試験は、開放鶏舎における朝、夕の点灯時間内での間欠照明が鶏の生産性に及ぼす影響について検討した。
    1. 産卵率は、暗期の時間を55分以上にすると、産卵後期における産卵率が低くなる傾向がみられた。
    2. 卵重は、各区とも差はなく、飼料摂取量は、明期が短縮されるほど減少する傾向がみられた。
    3. 飼料費求率は、暗期の挿入時間を55分以上に上げると低くなる結果となった。
    4. 卵殻強度、卵殻厚は、試験2において暗期の挿入時間を長くするにつれて優れる傾向がみられた。
    5. 経済性は、1万羽経営をモデルとして、電気料金を算出したところ、10L-50D区では対照区に比べて約6万5千円の節約となった。
    6. 以上のことから、開放鶏舎における産卵期の間欠照明は、明期を1時間周期で10分まで短縮しても産卵性を低下することなく、電気料の節減に加えて生産性の面からも有効な技術と考えられた。
  2. ウインドウレス鶏舎におけるブロイラーの間欠照明
    ブロイラーに対する本試験は、ウインドウレス鶏舎における間欠照明について飼料効率改善に有効な明暗比率の検討を目的として試験を実施した。
    1. 9週齢時体重は、対照区と各試験区間に大差はみられなかった。
    2. 飼料要求率は、対照区に比べ、わずかではあるが改善される傾向がみられた。
    3. 以上のことから、間欠照明は飼料効率改善に有効であり、照明方式は、明暗比率1:3すなわち1L-3D区が優れた。

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