新過疎対策法の制定を求める意見書
過疎地域は、人口の著しい減少に伴って地域社会における活力が低下し、生産機能及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にあり、現行過疎法では、三重県内7市町が指定されている。
昭和45年に「過疎地域対策緊急措置法」が制定されて以来、過疎地域に対しては、3次にわたる特別措置法の制定により、地域格差是正のため38年間取り組んできたところであり、一定の成果も見られている。
しかしながら、過疎地域の公共的施設の整備水準は総じて低位にあるほか、高齢化率が50%を超える集落の発生や、さらに人口が減少することに伴いコミュニティ機能が崩壊するおそれがあるなど新たな課題が発生しており、過疎地域の問題は、一層深刻な状況に直面している。
一方で、過疎地域は、森林資源の管理や洪水などの自然災害の抑止等の国土保全、食料供給あるいは良好な景観の形成や我が国固有の歴史・文化の承継など、多くの公益的機能を有している。
このため、国全体としても過疎地域の環境が良好に維持・管理されていくことが不可欠であり、過疎地域の衰退は、すなわち国土の弱体化につながり、都市部の維持・発展のためにも過疎地域の持続的な振興は国家的課題であるといえる。
このような状況の中、現行の「過疎地域自立促進特別措置法」は、平成22年3月末をもって失効することになる。
よって、本県議会は、国において、現行の過疎地域指定市町が平成22年4月以降においても、総合的な過疎対策事業に取り組めるよう、「新過疎対策法」を制定することを強く要望する。
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年6月30日
三重県議長 萩 野 虔 一
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
農林水産大臣
国土交通大臣
民法第772条の嫡出推定に関する運用の見直しを求める意見書
民法第772条第2項は「婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」と、「嫡出推定」の規定を定めている。この規定は、法律上の父親を明確にして子どもの身分を早期に安定させるためのものであると解されている。
しかし、この民法の規定により、新しい夫との間にできた子であっても、離婚後300日以内の出生であれば、前夫の子と推定されることから、母親が出生届を出さず、無戸籍となっている子がいる。こういった無戸籍の子は住民基本台帳に記載されず、等しく行政サービスが受けられず、不利益を被っている例が多く存在する。
そうした子の救済のため、法務省は平成19年5月に通達を出し、離婚後妊娠の場合に限り、医師の証明を添付することで現在の夫の子として出生届を認める特例救済措置を講じている。
しかし、この特例で救済されるのは全体の1割程度で、依然として多くの無戸籍の子が存在している。
よって、本県議会は、国において、子どもの親子関係の明確化、早期安定といった子どもの人権を守るため、社会通念上やむを得ないと認められるものについては、嫡出推定の救済対象の拡大など、さらに幅広い観点からの救済措置を講じることを強く要望する。
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年6月30日
三重県議長 萩 野 虔 一
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
法務大臣
近海かつお・まぐろ漁業に係る燃油高騰への対策に関する意見書
近海かつお・まぐろ漁業を取り巻く情勢は、水産資源状況の悪化による漁獲量の減少、それによる水揚げ金額の減少、魚価の低迷など厳しい環境に加え、近年の漁船用燃油(A重油)価格の高騰による経費の急激な増大により深刻な状況に置かれており、これらの要因が漁業経営を圧迫し、近海かつお・まぐろ漁業にとって極めて深刻な事態となっている。
漁業者においては、燃油価格の高騰に対応するため、省エネルギー対策の努力を懸命に行っているところであるが、出漁ごとの赤字という事態に陥っている。この状態が続けば漁業者の自助努力の限界を超え、数多くの近海かつお・まぐろ漁業者の廃業といった危機的な状況につながり、更なる食料自給率の低下を招くことが危惧される。
よって、本県議会は、国において、燃油価格高騰により漁業者が直面している危機的状況を乗り越えるため、下記の事項を含む強力な対策を早急に実現するよう強く要望する。
記
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年6月30日
三重県議長 萩 野 虔 一
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
財務大臣
農林水産大臣
経済産業大臣
水産庁長官
資源エネルギー庁長官
不妊治療休暇制度の創設を求める意見書
安心して妊娠・出産できるための基本的な対策として、「産科医師・小児科医師の確保」、「老人の在宅支援と同様な育児支援のための環境整備」、「不妊に悩む夫婦に対する不妊治療への経済的、時間的な支援」などが考えられる。
こうした対策のうち、子どもを持ちたくてもかなわない、不妊に悩む夫婦にとって、不妊治療は極めて有効な手段であるが、不妊治療を受診するには多くの障害が存在している。
不妊治療を受けるためには、自費診療が多く、高額な医療費が必要となり、生活を圧迫するため、仕事を継続しながらの診療となる場合が多い。しかし、現在の事業所等における休暇制度では、適切で十分な不妊治療を受ける時間を確保することが困難であり、安心して妊娠・出産できる環境が十分に整備されていないのが現状である。
よって、本県議会は、国において、安心して妊娠・出産できる環境を整備するため、有効な手段の一つである不妊治療を安心して受けられるよう、不妊治療休暇制度を創設し、特別休暇として認めることを強く要望する。
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年6月30日
三重県議長 萩 野 虔 一
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
厚生労働大臣
内閣府特命担当大臣(少子化対策)
道路特定財源の一般財源化に当たって二重課税の是正と
無駄を排しつつ必要な道路整備を求める意見書
世界的な原油高の影響を受け、現在ガソリン価格は上昇し続け1L当たり180円をうかがうところまできている。車社会の中、公共交通機関が十分に整備されていない地方においては都市部に比べガソリン消費が突出しており、住民の生活により深刻な影響を及ぼしている。
今春の道路特定財源をめぐる国会議論によって、その使途の在り方は、国民の道路行政に対する不信を大きくさせたばかりではなく、各自治体の歳入欠陥を回避するために、ガソリン税を再値上げさせたことは、小麦や牛乳などの食料品をはじめ生活必需品の高騰と合わせて住民生活を苦しめる事態に至ったことは否めない。
今回の一般財源化に当たっては、人口減少社会を迎えている現在、無駄な道路は造らず、本当に必要な道路は早急に整備するという選択と集中が行われるべきものであり、さらには、消費税導入に当たって未だに二重課税(タックス・オン・タックス)となっているガソリン税を物品税などと同様に見直すことによって正当な課税とし、住民生活を少しでも暮らしやすいものとすべきと考える。
よって、本県議会は、国において、道路特定財源の一般財源化に当たっては、本当に必要な道路を峻別する上で中期計画の全面的な見直しを行うとともに、石油諸税相当分を消費税の課税対象から除外し、不公平な二重課税を是正することを強く要望する。
以上のとおり、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成20年6月30日
三重県議長 萩 野 虔 一
(提出先)
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
国土交通大臣
内閣府特命担当大臣(経済財政政策)