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三重県議会 > 県議会の活動 > 本会議 > 議員提出条例 > 伊勢茶に親しむ暮らし推進条例 逐条解説案

伊勢茶に親しむ暮らし推進条例 逐条解説案

【前文】
 三重県におけるお茶の歴史は古く、平安時代には空海直伝の製茶法が伝わり、また、鎌倉時代には栄西が宋から持ち帰った茶樹の種を明恵みょうえが植えたとのいわれがある。その後、温暖で豊かな自然環境に恵まれた三重県はお茶の産地として知られ、室町時代には朝廷に献上され、江戸時代には伊勢商人により江戸をはじめ各地で伊勢茶が販売されたと記録されている。さらに、幕末から昭和にかけて日本茶の輸出に貢献し、「製茶王」、「茶聖」と称される大谷嘉兵衛をはじめ、三重県から我が国の茶業の発展に貢献する偉人を輩出している。
 また、伊勢茶はお伊勢参りとも関わりが深く、お伊勢参りを行う旅人に伊勢茶でもてなすとともに、御師おんしが各地で伊勢茶を土産物として配ったとされる。
 このように、豊かな自然、歴史及び文化に育まれた伊勢茶は、現代においても、県内の様々な地域において主要な農産物として生産されている。また、地域に広がる茶園はその地域の風土と合わさり、豊かな文化的景観を形成している。
 しかしながら、近年の食生活をはじめとする家庭での生活様式の変化等により、急須を用いてお茶に親しむ機会が減少している。これに伴い、国内における緑茶の消費量が減少する中で、伊勢茶を取り巻く環境は厳しい状況にある。
 一方で、和食文化の海外への広まりに伴い、抹茶をはじめとする緑茶の海外における需要が増進しているほか、国内外における新たな需要を開拓するため、和紅茶、機能性を有する緑茶等の開発又は生産が進むなど、伊勢茶の消費拡大に向けた気運の高まりもみられる。
 このような中、私たちは、将来にわたって、伊勢茶に親しむ日々の暮らし及び茶園のある景観が残るよう、和食文化及び伊賀焼、萬古焼等の茶器と併せて親しまれる伊勢茶の歴史と伝統が継承され、並びに新しい伊勢茶の親しみ方が創出されるようにしていく必要がある。そのためには、様々な場において伊勢茶に親しむことができる環境を整備し、並びに伊勢茶の価値の向上及び消費の拡大を図るとともに、歴史と伝統ある伊勢茶の知識の継承等と併せて、県民一人一人が伊勢茶に親しみ、愛着を持つことにより、伊勢茶に親しむ暮らしの推進を図っていかなければならない。
 ここに、私たちは、お茶の振興に関する法律と相まって、伊勢茶の振興のため、上記の理念の下に伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策を実施することにより、伊勢茶に親しむ暮らしの推進を図ることを決意し、この条例を制定する。
【趣旨】
 この条例の趣旨や理念を前文としてまとめています。
 まず、第一段落と第二段落では、最初に伊勢茶の伝来、お伊勢参りとの関係等のこれまでの伊勢茶の歴史について記しています。
 次に、第三段落から第五段落にかけて、伊勢茶の現状について記しており、近年の生活様式の変化等により、伊勢茶は厳しい状況にあるものの、消費拡大に向けた気運の高まりもみられるとしています。
 そして、第六段落と第七段落では、先述の伊勢茶の歴史、伊勢茶の現状等を踏まえ、この条例の趣旨及び理念を記した上で、条例制定の決意を明らかにしています。

【解説】
1 「お茶の振興に関する法律と相まって」
 平成23年に、茶業及び茶文化の振興を目的とする「お茶の振興に関する法律」が国において制定されています。そして、本県においても、これまでも同法に基づき、伊勢茶振興計画を策定するとともに、県内の茶業振興に関する施策を講じてきたところです。
 この条例は、伊勢茶に親しむ暮らしの推進を図り、究極的に伊勢茶の振興に寄与することを目的としているため、お茶の生産振興をはじめとする茶業振興に関する規定については、全て網羅的に規定されているわけではありません。一方で、本県としては、この条例に規定がないものについても、お茶の振興に関する法律、三重県食を担う農業の振興及び農村の活性化に関する条例等に基づき、お茶の生産振興をはじめとする茶業振興に関する施策を講じていくことが今後とも求められます。
 そして、この条例とお茶の振興に関する法律が相互補完的に作用することにより、伊勢茶の振興と県内茶業の発展の双方に寄与するという考え方を明らかにする意味で用いています。

   第一章 総則
 (目的)
第一条 この条例は、伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関し、基本理念を定め、及び県の責務等を明らかにするとともに、計画の策定その他の必要な事項を定めることにより、伊勢茶に親しむ暮らしの推進を図り、もって伊勢茶の振興に寄与することを目的とする。
【趣旨】
 本条は、本条例の目的を定めたものです。
 この条例の規定内容(達成手段)を前半部分において簡潔に要約した上で、後半部分においてこの条例の目指すべき目的について定めています。直接的には「伊勢茶に親しむ暮らしの推進を図ること」を目的としており、さらに、このことによって、より高次の目的である「伊勢茶の振興に寄与すること」が期待されます。

【解説】
1 「伊勢茶の普及の促進」
 この条例では、「伊勢茶の普及の促進」及び「伊勢茶に親しむ機会の確保」を、伊勢茶に親しむ暮らしの推進を図るための施策の2本柱としています。
 「伊勢茶の普及」とは、伊勢茶を県内外に広く行き渡らせることであり、これを促進する施策を講じることがこの条例における1つ目の柱となります。具体的には、第三条第一項及び第二項に、伊勢茶の普及の促進の基本理念を明記し、第三章の第十三条から第十七条までにこれに関する基本的施策を明記しています。

2 「伊勢茶に親しむ機会の確保」
 「伊勢茶に親しむ」とは、伊勢茶を飲むことだけでなく、色、香り等を含めて楽しむことであり、このような機会を確保する施策を講じることがこの条例の2つ目の柱となります。具体的には、第三条第三項に、伊勢茶に親しむ機会の確保の基本理念を明記し、第三章の第十八条及び第十九条にこれに関する基本的施策を明記しています。
 
 (定義)
第二条 この条例において「伊勢茶」とは、伊勢茶その他いかなる名称であるかを問わず、県内で生産された茶葉を用いたお茶をいう。
【趣旨】
 本条は、この条例に基づく施策の推進の対象である伊勢茶の定義を定めています。この条例における「伊勢茶」については、どのような商品名を用いるかを問わない、県内で生産された茶葉を用いたお茶の「総称」としての位置付けとした上で、三重県産のお茶全般を広く対象としています。

【解説】
1 「伊勢茶その他いかなる名称であるかを問わず、」
 三重県産のお茶が伊勢茶という商品名以外にも、県内各地の産地の名称を冠するもの、茶業者独自のブランドを用いるもの等、様々な商品名で販売され、又は提供されていることを踏まえ、どのような商品名を用いるかを問わない、県内で生産された茶葉を用いたお茶の「総称」としての位置付けであることを明らかにしています。なお、この部分における伊勢茶の表記については、商品名の例示です。

2 「県内で生産された茶葉を用いた」
 お茶の中でも三重県産の茶葉を用いるものに限定しています。県内で生産された荒茶が県外の事業者により仕上げられ、販売される事例もあることを踏まえ、加工、販売等について県内に限定していません。
 なお、三重県産の茶葉以外の原材料使用について限定をしていないため、例えば玄米茶、フレーバーティー等の三重県産の茶葉以外の物を添加したお茶も含まれます。
 また、県外産地の茶葉とブレンドしたお茶についても、基本的には含まれると解されます。ただし、商品名に県外産地の名称を冠するお茶などについては、基本理念の実現に資するとはいえないため、含まれないと考えられます。

3 「お茶」
 茶葉から抽出されるものが対象であり、緑茶(抹茶、玄米茶及びほうじ茶を含む。)のみならず、ウーロン茶、紅茶等も広く対象としています。一方で、麦茶、柿の葉茶等といった茶葉を用いないものは対象となりません。

4 本条例における伊勢茶と登録商標との関係
 伊勢茶の名称は、平成19年に特定の茶業団体1が商標権者となり、商標法の規定に基づき、指定商品を「三重県産の緑茶」とし、地域団体商標の商標登録をしています。
 趣旨に記載のとおり、この条例における伊勢茶はこの条例に基づく施策の推進の対象を定めるものであることから、緑茶に限定していないなど、商標登録されている伊勢茶とはその定義が異なっています。
 仮に、この条例における伊勢茶の定義に合致していたとしても、「伊勢茶」の名称を、茶業者等が商品やその包装に付するなどして使用する場合には、商標法の規定に基づき、三重県茶業会議所が定める「伊勢茶ガイドライン」に適合することを要し、商標権者から許諾を得る必要があります。

1 全国農業協同組合連合会、三重茶農業協同組合及び三重県茶商工業協同組合
 
(参考)特許庁の地域団体商標(地域ブランド)認定登録に伴う「伊勢茶商標」の取り扱いについて(平成19年3月26日 三重県茶業会議所役員会決定)(平成28年3月18日 三重県茶業会議所役員会修正)[抄]

2.伊勢茶商標を使用できる茶商品の原材料
 伊勢茶商標を使用できる茶商品の原材料は、次の「伊勢茶ガイドライン」に適合するものでなければならない。
伊勢茶ガイドライン(三重県茶業会議所自主規定)
「生産条件」
*各号の全てに該当すること。
①三重県内で生産された緑茶であること。
②天然自然の茶であること。
③農薬使用基準、施肥基準に準拠して栽培生産された茶で、生産履歴が明らかな茶であること。
「流通条件」
*各号の全てに該当すること。
①三重県内で生産された茶以外の茶がブレンドされていない緑茶であること。
②天然自然の茶であること。
③JAS法、食品衛生法等を遵守した表示が行なわれ、生産加工の履歴が明らかな茶であること。
 
 (基本理念)
第三条 伊勢茶の普及の促進は、伊勢茶が県内における主要な農産物であることに鑑み、県内の飲食店、旅館、学校、家庭、地域その他の様々な場において、伊勢茶に親しむ環境を整備することを旨として行わなければならない。
2 伊勢茶の普及の促進は、県内外において、伊勢茶の価値の向上及び消費の拡大が図られることを旨として行われなければならない。
3 伊勢茶に親しむ機会の確保は、伊勢茶の伝統と文化に関する知識等の普及と併せて、県民が伊勢茶に愛着を持つことにつながることを旨として行われなければならない。
【趣旨】
 本条は、前文及び第一条の規定内容も踏まえて、伊勢茶に親しむ暮らしの推進に向けて、施策の方向性についての基本的な考え方を定めたものです。そのうち、第一項及び第二項は「伊勢茶の普及の促進」に関する施策について、第三項は「伊勢茶に親しむ機会の確保」に関する施策についての基本理念を定めています。
 第四条に規定しているとおり、県がこの条例に基づく計画を策定し、及び施策を実施するに当たっては、この基本理念の趣旨に従って行う必要があります。また、茶業者等の関係者はこの基本理念の実現に向けて努力することが期待されます。

(参照)
「伊勢茶の普及の促進」、「伊勢茶に親しむ機会の確保」
 「伊勢茶の普及の促進」及び「伊勢茶に親しむ機会の確保」については、第一条の【解説】1及び2を参照のこと。

 
 (県の責務)
第四条 県は、前条の基本理念(以下単に「基本理念」という。)にのっとり、伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。
【趣旨】
 本条は、伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策に係る県の責務として、第三条の基本理念にのっとり、施策の総合的かつ計画的な策定及び実施を定めたものです。

【解説】
1 「伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策」
 具体的には、第三章に規定されている諸施策を指します。

2 「総合的かつ計画的に策定し、及び実施する」
 具体的には、第十二条に基づく伊勢茶に親しむ暮らしの推進に関する計画を策定し、及び第三章に規定されている諸施策を実施することが求められます。

(参照)
「伊勢茶の普及の促進」、「伊勢茶に親しむ機会の確保」
 「伊勢茶の普及の促進」及び「伊勢茶に親しむ機会の確保」については、第一条の【解説】1及び2を参照のこと。

 
 (茶業者の役割)
第五条 伊勢茶の生産、加工又は販売の事業(以下この条において「茶業」という。)を営む者(以下「茶業者」という。)は、茶業及びこれに関連する活動を行うに当たっては、基本理念の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。
【趣旨】
 本条は、伊勢茶に親しむ暮らしの推進を図る上で茶業者の果たすべき役割は重要であることから、県の施策を受けるだけでなく、第三条の基本理念の実現に向けて、主体的に取り組むよう努めることが求められるという茶業者の役割を明らかにしたものです。

【解説】
1 「茶業」、「茶業者」
 伊勢茶をこの条例に基づく施策の推進の対象としているため、以下の規定において、伊勢茶の生産から販売までの工程に関わる事業を「茶業」とし、これらの事業を営む者を「茶業者」としています。
 なお、お茶の生産から販売までの過程には様々な工程がありますが、お茶の振興に関する法律に倣い、これらの工程をまとめて「生産、加工又は販売」としています。

2 「主体的に」
 茶業者が「主体的に」取り組むよう努めるとは、第三条の基本理念の実現のためには、県・市町の努力に加え、茶業者が伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保について、自らの営む事業やこれに関連する活動において取り組むよう努力していくことが必要であることを示しています。
 
 (茶業団体の役割)
第六条 茶業者が組織する団体(以下「茶業団体」という。)は、その行う茶業者、県民又は消費者のための活動が、基本理念の実現に重要な役割を果たすものであることに鑑み、これらの活動に積極的に取り組むよう努めるものとする。
【趣旨】
 第三条の基本理念を実現するためには、伊勢茶等による乾杯の取組、伊勢茶の普及宣伝、様々な場における伊勢茶に親しむ機会の提供、伊勢茶学に基づく食育活動等の取組が重要となっています。一方、これらの取組は、個々の茶業者だけでは対応が困難なものもあることから、茶業団体の役割が重要だと考えられます。
 そのため、本条は、茶業団体が行う様々な活動が基本理念の実現に重要な役割を果たすことに鑑み、積極的に取り組むよう努力することが求められるという茶業団体の役割を明らかにしたものです。

【解説】
1 「茶業団体」
 茶業者が直接又は間接に構成員となる団体であり、伊勢茶の振興に重要な役割を果たすのであれば、広く対象となることが想定されます。例えば、三重県茶業会議所、三重県茶商工業協同組合、三重茶農業協同組合、県内各地域の農業協同組合、各市町地区における茶業組合等といった県内の団体のほかにも、全国農業協同組合連合会といった全国組織等も含まれると解されます。

「茶業者」
 「茶業者」については、第五条の【解説】1を参照のこと。

 
 (飲食店営業者等の役割)
第七条 飲食店営業、旅館業等を営む者(以下「飲食店営業者等」という。)は、その事業において伊勢茶又は伊勢茶を活用した飲食物(以下「伊勢茶等」という。)を販売し、又は提供することが、伊勢茶の普及に重要な役割を果たすものであることに鑑み、これらの活動に積極的に取り組むよう努めるものとする。
【趣旨】
 本条は、飲食店営業、旅館業等といった飲食を提供する事業において、伊勢茶等の販売し、又は提供することが、伊勢茶の普及に重要な役割を果たすことに鑑み、伊勢茶等の販売等の活動に積極的に取り組むよう努力することが求められるという飲食店営業者等の役割を明らかにしたものです。

【解説】
1 「飲食店営業者等」
 具体的には、レストラン、カフェ等のほか、宴会場等を有するホテルといった飲食を提供する事業を営む者全般が含まれます。

2 「伊勢茶を活用した飲食物」、「伊勢茶等」
 「伊勢茶を活用した飲食物」とは、伊勢茶と酒類、牛乳、炭酸水その他のお茶以外の飲料とを混合した飲料、粉末状の伊勢茶を添加した食品等といったもの全般が対象となります。
 また、以下の規定において、伊勢茶又は伊勢茶を活用した飲食物を総称して「伊勢茶等」と表記しています。

3 「販売し、又は提供する」
 「販売」とは伊勢茶又は伊勢茶を活用した飲食物を、テイクアウト、物販等といった商品として販売することを指し、「提供」とは伊勢茶又は伊勢茶を活用した飲食物を料理として提供するなど、役務(サービス)として提供することを指します。また、「販売し、又は提供する」とは、そのいずれも含むものです。
 
 (茶業者等への支援)
第八条 県は、伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策を講ずるに当たっては、茶業者、茶業団体及び飲食店営業者等がする自主的な努力を支援することを旨とするものとする。
【趣旨】
 本条は、第五条、第六条及び第七条の規定を受けて、県が施策を講じる上での基本的な考え方として、茶業者、茶業団体及び飲食店等営業者等が本条例の基本理念等の実現に向けた自主的かつ積極的な取組を行うことに対し、県として支援する旨を明らかにしたものです。具体的には、第三章に規定する諸施策を講じるに当たって、この考え方に留意することが求められます。

【解説】
1 「自主的な努力」
 「自主的な努力」とは、伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に向けて、自らの意志で自発的に取り組むことを指します。

(参照)
「伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策」
 「伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策」については、第四条の【解説】1を参照のこと。
「茶業者」
 「茶業者」については、第五条の【解説】1を参照のこと。
「茶業団体」
 「茶業団体」については、第六条の【解説】1を参照のこと。
「飲食店営業者等」
 「飲食店営業者等」については、第七条の【解説】1を参照のこと。

 
 (県民の協力等)
第九条 県民は、基本理念にのっとり、県が実施する伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策に協力するとともに、伊勢茶に親しむ機会の確保に資する活動に参加するよう努めるものとする。
【趣旨】
 伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策を実施するとともに、伊勢茶に親しむ機会の確保に資する活動を促進していくに当たっては、伊勢茶の消費者となる県民の協力が重要です。
 こうしたことから、本条は、①県が実施する伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策への協力、②伊勢茶に親しむ機会の確保に資する活動への参加の2点について努力することが求められるという県民の役割を明らかにしたものです。

【解説】
1 「伊勢茶に親しむ機会の確保に資する活動」
 「伊勢茶に親しむ機会の確保に資する活動」とは、この条例の柱である伊勢茶に親しむ機会の確保の実現に向けた活動全般を指します。具体的には、個人で伊勢茶を積極的に持参すること、飲食店等において伊勢茶で乾杯を行うことだけでなく、茶摘み、お茶の淹れ方教室等の体験活動、伊勢茶の歴史若しくは特長、お茶の効能又は茶文化に関する学習なども含まれると考えられます。
 そのため、県民に期待される役割としては、伊勢茶に親しむ機会に参加することのみならず、伊勢茶に親しむ機会を提供する活動に参加すること等も含まれます。

(参照)
「伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策」
 「伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策」については、第四条の【解説】1を参照のこと。

 
 (市町との協働)
第十条 県は、市町が実施する伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策又は事業について必要な協力を行うものとする。
【趣旨】
 伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策を実施するに当たっては、同種の施策又は事業を実施している市町との協働が重要です。
 こうしたことから、本条は、県と市町との協働として、県が市町が実施する施策又は事業について必要な協力を行うことを明らかにしたものです。

【解説】
1 「市町が実施する伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策又は事業」
 市町が講じる伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策とともに、市町自らが実施するこれらの事業についても協力の対象としています。

(参照)
「伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策」
 「伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策」については、第四条の【解説】1を参照のこと。

 
 (県、茶業者等との相互の連携協力体制の整備)
第十一条 県は、伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策を効果的に実施するため、県、市町、茶業者、茶業団体、飲食店営業者等その他の関係者相互間の連携協力体制の整備に努めるものとする。
【趣旨】
 伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策を実施するに当たっては、県、市町、茶業者、茶業団体、飲食店営業者等を含めた幅広い関係者間での連携や協力が重要です。
 こうしたことから、本条は、伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策を効果的に実施するための関係者相互間の連携協力体制の整備を図ることを県の責務として定めたものです。具体的には、関係者相互間での取組に関する意見交換会の実施、この条例の規定に基づく施策の推進、進捗管理等について関係者間で協議する場の設定等が想定されます。

【解説】
1 「県、市町、茶業者、飲食店営業者等その他の関係者」
 県、市町、茶業者、茶業団体、飲食店営業者等のほか、施策の推進に当たって関係する者であれば、広く対象となります。

(参照)
「伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策」
 「飲食店営業者等」については、第七条の【解説】1を参照のこと。
「伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策」
 「伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策」については、第四条の【解説】1を参照のこと。
「茶業者」
 「茶業者」については、第五条の【解説】1を参照のこと。
「茶業団体」
 「茶業団体」については、第六条の【解説】1を参照のこと。
「飲食店営業者等」
 「飲食店営業者等」については、第七条の【解説】1を参照のこと。


   第二章 伊勢茶に親しむ暮らしの推進に関する計画
第十二条 県は、伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、伊勢茶に親しむ暮らしの推進に関する計画(以下この条において「推進計画」という。)を定めるものとする。
2 推進計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
 一 伊勢茶に親しむ暮らしの推進の基本的な方向に関する事項
 二 伊勢茶の普及の促進のための施策に関する事項
 三 伊勢茶に親しむ機会の確保のための施策に関する事項
 四 その他伊勢茶に親しむ暮らしの推進に関し必要な事項
3 推進計画は、お茶の振興に関する法律(平成二十三年法律第二十一号)第三条第一項に規定する振興計画と一体のものとして作成することができる。
4 県は、推進計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
【趣旨】
 県は、伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策について、総合的かつ計画的に推進するため、伊勢茶に親しむ暮らしの推進に関する計画を定めるものとすることとします。なお、以下この条において、この計画を「推進計画」と表記しています。
 推進計画に具体的に定めるべき内容については、伊勢茶に親しむ暮らしの推進の基本的な方向に関すること、伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する施策に関すること等としています。
 さらに、これらの内容はお茶の振興に関する法律第三条第一項の規定により、都道府県が策定するよう努めることとされている振興計画の内容に関連する部分もあると考えられることから、推進計画と振興計画を一体のものとして作成できるものとしています。また、推進計画を作成するに当たっては、三重県食を担う農業の振興及び農村の活性化に関する条例第九条に規定する基本計画その他の県が定める他の計画とも整合を図ることが求められると考えられます。
 そのほか、推進計画の策定・変更に当たっての公表について規定しています。

【解説】
1 「お茶の振興に関する法律第三条第一項に規定する振興計画」
 お茶の振興に関する法律第三条第一項において、都道府県に対し、農林水産大臣が定める茶業及びお茶の文化の振興に関する基本方針に即し、当該都道府県における茶業及びお茶の文化の振興に関する計画を定める努力義務が規定されています。本県では、令和3年12月に「伊勢茶振興計画~愛ある伊勢茶元気プラン~」を策定しています。同計画の内容としては、茶業振興に向けた取組を網羅的に記載しつつ、「所得向上」と「消費拡大」の両輪で取組を進めることとしています。
 そこで、推進計画とお茶の振興に関する法律に基づく振興計画を一体のものとして作成するなど、これらの計画の内容について相互に調和を図ることにより、伊勢茶に親しむ暮らしの推進及び県内の茶業振興に関する施策を一体かつ計画的に実施することが期待されます。
〇お茶の振興に関する法律(平成23年法律第21号)
 (振興計画)
第三条 都道府県は、基本方針に即し、当該都道府県における茶業及びお茶の文化の振興に関する計画(以下「振興計画」という。)を定めるよう努めなければならない。
2 都道府県は、振興計画を定めるに当たってお茶の需給事情を把握するため必要があると認めるときは、茶業団体その他の関係者に対し、資料の提出その他必要な協力を求めることができる。
3 都道府県は、振興計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

(参照)
「伊勢茶の普及の促進」、「伊勢茶に親しむ機会の確保」
 「伊勢茶の普及の促進」及び「伊勢茶に親しむ機会の確保」については、第一条の【解説】1及び2を参照のこと。


   第三章 基本的施策
 (飲食店営業者等による伊勢茶等の販売等の促進)
第十三条 県は、飲食店営業者等による伊勢茶等の販売又は提供(以下「販売等」という。)を促進するため、必要な支援を行うよう努めるものとする。
【趣旨】
 本条は、多くの飲食店、旅館等において伊勢茶等を販売し、又は提供することが伊勢茶の普及の促進に資すると考えられることから、県が飲食店営業者等による伊勢茶等の販売又は提供の促進のため、必要な支援を行うよう努めることを定めたものです。
 具体的な支援措置としては、伊勢茶の普及に向けた取組に関する飲食店事業者等との意見交換会の実施、飲食店等での伊勢茶や伊勢茶を活用したメニューの提供の拡大に向けた支援等が想定されます。

【解説】
1 「販売等」
 以下の規定において、販売又は提供を総称して「販売等」と表記しています。

(参照)
「飲食店営業者等」
 「飲食店営業者等」については、第七条の【解説】1を参照のこと。
「伊勢茶等」
 「伊勢茶等」については、第七条の【解説】2を参照のこと。
「販売」、「提供」
 「販売」及び「提供」については、第七条の【解説】3を参照のこと。

 
 (伊勢茶又は伊勢茶を活用した飲料による乾杯の取組の促進)
第十四条 県は、市町、茶業者、茶業団体及び飲食店営業者等と相互に緊密な連携協力を図りながら、伊勢茶又は伊勢茶を活用した飲料による乾杯の取組を促進するよう努めるものとする。
【趣旨】
 本条は、伊勢茶又は伊勢茶を活用した飲料による乾杯の取組により、飲食店等における伊勢茶の普及の促進に資することが期待されるため、県が伊勢茶又は伊勢茶を活用した飲料による乾杯の取組を促進するよう努めることを定めたものです。
 また、このような乾杯の取組の促進には、県だけでなく、市町や事業者との緊密な連携協力が必要であると考えられることから、市町、茶業者、茶業団体及び飲食店営業者等と相互に緊密な連携協力を図りながら、推進することとしています。

【解説】
1 「伊勢茶を活用した飲料」
 乾杯の取組を促進する規定であるため、他の規定と異なり、本条では伊勢茶を活用した食品は対象としていません。具体的には、伊勢茶と酒類、牛乳、炭酸水その他のお茶以外の飲料とを混合した飲料が対象となります。

(参照)
「茶業者」
 「茶業者」については、第五条の【解説】1を参照のこと。
「茶業団体」
 「茶業団体」については、第六条の【解説】1を参照のこと。
「飲食店営業者等」
 「飲食店営業者等」については、第七条の【解説】1を参照のこと。

 
 (伊勢茶等の普及宣伝等)
第十五条 県は、伊勢茶等の普及の促進を図るため、県内外における伊勢茶等に関する情報の提供及び普及宣伝の取組を自ら行うとともに、当該取組を行う者に対する支援を行うよう努めるものとする。
2 県は、前項の取組を自ら行い、及び同項の支援を行うに当たっては、茶器その他県内の特産物と組み合わせた伊勢茶等の販売等について適切な配慮を行うよう努めるものとする。
【趣旨】
 本条第一項は、伊勢茶等の普及の促進を図るため、県内外において、県自らが伊勢茶等の情報発信及び普及宣伝の取組を行うとともに、伊勢茶等の情報発信及び普及宣伝の取組を行う者に対する支援を行うよう努めることを定めたものです。
 具体的には、県による伊勢茶の特長、歴史、食文化等の情報発信や県内外での様々なイベントなどを通じたPR活動などが想定されます。また、県の取組だけでなく、茶業者や茶業団体が行う情報発信やPR活動も非常に重要であるため、これらの者との連携協力のもと、PR活動の場の提供等の支援を行うことも想定されます。
 また、茶器その他県内の特産物と組み合わせた商品の販売やサービスの提供が伊勢茶の普及に一層の効果があると考えられることなどから、本条第二項は、県が情報発信やPR活動を自ら行い、また同種の取組の支援を行う上で、特産物と組み合わせた伊勢茶等の販売等について適切な配慮を行うよう努めることを定めたものです。

【解説】
1 「茶器その他県内の特産物と組み合わせた」
 県内の特産物とのいわゆるコラボ商品やコラボサービスを指します。具体的には、伊賀焼、萬古焼等の県内で生産された茶器で伊勢茶を提供することや、県内で作られた和菓子等とのペアリング商品を販売することが想定されます。

(参照)
「伊勢茶等」
 「伊勢茶等」については、第七条の【解説】2を参照のこと。
「販売等」
 「販売等」については、第十三条の【解説】1を参照のこと。

 
 (伊勢茶の新たな需要の開拓の促進)
第十六条 県は、新たな伊勢茶等の開発、生産、加工又は販売等その他の伊勢茶の新たな需要の開拓に資する取組を促進するため、必要な支援を行うよう努めるものとする。
2 県は、前項の支援を行うに当たっては、伊勢茶の新たな生産の方式の導入、伊勢茶の生産者による伊勢茶等の販売等その他の伊勢茶の生産者が行う新たな需要の開拓に資する取組について適切な配慮をしなければならない。
【趣旨】
 今後、伊勢茶の普及の促進を図るためには、消費のニーズを新たに開拓する取組が重要であると考えられます。このため、本条第一項は、伊勢茶の新たな需要の開拓に資する取組を促進するため、県が必要な支援を行うよう努めることを定めたものです。
 また、生産振興の重要性から、本条第二項は、上記の支援を行うに当たっては、消費者のニーズに対応した伊勢茶の生産方式への転換、生産者による伊勢茶の直売、茶農家カフェでの伊勢茶の提供など、生産者が行う取組については、特に配慮しなければならないことを定めたものです。

【解説】
〔第一項関係〕
1 「伊勢茶の新たな需要の開拓に資する取組」
 伊勢茶等の開発から販売又は提供までの過程における取組が幅広く対象となります。新たな需要の開拓に資する取組の具体例としては、条文上に例示として挙げている「新たな伊勢茶等の開発、生産、加工又は販売等」のほか、産地における伊勢茶ツーリズム等も含まれます。

〔第二項関係〕
2 「伊勢茶の新たな生産の方式の導入、伊勢茶の生産者による伊勢茶等の販売等その他の伊勢茶の生産者が行う新たな需要の開拓に資する取組」
 1で解説している「伊勢茶の新たな需要の開拓に資する取組」のうち、伊勢茶の生産者が行う取組に限定しています。この取組は、支援に当たって県が特に配慮しなければならないものになります。
 条文上に例示されている「伊勢茶の新たな生産の方式の導入」とは、味、香り等の向上が期待される茶樹への改植、被覆栽培の導入等の新たな需要の開拓に資するよう生産の方式を新たに導入することを意味します。また、「伊勢茶の生産者による伊勢茶等の販売等」とは、生産者による伊勢茶の直売、茶農家カフェでの伊勢茶の提供等の取組を想定しています。

(参照)
「伊勢茶等」
 「伊勢茶等」については、第七条の【解説】2を参照のこと。
「販売等」
 「販売等」については、第十三条の【解説】1を参照のこと。

 
 (伊勢茶の輸出の促進)
第十七条 県は、海外市場の開拓等が伊勢茶の需要の増進に資することに鑑み、輸出に向けた体制の整備その他伊勢茶の輸出を促進するための措置を講ずるよう努めるものとする。
【趣旨】
 海外では抹茶をはじめとする緑茶の需要が高まっていることから、海外市場の開拓等により、伊勢茶の需要を増進することが期待されます。このことに鑑み、輸出に向けた体制の整備その他伊勢茶の輸出を促進するための措置を県が講ずるよう努めることを定めています。具体的には、本条に例示している輸出に向けた体制の整備のほか、海外輸出が可能な栽培方法の指導、海外での販路の開拓に対する支援などが想定されます。
 
 (学校、家庭、地域等における伊勢茶に親しむ機会の確保)
第十八条 県は、学校の設置者(県を除く。)等と連携し、学校において児童、生徒等に対して、伊勢茶に関する体験活動及び学習の機会の提供その他伊勢茶に親しむ機会の確保に資する活動が行われるよう必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 県は、家庭、地域等における伊勢茶に親しむ機会の確保に資する活動を促進するため、必要な支援を行うよう努めるものとする。
【趣旨】
 本条は、伊勢茶に親しむ機会を確保するため、県が取り組むべき事項について規定しています。
 本条第一項では、学校の設置者等と連携し、学校において児童、生徒等に対して、茶摘み、お茶の淹れ方教室等の体験活動、伊勢茶の歴史若しくは特長、お茶の効能又は茶文化に関する学習の機会の提供その他の伊勢茶に親しむ機会の確保に資する活動が行われるよう必要な措置を県が講ずるよう努めることを定めています。
 本条第二項では、家庭、地域等様々な場における伊勢茶に親しむ機会の確保に資する活動を促進するため、日本茶アドバイザー、日本茶インストラクター等の人材育成のための取組への支援など、このような活動に対し、県が必要な支援を行うよう努めることを定めています。

【解説】
1 「学校の設置者(県を除く。)等」
 「学校の設置者」とは、学校教育法第二条第一項に規定する者のことであり、国(国立大学法人及び独立行政法人国立高等専門学校機構を含む。)、地方公共団体(公立大学法人を含む。)及び学校法人を指します。
 なお、県が設置者となる県立学校においては、県自らが主体的にこの項に基づく措置を講ずるよう努めることが求められるため、連携の相手方となる学校の設置者から県を除外しています。
 また、「学校の設置者等」には、上記の学校の設置者のほか、茶業者その他の住民、当該学校に在籍する生徒、児童等の保護者等が想定されます。

(参照)
「伊勢茶に親しむ機会の確保に資する活動」
 「伊勢茶に親しむ機会の確保に資する活動」については、第九条の【解説】2を参照のこと。

 
 (伊勢茶学に基づく食育の推進)
第十九条 県は、伊勢茶が県内において豊かな伝統と文化を有するものであることに鑑み、伊勢茶に関する郷土の歴史、文化等についての啓発及び知識の普及その他の伊勢茶学(伊勢茶の伝統と文化に関する知見をいう。)に基づく食育の推進を図るよう努めるものとする。
【趣旨】
 三重県では古くからお茶が生産されてきており、大谷嘉兵衛などお茶に関する偉人を輩出するなど、伊勢茶に関する郷土の歴史、文化等が地域に残されています。このような郷土の歴史、文化等を将来に受け継ぐとともに、伊勢茶に対する愛着を高め、伊勢茶に親しむ機会の確保につなげるため、本条は、県が伊勢茶学に基づく食育の推進を図るよう努めることを定めています。具体的には、伊勢茶学を分かりやすく伝える教材、啓発用資料等を用いて、学校、家庭、地域等での伊勢茶に関する歴史、文化等を学ぶ機会を提供すること等が想定されます。

【解説】
1 「伊勢茶学」
 一般に用いられる用語ではありませんが、この条例において「伊勢茶学」とは、「伊勢茶の伝統と文化に関する知見」を指します。三重県には、伊勢茶に関する歴史、伝統及び文化が地域に根付いていますが、これらの知識又は見識を総合的にまとめたものとなります。
 
 (顕彰)
第二十条 県は、伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に寄与した者の顕彰に努めるものとする。
【趣旨】
 本条は、伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関する顕彰について定めたものです。具体的には、伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に寄与した者に対する表彰制度の創設や伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関するコンクールの開催などが想定されます。

【解説】
1 「伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に寄与した者」
 伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に寄与した者」としては、伊勢茶の普及に積極的に取り組んでいる茶業者、伊勢茶に親しむ機会の確保に積極的に取り組んでいる日本茶アドバイザー、日本茶インストラクター等のほか、伊勢茶の普及の促進及び伊勢茶に親しむ機会の確保に関するコンクールの入賞者などが想定されます。
 
 (伊勢茶初摘みの日)
第二十一条 県民の伊勢茶に親しむ気運を高めるため、伊勢茶初摘みの日を設ける。
2 伊勢茶初摘みの日は、八十八夜とする。
3 県は、四月二十九日から五月三十日までの期間において、伊勢茶初摘みの日の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めるものとする。
【趣旨】
 県民の伊勢茶に親しむ気運を高めるため、新茶の初摘みの時期で知られる八十八夜を伊勢茶初摘みの日とすることを定めています。
 また、この時期の前後から新茶が出回り、消費者の認知度も高いことから、県は、伊勢茶初摘みの日の前後である4月29日から5月30日までの期間において、県民の伊勢茶に親しむ気運を高める趣旨の事業を実施するよう努めることとしています。具体的には、茶業者、茶業団体、飲食店営業者等との連携協力により、伊勢茶の普及宣伝の取組、飲食店での伊勢茶の乾杯の促進などを行うことが想定されます。

【解説】
1 「八十八夜」
 八十八夜は雑節の一つであり、立春(2月4日頃)から起算して88日目の日を指します。そのため、おおむね5月2日が八十八夜になりますが、年によってその期日は変動します。
 八十八夜の時期には、温暖で霜が降りることがほとんどなくなり、日照時間も長くなることから、お茶の新芽が出そろう時期です。そして、この時期にその年に初めて摘まれたお茶は「新茶」又は「一番茶」と呼ばれ、栄養が豊富で味や香りも良いとされています。さらに、八十八夜には末広がりの「八」が二つあることから縁起が良いとされ、この時期に摘んだお茶を飲むと、長生きするとの言い伝えもあります。
 また、「夏も近づく八十八夜」の歌出しで知られる文部省唱歌「茶摘み」は、この時期にみられる日本の伝統的な茶摘みの風景を歌ったもので、今でも愛されているなど、お茶と八十八夜は深いつながりがあります。
 そのため、こうした由来を踏まえ、県民の伊勢茶に親しむ気運を高めるためにふさわしい時期であることから、八十八夜を伊勢茶初摘みの日としています。
 なお、具体的にその年の八十八夜がどの日に当たるかは、その年の前年2月に国立天文台が公表する「暦要項」によって特定することとなります。なお、国民の祝日である春分の日及び秋分の日も同様に、「暦要項」の公表によってその年における春分の日及び秋分の日が特定するといった運用がとられています。
 
 (伊勢茶に親しむ月間)
第二十二条 伊勢茶について県民の関心と理解を深めるため、伊勢茶に親しむ月間を設ける。
2 伊勢茶に親しむ月間は、十一月とする。
3 県は、伊勢茶に親しむ月間において、その趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めるものとする。
【趣旨】
 伊勢茶について県民の関心と理解を深めるため、茶業団体関連のイベントや文化的なイベントの開催が多い時期である11月を伊勢茶に親しむ月間とすることを定めています。
 特に、11月8日は、明治32年のこの日に大谷嘉兵衛が日本の茶産業の代表として、当時の米国のマッキンレー大統領に、日本茶に対する高関税の撤廃について直談判した日です。当時の米国は、日本茶に対し、非常に高い関税を課しており、当時その多くを米国等に輸出していた伊勢茶は米国の高関税により非常な困難に直面していました。しかし、大谷嘉兵衛による直談判を機に、米国は明治36年に日本茶に対する高関税を撤廃したことから、伊勢茶などの日本茶の輸出は再び増加し、伊勢茶は危機を克服し、更なる国際展開をすることに成功しました。
 こうした歴史的背景等を踏まえ、県は、伊勢茶に親しむ月間において、伊勢茶について県民の関心と理解を深める趣旨の事業を実施するよう努めることとしています。具体的には、茶業者、茶業団体、飲食店営業者等との連携協力により、伊勢茶に親しむ機会の提供や伊勢茶学に基づく食育の推進などの取組を行うことが想定されます。
 このほか、10月31日は、臨済宗の開祖・栄西が、中国・宋から茶樹の種子を1191年のこの日に持ち帰ったとされることから、「日本茶の日」とされます(制定者不明)。こうしたことから、10月31日から連続した事業を行うことも考えられます。

     附 則
 この条例は、令和八年四月一日から施行する。
【趣旨】
 本項は、本条例の施行期日について定めたものであり、令和8年4月1日から施行することとしています。
 
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