介護職員処遇改善加算関係(平成29年度分から)
1 介護職員処遇改善加算とは
平成23年度まで実施されていた介護職員処遇改善交付金による賃金改善の効果を継続する観点から、平成24年度介護報酬改定において、当該交付金を円滑に介護報酬 に移行し、当該交付金の対象であった介護サービスに従事する介護職員の賃金改善に充てることを目的に、介護職員処遇改善加算が創設され、平成27年度介護報酬改定において、事業主の取組みがより一層促進されるよう加算が拡充されました。
平成29年度の介護報酬改定では、事業者による、昇給と結びついた形でのキャリアアップの仕組みの構築について、手厚く評価を行うための区分として新たな「加算Ⅰ」が新設され、加算区分がⅠからⅤまでの5段階になりました。
なお、加算区分Ⅳ及びⅤについては、一定の経過措置期間の後、廃止される予定です。当該加算区分(ⅣまたはⅤ)を算定している事業所または加算を算定していない事業所においては、加算区分Ⅲ以上の取得についてご検討ください。
また、平成31年(2019年)10月に改定予定の新しい処遇改善制度については、詳細が決定され次第別途案内します。
2 介護職員処遇改善加算の仕組み
(1)加算の区分
・介護職員処遇改善加算(Ⅰ)・・・所定単位数にサービス別加算率を乗じた単位数で算定
※下記(2)の①~⑥の基準に加え、⑦-1、⑦-2、⑦‐3及び⑧-1の全ての要件を満たすこと。
・介護職員処遇改善加算(Ⅱ)・・・所定単位数にサービス別加算率を乗じた単位数で算定
※下記(2)の①~⑥の基準に加え、⑦-1、⑦-2及び⑧-1の全ての要件を満たすこと。
・介護職員処遇改善加算(Ⅲ)・・・所定単位数にサービス別加算率を乗じた単位数で算定
※下記(2)の①~⑥の基準に加え、⑦-1又は⑦-2のどちらか及び⑧-2の要件を満たすこと。
・介護職員処遇改善加算(Ⅳ)・・・介護職員処遇改善加算(Ⅲ)の90/100
※下記(2)の①~⑥の基準に加え、⑦-1又は⑦-2又は⑧-2のいずれか一つの要件を満たすこと。
・介護職員処遇改善加算(Ⅴ)・・・介護職員処遇改善加算(Ⅲ)の80/100
※下記(2)の①~⑥の基準を満たすこと。
※サービス別加算率については、老発0322第2号12ページを参照してください。
(2)算定の基準・要件 ※①~⑥は必須
① 介護職員の賃金(退職手当を除く。)の改善(以下「賃金改善」という。)に要する費用の見込額が介護職員処遇改善加算の算定見込額を上回る賃金改善に関する計画を策定し、当該計画に基づき適切な措置を講じていること。
② 当該事業者において、①の賃金改善に関する計画、当該計画に係る実施期間及び実施方法その他の介護職員の処遇改善の計画等を記載した介護職員処遇改善計画書を作成し、全ての介護職員に周知し、各指定権者に届け出ていること。
③ 介護職員処遇改善加算の算定額に相当する賃金改善を実施すること。
④ 当該事業所において、事業年度ごとに介護職員の処遇改善に関する実績報告書を指定権者に報告すること。
⑤ 算定日が属する月の前12月間において、労働基準法、労働者災害補償保険法、最低賃金法、労働安全衛生法、雇用保険法その他の労働に関する法令に違反し、罰金刑以上の刑に処せられていないこと。
⑥ 当該事業所において、労働保険料の納付が適正に行われていること。
⑦-1 キャリアパス要件Ⅰ
次のイ、ロ及びハの全てに適合すること。
イ 介護職員の任用の際における職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件(介護職員の賃金に関するものを含む。)を定めていること。
ロ イに揚げる職位、職責又は職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)について定めていること。
ハ イ及びロの内容について就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。
⑦-2 キャリアパス要件Ⅱ
次のイ及びロの全てに適合すること。
イ 介護職員の職務内容等を踏まえ、介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及び一又は二に揚げる具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保していること。
一 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等を実施(OJT、OFF-JT等)するとともに、介護職員の能力評価を行うこと。
二 資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること。
ロ イについて、全ての介護職員に周知していること。
⑦‐3 キャリアパス要件Ⅲ
次のイ及びロの全てに適合すること。
イ 介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること。具体的には、次の一から三までのいずれかに該当する仕組みであること。
一 経験に応じて昇給する仕組み
「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組みであること
二 資格等に応じて昇給する仕組み
「介護福祉士」や「実務者研修修了者」などの取得に応じて昇給する仕組みであること。ただし、介護福祉士資格を有して当該事業所や法人で就職する者についても昇給が図られる仕組みであることを要する。
三 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み
「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき昇給する仕組みであること。ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する。
ロ イの内容について、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての介護職員に周知していること。
⑧-1 加算(Ⅰ)及び(Ⅱ)の職場環境等要件
平成27年4月から届出を要する日の属する月の前月までに実施した処遇改善(賃金改善を除く。)の内容を全ての介護職員に周知していること。
⑧-2 加算(Ⅲ)及び(Ⅳ)の職場環境等要件(=従前の定量的要件)
平成20年10月から届出を要する日の属する月の前月までに実施した介護職員の処遇改善(賃金改善を除く。)の内容を全ての介護職員に周知していること。
※職場環境等要件一覧については、老発0322第2号13ページを参照してください。
(3)賃金改善の内容
加算の算定額に相当する介護職員の賃金(退職手当を除く。)の改善のこと。
・賃金改善の項目
増額若しくは新設した(予定も含む。)給与項目(基本給、手当、賞与又は一時金等)のうちから対象となる賃金項目を特定し、実施する。
賃金改善の額には、当該賃金改善に伴う法定福利費等の事業主負担の増加分を含めることができる。
また、定期昇給等を含めた賃金改善とすることができる。
・比較する賃金水準
初めて加算を算定する月又は初めて加算を算定した月の属する年度の前年度の賃金水準(交付金を取得していた場合には、交付金による賃金改善の部分を除く。)
※比較時点において勤務実績のない介護職員については、当該介護職員と同職であって、勤続年数等が同等の職員の賃金水準と比較すること。
(4)対象となる職種
人員基準に基づきカウントされる介護職員(常勤、非常勤を問わない。)のみ。
(5)賃金改善実施期間
各事業年度(原則各年4月~翌年3月まで)の連続する期間とし、当該期間の月数は加算の対象月数を越えてはならない(最長12ケ月)。始期は、その年度の最初のサービス提供月以降の月、終期はその年度の最後のサービス提供月の報酬支払月の翌月以前の月としてください。実際に介護職員に対し賃金を支給した月のことであり、賃金の支払いが月末締めの場合、この「翌月」が賃金改善実施期間の中に入っていること。
(参考)賃金改善実施期間の設定について
(6)介護職員処遇改善計画書の作成単位(提出単位)
原則、サービス事業所(サービス別)ごとの作成とする。
特例として、次のような場合は複数のサービス事業所を一括して作成することができる。
・サービス事業所を複数有する事業者(法人に限る。)である場合。
・サービス事業所ごとの届出が実態に鑑み適当でない場合。
・同一の就業規則により運営されている場合。(地域ごとやサービスごとに作成することができる。)
・都道府県等の県域を越えて所在するサービス事業所を複数有する事業者(法人に限る。)である場合。
※一括して作成する場合は、必ず指定権者内事業所一覧表を添付すること。
3 介護職員処遇改善加算の算定の届出
本加算を算定する場合、年度ごとに当該年度における「介護職員処遇改善計画書」の提出が必要です。
加えて、その他の加算と同様に「介護給付費算定に係る体制等に関する届出」を行う必要があります。
本加算を算定する場合は、必ずこれらの届出を行ってください。
※ただし、「介護給付費算定に係る体制等に関する届出」は、新たに加算を算定する場合又は加算の区分を変更する場合(加算Ⅱ→加算Ⅰ等)にのみ必要です。したがって、前年度に当該届出が済んでおり、既に事業所の体制が当該加算区分となっている場合は不要ですので、計画書のみ提出してください。
(1)「介護職員処遇改善計画書」
概 要 | ||||
提出期限 |
加算算定月の前々月末日まで ※平成31年4月から算定分は、平成31年2月28日(木)17:00必着とします。 |
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提出書類 |
①介護職員処遇改善計画書(別紙様式2) (必須) ②指定権者内事業所一覧表(別紙様式2添付書類1) ③届出対象都道府県内一覧表(別紙様式2添付書類2) ④都道府県状況一覧表(別紙様式2添付書類3) ⑤労働法規遵守に関する誓約書 (必須) ⑥就業規則 ⑦給与規程
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記載例
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別紙様式2 1事業所のみの場合の記載例 別紙様式2 一括して作成する場合の記載例 別紙様式2(添付書類1) 記載例 別紙様式2(添付書類2) 記載例 別紙様式2(添付書類3) 記載例 ※記載例における提出先別必要書類の組み合わせ |
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提出先 |
事業所又は法人の所在地所管の県の保健所又は福祉事務所 |
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部数 |
2部(3部作成のうえ、2部提出し、1部は控えとして保管してください。) |
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備考 |
三重県以外の指定権者への届出分については、それぞれの指定権者の求めに従ってください。 |
(2)「介護給付費算定に係る体制等に関する届出」
居宅サービス ※(介護予防)短期入所サービス及び (介護予防)特定施設サービスを除く |
施設サービス (介護予防)短期入所サービス (介護予防)特定施設サービス |
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届出 期限 |
加算算定月の前月15日まで(必着。閉庁日の場合は前日まで) |
加算算定月の初日まで(必着。閉庁日の場合は前日まで) |
届出 書類 |
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届出先 | 事業所の所在地を所管する県の保健所又は福祉事務所 | |
届出 部数 |
2部(3部作成のうえ、2部提出し、1部は控えとして保管してください。) |
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備考 |
前年度から、当該加算を算定し、区分に変更がない場合(=当該加算区分の体制等の届出が済んでいる場合)は本届出は不要です。 ただし、この場合であっても上記(1)に係る計画書は毎年度必要です。 |
4 介護職員処遇改善実績報告書の提出
各年度における最終の加算の支払いがあった月の翌々月の末日までに、介護職員処遇改善実績報告書を提出する必要があります。
例えば、 加算を算定する最後のサービス提供月が3月の場合、5月支払いとなるため、2か月後の7月末日までとなります。
※当該加算が算定できる要件は、賃金改善額が当該加算による収入額以上であることであり、これが下回ることは想定されていません。この点を十分考慮し、返還が生じることのないよう賃金改善を実施してください。
概 要 |
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報告期限 |
各事業年度における最終の加算の支払いがあった月の翌々月の末日まで |
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報告 書類 |
②介護職員処遇改善実績報告書(指定権者内事業所一覧表)(別紙様式3添付書類1) ③介護職員処遇改善実績報告書(報告対象都道府県内一覧表)(別紙様式3添付書類2) ⑤賃金改善所要額の根拠となる資料(任意様式で可) |
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報告先 |
事業所の所在地を所管する県の保健所又は福祉事務所 |
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報告 部数 |
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5 介護職員処遇改善加算の算定方法
介護職員処遇改善加算は、サービス別の基本サービス費に各種加算減算を加えた1月あたりの総単位数にサービス別加算率を乗じた単位数を算定することとし、当該加算は、区分支給限度基準額の算定対象から除外されます。また、他の加算と同様に利用者の1割又は2割負担が発生します。
※サービス別加算率については、老発0322第2号12ページを参照してください。
参考資料
介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について平成29年度介護報酬改定による介護職員処遇改善加算の拡充について
「平成29年度介護報酬改定に関するQ&A(平成29年3月16日)」の送付について